【スペイン発】ビジャレアル番記者のフランク氏、バルサ戦の久保を高評価「相手を崩す唯一の存在だった」

 リーガ・エスパニョーラは開幕から3節が終わった。ビジャレアルのウナイ・エメリ監督は、日本代表MF久保建英を一度もスタメンで起用していない。今季レアル・マドリードから期限付き移籍している日本人アタッカーは、すべてのゲームで後半途中から投入された。

 開幕節ウエスカ戦(1-1)では後半32分、1-1の状況でFWパコ・アルカセルに代わって、本拠地エスタディオ・デ・ラ・セラミカの芝生を踏んだ。第2節エイバル戦(2-1)ではビジャレアルが1点リードしている後半40分にMFサムエル・チュクウェゼと交代で出場した。今シーズン初めてのアウェーゲームとなった第3節バルセロナ戦(0-4)は、4点ビハインドの後半29分からチュクウェゼとの交代でピッチに立った。3試合の出場時間は少なく、得点もアシストもなかった。

 だが、現地メディアはこの日本人アタッカーのパフォーマンスに好感を抱いている。たとえばビジャレアルを含むバレンシア州カステリョン県を対象に発行する地方紙「エル・ペリオディコ・メディテラーネオ」は、「ゴールへの直線的なプレー。出場時間をもっと与えてくれと叫んでいる。疑問の余地のないタレントを持っており、危険な場面をつくっていた」と評した。同紙は毎試合、ビジャレアルの各選手を10点満点で採点する。バルセロナ戦、キャプテンのDFマリオ・ガスパール、ストライカーのアルカセルは2点、MFフランシス・コクラン、チュクウェゼが3点、エースのFWジェラール・モレノが4点。大敗したのだから、大半の選手が低いのは当然だ。そんななか、7点のGKセルヒオ・アセンホに次いで、久保はMFビセンテ・イボーラとともに6点と評価された。

 1998-99シーズンからビジャレアルの試合を伝え続けるスペインラジオ局「オンダ・セロ」のビクトル・フランク記者も、久保への好感を隠さない。

「特にバルセロナ戦のプレーは良かった。タケは与えられた出場時間を最大限活かしています。エイバル戦でもそうでしたが、10分ほどの出場時間で何度か決定機をつくりました。バルセロナ戦では相手ディフェンスのバランスを崩す唯一の存在でした。ビジャレアルが大失敗に終わったゲームで、ポジティブだったのは彼だけでした。低調だったチュクウェゼに代わり、タケが試合を変えた。水曜日(第4節アラベス戦)には、スタメンのチャンスが与えられると思います」

チュクウェゼに対するクラブ側の思惑を指摘 「将来的に大きな利益をもたらすと…」

 バルセロナ戦でカンプ・ノウのピッチに投入された久保は、4-1-4-1の右サイドハーフを務めた。チュクウェゼが任されていたポジションをそのまま引き継いだのだ。

 そして相手ディフェンスの背後、もしくはライン間でパスを引き出し、少なくとも3度の決定機をつくった。開幕前には久保のポジションは4-4-2の中盤左サイド、もしくはトップ下と予想された。しかし3節を終えて、久保が最も輝けるポジションは右サイドだと現地メディアは認識しつつある。フランク記者もこう話す。

「現在タケが居心地良く、最も危険な場面をつくっているのが、右サイドハーフのポジションです。右からプレーをスタートさせて、中に入って攻撃に絡んでいく。チュクウェゼと同じです。クラブはチュクウェゼの可能性をとても信頼しています。若く(21歳)、将来的に移籍金でクラブに大きな利益をもたらすと期待されているからです。実際、プレミアリーグのいくつかは、彼を欲しがっています。

 それがタケにとって少し問題になっていると思います。同じポジションの序列の前にいる選手が、クラブが所有し、かつ大きな期待をされている選手だからです。タケはビジャレアルに期限付き移籍でやって来ている。最終的に来夏に去っていく可能性があります。とはいえ、チュクウェゼのパフォーマンスがバルセロナ戦のように低く、タケが今のプレーを続けていれば、スタメンでプレーすることになるでしょう」 

 ビジャレアルは、久保が昨シーズン在籍したマジョルカとは違う。メンバーの大半が代表選手だ。チームとともに2部から這い上がってきた選手が主体ではない。エリートに囲まれている。ポジションを争うライバルはナイジェリア代表で、欧州中から触手が伸びるアタッカーだ。前線では今日においてナンバーワンのスペイン人ストライカーが躍動し、中盤ではバレンシアという強豪で長年主軸を務め、チームをコントロールしていたゲームメーカーがいる。

 強豪国の代表選手が名を連ねる。ポジション争いは熾烈だ。昨シーズンの比ではない。久保は今、少ない出場時間を活かし、スタメン出場に向けてアピールしている。現地記者が証言するように、その足取りは確かだ。

Football ZONE web編集部