JFA公式サイトの反町技術委員長コラム「サッカーについて語ろう」、第3回を更新

 日本サッカー協会(JFA)は30日、反町康治技術委員長のコラム「サッカーを語ろう 第3回」を更新した。「指導者への思い」と題し、指導者の在り方やライセンスについて言及。9月からJFAの新たな試みとしてアンダーカテゴリーの指導に携わっている「ロールモデルコーチ」内田篤人氏についても語っている。

 森保一監督率いる日本代表は、10月の国際Aマッチデーを利用してオランダで合宿を実施した。新型コロナウイルスの影響により、今年の日本代表戦が行われていなかったなかで、カメルーン代表とコートジボワール代表と対戦。アフリカの強豪との2連戦は有意義な時間となった。そのなかで、反町技術委員長はあることに気が付いたという。

「指導者の重要性、いい指導を受けることの大切さ。そんなことに私が思いをはせたのは、ユトレヒトでSAMURAI BLUEの面々と日々接した影響もあるかもしれない。サッカーはプレーにその人の性格が出ると言われるけれど、オランダに集まった選手たちは、やはり人間的にも優れていた。コロナ禍の代表戦という困難な状況にありながら、不平や不満を口にする者は一人もいなかったし、感染予防のプロトコルを順守させるためにあれこれ細かいことをこちらから注意することもなかった」

 宿舎では密を避けるためにテーブルを囲んで皆で食事をとれず、1人1つのテーブルに座って食べる“個食状態”だった。その時、反町技術委員長は、「ご飯を食べながらスマホなどを見る選手がいても不思議はない」と思っていたというが、日本代表の選手たちは全くそういうことをせず、社会的距離を慎重に取りながらも選手同士でコミュニケーションを図っていたようだ。

「日常の振る舞いも含め、そういう行動が付け焼き刃ではなく、ごく自然にできていた。そんな選手を見ながら、指導者は、ただサッカーを教えるだけでなく、選手の人間的な成長も見つめていく必要があると、あらためて痛感した。家庭では親の影響は大だが、グラウンドでは指導者が選手の人間形成に大きな影響を及ぼす。そんな責任の重さを今回のオランダ合宿で再確認したのだった」

 そこでカギとなるのがライセンス問題。9月、JFAはロールモデルコーチとして8月に現役を引退した内田篤人氏が就任することを発表した。内田氏はアンダーカテゴリーの代表チームをはじめ、JFAが取り組む若年層の強化および普及に関わる活動に参加し、世界の舞台で培った内田氏の持つ経験、知見を後進の育成にあてる。すでに何度かU-19日本代表候補トレーニングキャンプにも参加している。そんな内田氏の肩書についても触れている。

内田氏がロールモデルコーチとして活躍する理由 「ライセンスをこつこつ取得していく…」

「理由は内田がナショナルコーチングスタッフに入るのに必要なライセンスを持っていないからだ。元日本代表でFIFAワールドカップ出場経験があり、ドイツのシャルケ時代にはUEFAチャンピオンズリーグのベスト4まで勝ち進んだ。そんな内田でも正式にコーチになろうとしたら、ライセンスをこつこつ取得していく必要がある。それを不思議に思う人がいるのも分かるし、賛否両論いろんな意見があっていいと個人的には思っている」

 そのうえで自身の経験も語っている。若き頃から指導者を志していた身としては、“ライセンス”の重要性も実感している。

「Jリーガーで初めて現役選手のうちから指導者養成コースに通い、最初に取得したC級を足場にバルセロナに留学したり、高校のチームを指導したりしながらS級にたどり着き、36歳で当時J2だったアルビレックス新潟の監督になった我が身を振り返ると、本気で監督の仕事をするのであれば、取るべきライセンスはきちんと取った方がいいと断言できる。選手と監督はまったく別の仕事であり、監督気分で選手をやってはいけないし、選手気分のまま監督をやってもいけないからだ」

 ただ、ライセンスというのは取らせるのが目的ではなく、日本のサッカーをより良くするための指針や方向性を広くコーチたちに伝えるもの。ライセンスを取得してからがスタートとなる。世界に目を向けると、ドイツでは若くて優秀な指導者が次々と出てくる。だが、日本ではなかなか出てこない。

「若くて勢いのある監督を輩出したいと思っているのだが……。これも私に与えられた宿題の一つかもしれない」

 反町技術委員長はそう締めくくり、今後も日本サッカーの発展のため、“指導者”と真摯に向き合っていく覚悟を改めて示した。

Football ZONE web編集部