アジアカップ準々決勝の相手、ベトナムはどんなチームなのか? 熟知する現地記者が徹底分析

アジアカップ準々決勝の相手、ベトナムはどんなチームなのか? 熟知する現地記者が徹底分析

10年ぶり東南アジア王者に。若きベトナム代表

 日本代表は24日、AFCアジアカップ2019準々決勝でベトナムと対戦する。近年、アンダー世代で目覚ましい成果を出している東南アジアの王者はどのようなチームなのか? 現地を熟知する現地在住記者がレポートする。(文:宇佐美淳【ベトナム】)

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 UAEで開催中のAFCアジアカップ2019は決勝トーナメント1回戦が終了し、ベスト8が出揃った。難敵サウジアラビアを相手にセットプレーで挙げた虎の子の1点を守り切った森保ジャパンが準々決勝で相まみえるのは、東南アジア王者ベトナム。近年、アンダー世代の国際大会で目覚ましい活躍を見せているアジアの新興勢力だ。

 10年以上前から若手育成に積極投資してきたベトナムは、2017年にU-20ワールドカップ初出場を果たすと、翌2018年にはAFC U-23選手権で準優勝の快挙を達成。同年夏に行われたアジア大会でもオーバーエイジで補強したU-23代表がベスト4に入ってメダル獲得まであと一歩に迫った。因みにアジア大会では、森保監督率いるU-21日本代表とグループリーグで対戦しており、ベトナムが1-0で勝っている。

 国際大会で次々と結果を残して自信を強めたベトナムは、2018年末のAFFスズキカップ(東南アジアサッカー選手権)で10年ぶりに東南アジア王者の座に返り咲き、勢いそのままにAFCアジアカップの舞台UAEに乗り込んだ。

 アジアカップに出場しているベトナム代表は、前述したアンダー世代の国際大会で好成績を収めたメンバーが主力となっており、平均年齢は全出場チーム中で最も若い23歳。チームを率いるのは韓国人のパク・ハンソ監督(U-23代表兼任)。

 システムは可変的な3バックを採用しており、格上相手に攻め込まれた場合は5バックでブロックを敷く。基本戦術は守ってカウンターだが、ロングボール主体というよりは、ハイプレス&ショートカウンターがコンセプト。勝負所では守備ラインを上げて、果敢に攻めることもあり、今大会では中盤の選手が積極的にミドルシュートを打つシーンが目立つ。

今大会、準々決勝までの道のりは?

 注目選手は、東南アジア屈指の司令塔であるグエン・クアン・ハイ。多彩なアイデアを持つレフティーで、彼がボールを持ったところから一気に攻撃のスイッチが入る。フリーキックの精度も非常に高く、ここぞという場面で何度もゴールを決めてきた頼れるエースは、まだ21歳という若さだ。

 ベトナムは今大会グループリーグ初戦で強豪イラク相手に堂々たる試合運びを見せて、一時は2点を先行するも、終盤に逆転されて黒星スタート。続く優勝候補イランとの一戦は、チームレベルの差もあったが、個々のフィジカルで圧倒されて0-2の完敗。

 後がないベトナムは3戦目イエメン戦で攻撃陣が奮起、グエン・クアン・ハイの直接フリーキックを含む2-0で勝利してD組3位につけると、最後はフェアプレーポイント差で、各組3位のうち上位4チームに滑り込み、辛くも決勝トーナメントに駒を進めた。

 決勝トーナメント1回戦では、前回王者オーストラリアを下してA組を首位突破したヨルダンに延長・PK戦(1-1(PK4-2))の末に勝利。この試合では、ベトナム本来の持ち味であるテクニックと連動性のあるパスワークがいかんなく発揮され、後半立ち上がりにFWグエン・コン・フオン(元水戸)の同点弾が決まって以降は完全にベトナムが主導権を握った。

 90分で決着をつけられなかったのは課題だが、若さ溢れるベトナムは、その後の延長戦でも運動量が落ちず、延長戦終了のホイッスルが鳴った頃には、ヨルダンの選手たちの方が疲れ切った様子で一様にうつむいていた。

 思い返せば、快進撃を見せた昨年のAFC U-23選手権でも、ベトナムは決勝トーナメント以降の全試合が延長戦だった。今のベトナム代表からは、たとえ劣勢でも接戦に持ち込めば、必ず勝機が生まれるという強い執念が感じられる。

日本代表を相手にどのような戦いを見せるか?

 ここまでの中東勢との4連戦を振り返ってみると、格上イランを除けば、ベトナムのサッカーは十分に通用したといえる。フィジカルで劣るため、ロングボールを放り込まれたり、ゴール前で混戦になった際に競り負けてピンチに陥るのが常だったが、ヨルダン戦では守備ラインを高く保つことでカウンター対策も出来ていた。

 攻撃の時間帯には小気味いいパス回しで相手を翻弄し、グエン・コン・フオンらスピードと突破力に秀でた前線の選手の仕掛けから決定機を創出した。開催国の一つとして初出場した2007年大会(インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム共同開催)以来となるグループリーグ突破、そして、ベスト8進出は、ベトナムにとって上々の出来といえよう。

 勝てば初のベスト4進出が決まる準々決勝日本戦。決勝トーナメント1回戦と同じ会場で試合ができ、中3日空いているベトナムがスタメンを大きくいじってくるとは考えにくい。一方、会場の移動もあり、中2日しかない日本は準決勝以降のことを考えて、スタメンを変更してくる可能性がある。

 パク監督は「日本との一戦はベトナムにとって大きな試練だが、同時に大きな楽しみでもある。日本の選手の多くはヨーロッパでプレーしており、彼らには正確なパスワークと高い守備力がある。先制点を与えないことが重要だろう。アジア大会ではベトナムが日本に勝ったが、今回はA代表の大会であり、全く別物だ」と語った。

 これまでのように日本が東南アジアを格下と甘く見てくれるなら、教訓という名の手痛いしっぺ返しをお見舞いする準備がベトナムにはある。しかし、アジア大会の際、初戦の入り方という部分で慎重になりすぎたあまり、ベトナムに苦汁を飲まされた日本が同じ轍を踏むことはないだろう。

 現実的に見て、ボールを握られる時間帯が長くなるのは間違いない。ベトナムが少ないチャンスの中で勝利を手繰り寄せるには、いかに接戦に持ち込むかがカギになりそうだ。選手やサポーターから全幅の信頼を寄せられているパク監督の采配にも期待したい。

(文:宇佐美淳【ベトナム】)


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