サウジアラビア戦で得た“気づき”。不発だった効果的なカウンター、必要な「精度」の中身とは?

サウジアラビア戦で得た“気づき”。不発だった効果的なカウンター、必要な「精度」の中身とは?

サウジアラビアの弱点を突いて勝利

日本代表は21日、AFCアジアカップ2019・決勝トーナメント1回戦でサウジアラビア代表と対戦し1-0で勝利した。しっかりとしたゲーム運びで準々決勝進出を手繰り寄せたが、カウンターの精度は今ひとつ。ただ、課題への“気づき”を得られた一戦でもあり、今後に繋げたいところだ。(取材・文:河治良幸【UAE】)

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 森保一監督が率いる日本代表は多くの時間帯でサウジアラビアにボールを持たれながら、前半20分にCKから冨安健洋があげた得点によるリードを粘り強く守りきり、準々決勝に進出した。

 サウジアラビアの洗練された組み立ての技術とクオリティが高いことは森保監督も日本代表の選手もスカウティングで認識していた。本来はもっとボールの主導権を握りながら高い位置でゲームを運びたかったようだが、想定内の状況の中で“サウジの弱点”と見られたCKから先制して、サイドの高い位置でボールを持たれても中央を締めるディフェンスで崩しの起点を限定し、手前からのシュートには体を張った。

 そうした意味ではうまくゲームを運んでつかんだ勝利ではあるが、ボランチでフル出場した柴崎岳が「アグレッシブに前から行くところは行きたかったですけど、1点取りましたし、ある程度保守的になってもしょうがないかなというところはあった」と語る。

 今後を見据えれば、こうした多角的にボールをつないで組み立ててくる相手にも、高い位置からのプレスではめることができれば理想的だ。臨機応変の戦い方ができることは森保監督が掲げるコンセプトの1つではあるが、基本スタイルから考えれば、高い位置からはめていけるに越したことはない。

柴崎岳が語った課題

 もう1つ柴崎があげるのは早い時間にリードした状況でも、効果的なカウンターなどで追加点をあげられなかったことだ。「1つのオプションとして今後の日本代表の武器としてショートカウンターだけではなく、ああいうちょっと距離のあるカウンターの精度もあげて行かないといけない」と柴崎。精度というのはパスやボールコントロールの部分もあるが、状況に応じたタイミングや方向を味方同士であまり共有できていない問題が大きそうだ。

 日本は深い位置でのインターセプトやセカンドボールを拾い、トップ下の南野拓実を主な起点としたロングカウンターで追加点を奪おうとした。しかし、そこからなかなか縦のボールが繋がらず、ボールが流れてしまうか、逆に時間をかけすぎたためにサウジアラビアのディフェンスに戻って対応されてしまう。「なるべく僕ら(ボランチ)が受けて、1テンポ加えてから彼らを生かすことはできたかなと思っています」と柴崎は振り返る。

 1つ象徴的だったシーンが前半39分に武藤嘉紀がイエローをもらってしまったシーンにつながるプレーだ。右センターバックのモハメド・アル・ファティルに対して南野拓実がチェイシングに行き、ターンから前に運ばれてロングボールを出されるが、ファハド・アル・ムワラドをめがけたボールは吉田麻也がしっかりと前に跳ね返す。

 そこから左のライン側で長友佑都が原口元気に縦パスを付けた。ここから原口はインサイドの南野に預ける。南野が右足でトラップするとアンカーのアブドゥラー・オタイフがインサイドからプレッシャーをかけてきた。南野はオタイフのプレスにかからないように左足でグラウンダーのパスを武藤に送った。しかし、カバーリングからいち早くクリアしようとしたアリ・ハディ・アルブライヒを武藤がスパイクしてしまいファウルとなった。

大会中に連動性の高いカウンターを実現するのは困難

 このシーンは吉田のヘッドクリアからサイドで縦に繋いで行こうとしたが、原口から南野にパスがでる時には中央で柴崎がフリーになっており、もし時間をかけずにボールを受ければ、前のスペースにボールを運びながら、より高い位置で武藤を生かすか、相手の守備が薄くなっている右サイドから堂安律が仕掛けることも可能になっていた。そこに左で直前の局面に絡んでいた原口や南野がスプリントで飛び出して行けば、ワイドに3人、4人が絡むカウンターになっていた。

 ただ、高い位置でボールを奪って繰り出すショートカウンターはある程度、前の選手たちのフィーリングやアイデアを組み合わせることで危険なシーンにつながるが、ロングカウンターは本当に一発で裏に抜けるようなシチュエーションでもない限り、チームとして誰々がどこどこで起点になったら、周りはこう動いてボールを引き出す、3人目の選手はこのタイミングでゴール方向に走るといったイメージを練習から共有しておかないと行き当たりばったりになってしまいがちだ。

 もちろん大迫勇也が前線にいれば彼のポストプレーが1つカウンターのトリガーにはなるが、ボランチを中心にもっと組織的に準備していかないと、似たような状況の試合で効率よくゴールを奪うことは難しい。ここまで相手がボールを持ち続ける試合にならないように前からのディフェンスや組み立てを改善しても、やはりボールを長く握れない試合は出てくるはず。

 その時に守備を固めて失点を防ぐだけでなく、得点を奪うためのビジョンを共有しておければ、そうした状況での明確なオプションになってくる。おそらく、そうしたビジョンに沿った準備が十分にできていない以上、この大会中に連動性の高いカウンターを実現するのは困難と言わざるを得ないが、今後の成長のきっかけにしてほしい課題の“気づき”を与えてくれた試合でもあった。

(取材・文:河治良幸【UAE】)


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