小柄なレフティー

 タイトル獲得が常に義務付けられているレアル・マドリーでは、結果を出さなければ即アウト。しかし、時には結果を出しつつも酷な扱いを受ける時もある。ここでは、マドリーに手放されながらも移籍先でタイトルを獲得した現役選手5人を紹介しよう。

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MF:ファン・マタ(スペイン代表/マンチェスター・ユナイテッド)
生年月日:1988年4月28日(31歳)
市場価格:1500万ユーロ(約17億9000万円)
レアル・マドリー在籍時成績:0試合出場/0得点0アシスト

 スペインが生んだ小柄なレフティーがレアル・マドリーの下部組織に入団したのは2003年、15歳の時のこと。それまでレアル・オビエドの下部組織でプレーしていた同選手は、新天地でもその実力を発揮し、カデーテA、フベニールC、フベニールB、フベニールAと順調なステップアップを果たしていた。その活躍が認められ、2006/07シーズンよりカスティージャに昇格。順調な歩みを見せていた。

 しかし、マドリーとの契約延長交渉が決裂し、ファン・マタは2007年にバレンシアに活躍の場を移すことになった。結果的に、マドリーのトップチームでプレーする機会はなかったのである。

 だが、マタはMFダビド・シルバの抜けた穴を埋める活躍を見せ、バレンシアでメキメキと力を付けた。2011/12シーズンには2600万ユーロ(約36億4000万円)という移籍金でプレミアリーグの名門・チェルシーへ移籍。新天地1年目にはチャンピオンズリーグ(CL)とFAカップ制覇に貢献している。その後、移籍したマンチェスター・ユナイテッドでもヨーロッパリーグ(EL)制覇などに貢献。スペイン代表としても2010年のワールドカップ、2012年のEURO(欧州選手権)優勝を経験した。

長身FW

FW:アルバロ・モラタ(スペイン代表/アトレティコ・マドリー)
生年月日:1992年10月23日(27歳)
市場価格:5000万ユーロ(約59億円)
レアル・マドリー在籍時成績:95試合出場/31得点11アシスト

 ヘタフェのユースチームからレアル・マドリーの下部組織へとやって来たのは2008年。フベニールCからプレーを始めると、さっそくその力を見せつけ、2010年にはカスティージャへ昇格を果たしている。そして、同年12月にはジョゼ・モウリーニョ監督の下でトップチームデビュー。その10日後に行われたコパ・デル・レイのレバンテ戦でも途中出場を果たしていた。

 順調なキャリアを歩んでいた同選手は、2012/13シーズンより正式にトップチームへ昇格することが決定。マドリディスタからの期待値も高かった。しかし、長身FWはトップチームで安定した出場機会を得ることができず。2014年7月にイタリアの名門・ユベントスへ2000万ユーロ(約28億円)という金額で移籍することが決まった。

 ユベントスでは加入1年目から主力として活躍した同選手は、いきなりリーグ戦29試合に出場。8得点5アシストの成績を収めた。その翌シーズンにはチームのセリエA、コッパ・イタリア制覇などに貢献。世界屈指のストライカーへと成長を果たした。

 その活躍を評価したマドリーは、2016年に3000万ユーロ(約38億円)の買い戻しオプションを行使。再び白いユニフォームに袖を通すことになったモラタは、復帰1年目のシーズンでリーグ戦26試合15得点5アシストの成績を収めるなど活躍を見せた。しかし、マドリーはわずか1年でモラタを再び売却。チェルシーへと旅立った。現在はアトレティコ・マドリーで奮闘中だ。

クロアチア人MF

MF:マテオ・コバチッチ(クロアチア代表/チェルシー)
生年月日:1994年5月6日(25歳)
市場価格:4500万ユーロ(約53億7000万円)
レアル・マドリー在籍時成績:109試合出場/3得点8アシスト

 ディナモ・ザグレブで頭角を現し、わずか16歳でプロデビューを果たしたMFがインテル移籍を経てレアル・マドリーへ加入したのは2015年。当時、同選手は21歳という若さであったが、移籍金は3000万ユーロ(約38億円)となっている。報道によれば、クロアチア代表の先輩であるMFルカ・モドリッチや、当時マドリーを率いていたラファエル・ベニテス監督が獲得を後押ししていたという。

 しかし、クロアチア人MFは加入1年目から苦難の道を歩む。選手層の厚さ、言語や環境への適応に苦しみ、リーグ戦ではわずか8試合の先発出場に留まった。クラブはこの年、チャンピオンズリーグ(CL)制覇を果たしたが、マテオ・コバチッチの先発機会はグループリーグの4試合のみ。強豪との対決が増える決勝トーナメントでは、ピッチに立つ機会は限られた。

 マドリー在籍2年目以降は重要な試合での出番も増えたが、絶対的な主力選手となるまでには至らず。選手層の厚さに最後まで苦しんだのは確かで、2018/19シーズンからはチェルシーへ活躍の場を移すことになった。

 そのチェルシーではコンスタントに出場機会を得ており、リーグ戦では32試合でピッチに立った。ヨーロッパリーグ(EL)でも12試合に出場し、見事チームを優勝へと導いている。チェルシーはその活躍を高く評価し、今季にクロアチア人MFを完全移籍で獲得。現在はフランク・ランパード監督の下、プレミアリーグやチャンピオンズリーグ(CL)で奮闘している。

高いキック精度を誇るDF

DF:マルコス・アロンソ(スペイン代表/チェルシー)
生年月日:1990年12月28日(29歳)
市場価格:2500万ユーロ(約29億8000万円)
レアル・マドリー在籍時成績:1試合出場/0得点0アシスト

 元スペイン代表のマルコス・アロンソ・イマスを祖父に、同じくマルコス・アロンソ・ペーニャを父に持つレフティー。レアル・マドリーの下部組織出身で、2008年にカスティージャへ昇格、2009/10シーズンのリーグ戦、ラシン・サンタンデール戦ではトップチームデビューも果たしている。しかし、その後はトップチームで定位置を確保するには至らず。2010年夏にボルトン・ワンダラーズへの移籍が決定している。

 2013/14シーズンからはフィオレンティーナに移籍。加入1年目は出番がなかったが、サンダーランドへのレンタル移籍を経て復帰した2014/15シーズンではリーグ戦22試合に出場している。そして、2015/16シーズンにはリーグ戦31試合に出場するなど主力の座を確保し、DFながら3得点4アシストの成績を収めている。

 その活躍が認められ、2016/17シーズンよりチェルシーへ移籍。アントニオ・コンテ監督の下、ウィングバックとして絶大な存在感を放った同選手は、新天地1年目ながらチームのプレミアリーグ制覇に大きく貢献している。その後も、2017/18シーズンはDFながらリーグ戦で7得点、昨季はヨーロッパリーグ(EL)制覇に貢献するなど、チェルシーで印象的なパフォーマンスを見せ続けている。

エル・ピピータ

FW:ゴンサロ・イグアイン(アルゼンチン代表/ユベントス)
生年月日:1986年5月21日(33歳)
市場価格:3200万ユーロ(約38億円)
レアル・マドリー在籍時成績:264試合出場/122得点56アシスト

 母国の名門であるリーベル・プレートでその才能を発揮し、2006/07シーズンの冬にレアル・マドリーへ加入。スペインの地でもその力を示したアルゼンチン人FWは、FWロビーニョやFWラウール・ゴンサレスなどの錚々たるメンバーがいる中、一気に主力の座を奪った。2008/09シーズンにはリーグ戦32試合の出場で22得点12アシストの活躍。チーム内得点王に輝くなど、世界屈指の点取り屋として名を馳せた。

 その後もマドリーのエースとして活躍していたゴンサロ・イグアインであったが、次第にFWカリム・ベンゼマに定位置を脅かされる。チャンピオンズリーグ(CL)などでの重要な試合で、先発を外れる機会が増えたのだ。そして2013/14シーズン、イグアインは移籍を希望。新天地に選んだのはナポリであった。

 イタリアの地でもその実力をフルに発揮したイグアインは、新天地1年目でいきなりコッパ・イタリア制覇に貢献。2015/16シーズンにはセリエAで36得点をたたき出す驚異的な活躍を見せた。その後、移籍を果たしたユベントスではリーグ制覇、ミラン在籍時は不振にあえいだが、チェルシーではヨーロッパリーグ(EL)制覇も経験。現在はユベントスの一員として、プレーしている。

 さらにイタリア移籍後は個人賞も数々獲得。セリエAベストイレブンに2度選出されており、2015/16シーズンはセリエA一シーズン最多得点記録を叩き出し、見事得点王にも輝いた。2013/14シーズン、2014/15シーズンにはヨーロッパリーグ(EL)のベストイレブンにも選出。輝かしい結果を残している。