かつてないほど静まりかえるパリの街

 世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス。フランスでもすでにリーグ戦が中止、15日間の封鎖状態に突入するなど、影響は大きい。人々のサッカー離れも懸念される中、LFP(プロフットボールリーグ協会)などはどのような対応を見せたのか。現地在住記者がレポートする。(文:小川由紀子【フランス】)

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 新型コロナウイルスは現在、ヨーロッパ各地で感染が拡大し、3月17日から、フランスは15日間の封鎖状態に突入した。

 通院などの医療行為、生活必需品の買い物、介護など補助が必要な人のヘルプ、犬の散歩、軽い運動のための短時間、かつ短時間の散歩やジョギング以外の外出は禁止となり、上記の目的であっても、その旨を記載した宣誓書を所持し、違反した場合は15000円程度の罰金を科せられることになった。

 政府から許可されたスーパーなどの食料品やガソリンスタンド等、最小限の商業施設以外はすべてクローズ。車も歩行者もまばらなパリの町は、かつてないほど静まりかえっているが、毎日20時に、おのおのが窓をあけて医療従事者の方々に拍手を送るというイベントは定着してきて、1日の終わりの心温まるひとときとなっている。

 リーグ戦はすでに3月13日〜15日の週末から休止状態に入っていたが、この封鎖令を受けて、各クラブともトレー二ング施設やオフィスを含めた完全な休業状態に入った。

 パリ・サンジェルマン(PSG)のネイマールやチアゴ・シウバは家族とともに過ごしたいとブラジルに帰国したとのことで、その他の外国人選手も帰国者が続出している。選手の中では、リーグ2のトロワに感染者が出たほか、ユベントス所属のブレーズ・マテュイディにも陽性反応が出たらしい。

 LFP(プロフットボールリーグ協会)は18日、声明を発表し、リーグ戦は少なくとも4月15日までは再開されないと宣言した。これは、封鎖期間が15日間であった場合、3月末に終了したのち2週間のトレーニング期間を設けてからコンペティション再開、という計算に基づいたものだ。

政府の助成金処置を採用するクラブも

「とにかく、リーグ1、2とも、シーズンを最後まで全試合消化することを、最優先課題とする」とLFPのエグゼクティブ・ゼネラルディレクターのディディエ・キヨ氏は発表。現時点では、28節までを消化している。

 目安としては、6月30日までに残りの10試合を終了させることを第一目標とし、不可能な場合は延長するとしている。完全休業状態となったことを受けて、選手も含めた雇用者全員を対象にした、封鎖期間中の政府の助成金処置を採用することを宣言するクラブも続々出現している。

 これは、最低賃金(2020年度は、週35時間労働で1539,42ユーロ)×4.5までは政府が負担し、それを超えた分に関しては、額面の70%まで事業主が負担するというものだ。

 最初に発表したのはモンペリエ。「試合がなければ、キャッシュフローは完全に止まってしまう。よってこれはやむをえない決断」とロラン・ニコラン会長はコメント。

 続いてアミアンやニーム、そして、リーグ1ではPSGに次いで年間予算額2位のリヨンも採択を決めた。アミアンのベルナール・ジョアナン会長の「今日、すべてはウイルスの手の内にある。我々にはいつ再始動できるのか見当がつけられない」というコメントがすべてを代弁している感じだ。

 ニコラン会長は、現在の一番の懸念は、「中継がないあいだのテレビ放映権料がどうなるかだ。今シーズンの支払いはあと2回残っている」とも話した。

 放映権料は、年間およそ3億ユーロ(約358億円)をリーグ1と2のクラブで分配する。どのクラブにとっても、年間予算の重要な柱であるから、試合がなかった期間について、当初の支払い期日に支払いがあるかは微妙なところだろう。

ある企画も

 一方でLFPは、現在放映権をもつBeINスポーツとカナル・プリュスに対し、過去10年間の全試合を再放送することを許可する寛大な策を発表した。視聴者はサッカー中継に飢えている。そして放送局は、視聴者離れを心配している。その両者にとってwin-winになるように、というはからいだ。

 22日の日曜には、マルセイユ対PSGのクラシコが行われるはずだった。現在マルセイユは2位につけているから、今シーズンは1位VS2位対決という、クラシコにふさわしい対戦になる予定だったのだが。

『レキップ紙』は、クラシコおあずけを癒そうと、両チームのこれまでのオールタイム・ベストイレブンを選ぶ企画を実施している。これまで10万人近くが投票と、けっこうな盛り上がりで、ここまでの結果はごらんの通り。

【PSG】4-4-2
GK:ベルナール・ラマ
DF: ロラン・フォルニエ、マルキーニョス、リカルド、ガブリエル・エインセ
守備的MF: ブレイズ・マテュイティ、マルコ・ベラッティ
攻撃的MF:ロナウジーニョ、ライー
FW:ジョージ・ウェア、ズラタン・イブラヒモビッチとペドロ・パウレタが同率

監督:ルイス・フェルナンデスとカルロ・アンチェロッティが同率

【マルセイユ】4-4-2
GK:ファビアン・バルテス
DF: マニュエル・アモロス、バシール・ボリ、カルロス・モーゼル、エリック・ディ・メコ
守備的MF:ディディエ・デシャン、フランク・ソゼー
攻撃的MF:クリス・ウォドル、アベディ・ペレ
FW:ジャン・ピエール・パパン、ディディエ・ドログバ

監督:レイモン・ゲタルス

 PSGは最近の選手が多く、マルセイユは80年代の選手が中心、というのが特徴的。指揮官では、93年のチャンピオンズリーグ(CL)優勝を実現したベルギー人監督ゲタルスが7割以上の票を獲得した。選手の票はトップの得票率が2〜30%程度と割れがちだが、マルセイユのGKバルテスだけは72%とダントツの数字を挙げている。

 EURO(欧州選手権)の開催も1年延期となり、前例のない展開となっているが、過去の名戦など振り返りつつ、ポジティブに過ごしたいところだ。

(文:小川由紀子【フランス】)