大久保嘉人が爆発も…(2015年)

 Jリーグの各クラブは、毎年メンバーを変えながらシーズンを戦っている。5年前と比べると、ほとんどのチームでメンバーの大半が入れ替わっていることがわかる。今回、フットボールチャンネルでは、川崎フロンターレの過去5年間の主要メンバーや基本システムをシーズンごとに紹介していく。

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【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:6位(1st:5位/2nd:7位)
ヤマザキナビスコカップ:グループリーグ敗退
天皇杯:4回戦敗退

 風間八宏監督体制の4年目。タイトル獲得を目指した川崎フロンターレは、オフ期間にDF角田誠、FW船山貴之、FW杉本健勇、DFエウシーニョらを新戦力に加えた。また、DF板倉滉やMF三好康児がユースから昇格したのもこの年のことであった。

 横浜F・マリノスとの「神奈川ダービー」を制してスタートした2015シーズン。川崎Fはリーグ戦開幕7試合でわずか1敗と好スタートを切っていた。同7試合で複数得点を記録したのはなんと5回。風間監督の下で培ってきた「攻撃的なサッカー」が序盤からその威力を発揮していたと言える。

 しかし、チームは第8節の柏レイソル戦(1-4)から3連敗を喫するなど急失速。最後は3連勝で締めたものの、タイトル獲得には少し遠い5位で1stステージを終えている。

 そして巻き返しを狙った2ndステージでも、川崎Fは苦戦を強いられる。最大の痛手は攻撃の要とも言えたFWレナトの広州富力への移籍だろう。主力を引き抜かれた同チームは攻撃陣の歯車が噛み合わなくなり、リーグ戦4試合連続未勝利なども経験。2ndステージは7位で総合順位は6位、ヤマザキナビスコカップはグループリーグ敗退、天皇杯も4回戦で敗退とこの年も無冠に終わった。

 FW大久保嘉人が史上初となる3季連続得点王に輝くなど、攻撃力の高さは明らかだった。しかし、守備面の課題が多く残されたのも事実。カウンターで簡単にゴールを割られることも多く、大事な試合で勝ち切れないことが目立った。結果論にはなってしまうが、タイトル獲得に向けたチームとしての完成度は物足りなかったと言えるかもしれない。

▽GK
新井章太

▽DF
谷口彰悟
武岡優斗
小宮山尊信

▽MF
大島僚太
中村憲剛
エウシーニョ
中野嘉大
小林悠
田坂祐介

▽FW
大久保嘉人

タイトル獲得にあと一歩届かず(2016年)

【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:3位(1st:2位/2nd:3位)
YBCルヴァンカップ:グループリーグ敗退
天皇杯:準優勝

 クラブ創設20周年の節目に初タイトル獲得をと意気込んで挑んだ2016シーズン。オフ期間にはGKチョン・ソンリョン、DF奈良竜樹、元ブラジルU-21代表のDFエドゥアルドなどを補強。近年の課題と見られていた守備の改善を進めている。悲願の初タイトルへ、期待値は十分だったと言えるだろう。

 チームは序盤、その期待通りの成績を収める。1stステージではわずか1敗しか喫しておらず、ステージ優勝は果たせなかったものの2位につける。2ndステージは5敗するなどやや勢いは落ちたが、それでも3位につけた。総合順位は3位となり、川崎フロンターレは見事クラブ初となるチャンピオンシップ(CS)出場を果たしたのだ。

 しかし、CSの準決勝ではFW金崎夢生の一発に沈み鹿島アントラーズに0-1で敗北。リーグ戦での優勝は幻となった。その後、天皇杯で決勝に進んだ川崎Fであったが、再び立ちはだかったのは鹿島。延長戦の末に敗れ、タイトル獲得をあと一歩のところで逃した。

 チームとしての強度は、2015シーズンよりも遥かに上がっていた。MF中村憲剛は年間MVPを獲得するなど奮闘し、FW小林悠も15得点9アシストとキャリア最高を記録。MF大島僚太はリオデジャネイロオリンピック出場の影響で疲労の蓄積もあったが最後まで中盤を支え、新加入のGKチョン・ソンリョンもハイパフォーマンスを見せるなど、個人の出来も悪くはなかった。

 しかし、1stステージ優勝を目前とした第16節のアビスパ福岡戦でドロー(ここで鹿島に順位を抜かれている)、CS準決勝や天皇杯決勝で敗れたりと、ここ一番の勝負強さは物足りなかった。比較的ポジティブな要素が多かったシーズンとも言えたが、タイトルを獲れなかったのがもったいなく、そして何よりも悔やまれるシーズンといった印象の方が強いだろう。

▽GK
チョン・ソンリョン

▽DF
エドゥアルド
田坂祐介
谷口彰悟

▽MF
大島僚太
エドゥアルド・ネット
エウシーニョ
車屋紳太郎
小林悠
中村憲剛

▽FW
大久保嘉人

悲願のJ1初制覇(2017年)

【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:1位(21勝9分4敗)
YBCルヴァンカップ:準優勝
天皇杯:ベスト8
AFCチャンピオンズリーグ:ベスト8

 川崎フロンターレを5年間率いた風間八宏監督が2016シーズンをもって退任し、2017シーズンよりそれまでコーチを務めていた鬼木達氏が新監督に就任することになった。もちろん、このシーズンでも求められたのは「タイトルの獲得」である。

 ただ、開幕前はどちらかと言うと不安の方が大きかった。新指揮官はそれまで監督経験がなく、どこまでチームをまとめられるか不透明。さらにエースのFW大久保嘉人がFC東京に移籍。そして、このシーズンはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)にも出場することとなっており、日程面との戦いも出てくる。厳しいシーズンとなっても不思議ではなかった。

 その予想通り、序盤は苦戦を強いられた。第9節終了時点の順位は9位。優勝争いとは無縁と言えた。とくに第9節のセレッソ大阪戦は0-2と完敗を喫しており、内容面でも不安がなかったわけではなかった。

 しかし、川崎Fはここから怒涛の追い上げを見せる。MF阿部浩之やMF家長昭博ら新戦力も徐々にフィットし始め、風間監督の下で培った攻撃力にハードワークを肉付けした鬼木監督の戦術もその強度を誇るようになり、全体的に安定感が生まれる。内容だけでなく、結果もしっかりと付いてくるようになった。

 第20節のFC東京戦から第33節の浦和レッズ戦まで14試合無敗を記録。そして最後は大宮アルディージャに5-0と快勝を収め、他会場の鹿島アントラーズがドローに終わったことで最終節でのリーグ優勝が決まった。最終節で首位に立って優勝を果たすのはJリーグ史上2回目のこととなった。

 FW小林悠はこの年、得点王と年間MVPを受賞。大久保の抜けたチームにおいて最大の得点源として奮闘した。さらに小林含めた計4名がベストイレブンに選出されるなど、攻守ともに安定したパフォーマンスが光った。

 ACLでもベスト8、YBCルヴァンカップでも準優勝と強さを見せつけた川崎F。基本システムもそれまでの3バックから4バックへと変更するなど鬼木監督による新たな血がチームにしっかりと注入された。開幕前は不安要素が多かった川崎Fだが、クラブの歴史を変える忘れられないシーズンとなった。

▽GK
チョン・ソンリョン

▽DF
奈良竜樹
谷口彰悟
エウシーニョ
車屋紳太郎

▽MF
大島僚太
エドゥアルド・ネット
家長昭博
阿部浩之
中村憲剛

▽FW
小林悠

J1連覇。強さは健在(2018年)

【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:1位(21勝6分7敗)
YBCルヴァンカップ:ベスト8
天皇杯:ベスト8
AFCチャンピオンズリーグ:グループリーグ敗退

 王者として挑んだ鬼木達監督体制の2年目。川崎フロンターレは他の17クラブから追われる立場に置かれたわけだが、J1王者の強さは揺るがなかった。このシーズンの川崎Fを総括するならば、「最強を証明した」と言えるのではないか。

 優勝が決まったのは第32節のセレッソ大阪戦であった。最終節を待たずしての優勝はこれで3例目で、11月の国際Aマッチウィーク前に決まるのはJリーグ史上初の快挙である。

 また、リーグ戦総得点「57」、同総失点「27」はどちらもリーグ最高の数字。序盤はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)との両立に苦しみサンフレッチェ広島を追う立場にあったが、リーグ中盤からは抜群の安定感を誇ったと言えるだろう。

 以前までは選手層の薄さが指摘されることもあったが、この年はチームとしての完成度も高かった。もともと風間八宏監督時代に培ったものを引き継ぎ、発展させてきた鬼木達監督のサッカーは熟成期に入っており、今あるスタイルを極めていく過程に、新加入選手や若手選手たちが見事に融合していった。MF守田英正らの台頭も大きく、このあたりは収穫の一つに数えられるだろう。

「王者」としてのプレッシャーを抱えながら挑んだ2018シーズン。川崎Fは見事にその重圧を跳ね返した。その姿はまさに「王者」に相応しかったと言えるだろう。

▽GK
チョン・ソンリョン

▽DF
奈良竜樹
谷口彰悟
エウシーニョ
車屋紳太郎

▽MF
守田英正
大島僚太
家長昭博
阿部浩之
中村憲剛

▽FW
小林悠

リーグ3連覇は逃すも…(2019年)

【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:4位(16勝12分6敗)
YBCルヴァンカップ:優勝
天皇杯:ベスト16
AFCチャンピオンズリーグ:グループリーグ敗退

 鬼木達監督体制の3年目。川崎フロンターレの目標は、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)も含めた全タイトルの獲得である。

 ロンドン五輪で得点王に輝いたFWレアンドロ・ダミアンなどを新戦力に加えた川崎Fは、リーグ開幕から4試合勝ちなしとスタートダッシュに失敗。しかしその後は10試合連続無敗を記録するなど、徐々に調子を上げていった。

 しかし、得意としていた夏場にその勢いは半減。8月はリーグ戦未勝利に終わっており、その後もポイントを落とした川崎Fの順位は一時6位にまで落ち、優勝争いから一歩後退した。最後は驚異的な粘りを見せ勝ち点を稼いだものの、4位でフィニッシュ。リーグ3連覇は果たせなかった。

 ACL出場による日程の問題、対戦相手の対策も進み、勝ち切れない試合が増えた。リーグ戦12分は全18チーム中2番目に多い数字であり、なかなかチームを構築できず思ったように勝ち点が伸ばせなかった。MF中村憲剛の負傷なども痛手となったが、全タイトル獲得を目標に掲げたチームからすると、やや物足りなさが残るシーズンとなった。

 ただ、北海道コンサドーレ札幌との壮絶な打ち合いを制し、クラブ史上初のYBCルヴァンカップ制覇を果たした。成し遂げたことのなかったカップ戦のタイトルを獲得できたことは今後へと繋がっていくことは確かで、このあたりは収穫であった。

 2016年まで主要タイトル「0」だった川崎Fが、2017年から3つのタイトルを獲得。その成長ぶりは驚異的とも言えるだろう。

▽GK
チョン・ソンリョン

▽DF
ジェジエウ
谷口彰悟
登里享平
車屋紳太郎

▽MF
田中碧
大島僚太
家長昭博
阿部浩之
中村憲剛

▽FW
小林悠