夏場の8連敗が響き…(2015年)

 Jリーグの各クラブは、毎年メンバーを変えながらシーズンを戦っている。5年前と比べると、ほとんどのチームでメンバーの大半が入れ替わっていることがわかる。今回、フットボールチャンネルでは、横浜FCの過去5年間の主要メンバーや基本システムをシーズンごとに紹介していく。

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【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:15位(13勝13分16敗)
天皇杯:2回戦敗退

 2012シーズン途中より横浜FCを率いた山口素弘監督が2014シーズンをもって退任。2015シーズンからは年代別スロベニア代表、クロアチアのFCザグレブなどでの指導歴を持つミロシュ・ルス氏が新指揮官に就任することとなった。

 この年は選手の出入りがほとんどなく、既存戦力でシーズンを戦うことができた横浜FC。4-4-2のフォーメーションを基本とした同チームはリーグ開幕から3試合で2勝1分の成績を収めるなど、スタートは決して悪くなかった。

 しかし、第4節のセレッソ大阪戦で0-2の完敗を喫すると、そこからチームの調子は急下降。第4節から第9節までの6試合でわずか1勝と苦しみ、一気に昇格争いから離脱を強いられた。

 もっとも厳しかったのが夏場だ。なかなかリズムを掴めなかった横浜FCは第24節のロアッソ熊本戦から第31節のコンサドーレ札幌戦まで泥沼の8連敗。同8試合で得点数はわずか「2」、失点数は「21」にも積み上がるなど攻守両面における歯車は完全に狂った。

 その後、ルス監督が成績不振、自身の健康上の問題を理由に退任。後任にはテクニカルディレクターを務めていた中田仁司氏が就いたが、チームの調子が上向くことはなく15位でリーグ戦をフィニッシュ。不振のシーズンとなった。

 総得点数はわずか「33」、総失点数は「58」にも上るなど攻守両面でストロングポイントの無さが目立った横浜FC。得失点−25はリーグワースト2位となる数字だった。この年は既存戦力で戦うことができたが、競争を促す意味でも新戦力の存在があっても良かったのかもしれない。

▽GK
南雄太

▽DF
パク・テホン
野上結貴
市村篤司
永田拓也

▽MF
中里崇宏
寺田伸一
松下年宏
小池純輝

▽FW
小野瀬康介
大久保哲哉

助っ人のイバが爆発(2016年)

【シーズン成績】
明治安田生命J2リーグ:8位(16勝11分15敗)
天皇杯:ベスト16

 前年の不振を払拭したい横浜FCは、2015シーズンの途中に指揮官を退任したミロシュ・ルス氏を再び新監督に招聘。オフ期間にはMFグエン・トゥアン・アイン、DFデニス・ハリロビッチを、そして開幕直後にノルウェー人FWのイバを新戦力に加えるなど、前年とは違い積極的な補強を行った。

 ところが、チームはリーグ開幕から3連敗といきなり躓く。その後は7試合連続無敗を記録するなど一度は立て直したかに思えたが、第13節から第19節までの7試合で未勝利に陥るなど安定感を欠き、なかなか上位に食い込むことができなかった。

 さらに、6月中にはルス監督が不整脈の治療に専念するためにまたも指揮官を途中辞任。後任には2015シーズンと同じく中田仁司氏が就くことになった。

 しかし、2季連続の緊急登板となった中田監督だが、就任後はしっかりと結果を出した。選手の能力を生かした大崩れしないチームを作り上げ、一時は13位にも沈んだチームを昇格プレーオフ圏内が見える順位にまで押し上げている。リーグ戦ラスト3試合で未勝利に終わるなど最後は力尽きたが、手腕を示したと言えるだろう。

 また、新加入のイバはリーグ戦40試合の出場で18得点を挙げるなど爆発。チームに新たな可能性をもたらした。チームの総得点数も前年の「33」から「50」へと増えており、イバだけでなく攻撃陣全体も奮闘したと言えるだろう。

 守備陣の課題は相変わらず残ったが、2016シーズンは2017シーズンへ向けての期待を抱かせる一年となった。

▽GK
南雄太

▽DF
大崎玲央
西河翔吾
藤井悠太
永田拓也

▽MF
佐藤謙介
中里崇宏
野崎陽介
野村直輝

▽FW
イバ
津田知宏

監督交代の賭けに出るも…(2017年)

【シーズン成績】
明治安田生命J2リーグ:10位(17勝12分13敗)
天皇杯:2回戦敗退

 中田仁司監督体制の2年目。オフ期間にはFWイバら主力の流出を阻止しつつDFカルフィン・ヨン・アピンやDF小宮山尊信といった計算の出来るベテラン、MF増山朝陽やMFジョン・チュングンといった大化けの可能性を秘める原石を補強している。目指すはもちろん、2007年以来となるJ1復帰だ。

 チームはここ数年で一番とも言えるほどの好スタートを切った。開幕から4試合で3勝1分とした横浜FCは、その後も攻守両面で強みを生かし勝ち点を継続して奪取。第10節のロアッソ熊本戦終了時には首位にも浮上している。昇格への期待は高まった。

 しかし、課題となっていた夏場の戦いで再びチームは調子を崩す。第15節のファジアーノ岡山戦を1-2で落とすとそこから連敗。その後は一度立て直すも、第19節から第22節までで4連敗を喫するなど、首位に立っていたチームの順位は11位にまで落ちていた。

 7月中にはMFレアンドロ・ドミンゲスが加入。チームの基本システムも4連敗を喫して以降、それまでの4-4-2から4-2-3-1に変更されるなど、中田監督は目標である昇格に向け修正を図った。しかし、第37節終了時点で昇格プレーオフ圏外にいた状況を危惧したクラブは中田監督を解任。シーズン終盤にエジソン・アラウージョ・タヴァレス氏を新監督に迎えるなど、“賭けに出た”のだ。

 しかし、“ブースト”は発動できず。タヴァレス監督就任後の4試合でわずか1勝に留まるなど、10位でリーグ戦をフィニッシュ。後味の悪いシーズンとなってしまった。

▽GK
高丘陽平

▽DF
カルフィン・ヨン・アピン
西河翔吾
藤井悠太
田所諒

▽MF
中里崇宏
佐藤謙介
ジョン・チュングン
野村直輝
レアンドロ・ドミンゲス

▽FW
イバ

昇格プレーオフに出場(2018年)

【シーズン成績】
明治安田生命J2リーグ:3位(21勝13分8敗)
天皇杯:3回戦敗退

 エジソン・アラウージョ・タヴァレス監督体制の2年目。横浜FCはここ数年で最もJ1昇格に近づくことができた。

 開幕直後の成績を見ても、決して順調とは言えなかった。第6節から第10節までの5試合で連続未勝利に終わるなど、順位は一時10位と低迷。この時点では昇格争いとは無縁であった。

 ただ、タヴァレス監督は第15節のジェフユナイテッド千葉戦からシステムを3-5-2に固定。選手個々に自主性を求めるスタイルをチームに埋め込み、追い風を送り込んだ。

 勝ち切れない試合も多かったのは事実だが、簡単に負けないチームに変化したのも事実。シーズン序盤は0-3や0-4と大差で敗れた試合も多かったが、シーズン中盤以降敗れた試合はすべて1点差のものであった。一時10位にまで落ちた順位も順調に回復していた。

 そして、最後は4連勝でリーグ戦を締めた横浜FCは3位につけ、昇格プレーオフ出場を果たした。4位に入ったFC町田ゼルビアがJ1ライセンスを保持していなかったため、横浜FCはプレーオフ準決勝からの出場。東京ヴェルディと対戦することになった。

 しかし、FWイバ、MFレアンドロ・ドミンゲスと前線に決定的な仕事を果たせる選手を抱えていた横浜FCだったが、重要な試合で攻撃陣が沈黙。引き分けでも決勝行きを確定させることができる状況だったが、FWドウグラス・ヴィエイラの一発に沈み敗退となった。

 リーグ戦では確かな強みを生かした横浜FCであったが、緊張感漂うプレーオフではそうもいかず。ただただ悔しさが残る一年となった。

▽GK
南雄太

▽DF
田代真一
ペ・スンジン
カルフィン・ヨン・アピン

▽MF
佐藤謙介
渡邊一仁
野村直輝
北爪健吾
武田英二郎

▽FW
レアンドロ・ドミンゲス
イバ

悲願のJ1昇格へ(2019年)

【シーズン成績】
明治安田生命J2リーグ:2位(23勝10分9敗)
天皇杯:3回戦敗退

 2018シーズンの悔しさを胸に迎えた2019シーズンは横浜FCにとって忘れられないものとなった。

 このシーズンのリーグ戦は連敗スタートだった。第3節の栃木SC戦では1-0の勝利を収めるものの、その後は連勝がなく勝ち点を伸ばせない。3-4-2-1システムを基本としたチームは完全に勢いを失い、第13節のFC町田ゼルビア戦終了時点で14位と苦戦を強いられた。

 その後、クラブは成績不振でエジソン・アラウージョ・タヴァレス監督を解任。昇格へ向けて、チームに募る不安は山積みであった。

 しかし、この男がチームを見事に立て直した。下平隆宏氏だ。この年よりヘッドコーチに就任していた同氏はタヴァレス監督の解任に伴い緊急昇格。柏レイソル時代と同じく、またも突然の指揮官就任となった。

 そして、上記した通り下平監督は見事にチームを立て直した。シーズン途中からはシステムを4-2-3-1に固定し、チームのスタイルを確立。戦い方をブラさず、安定した試合運びを見せた。

 第19節から第36節まで、7連勝を含む18試合負けなしでクラブ記録も更新。監督解任に揺れた横浜FCは他のクラブを次々と追い越し昇格を争うようになった。MF中村俊輔、MF松井大輔、DF伊野波雅彦らベテランのみならずMF松尾佑介といった若手選手もピッチでしっかりと能力を示すようになるなど、チームの勢いはもう誰も止められなかった。

 そして、すべての運命が決まる最終節で愛媛FCに2-0と勝利。優勝は柏に許したが、2位につけ実に13年ぶりとなるJ1への切符を掴み取った。長年J2で苦しんだ横浜FCの歴史が、ここで再び動くこととなった。

▽GK
南雄太

▽DF
伊野波雅彦
カルフィン・ヨン・アピン
北爪健吾
武田英二郎

▽MF
田代真一
松井大輔
中山克広
松尾佑介
レアンドロ・ドミンゲス

▽FW
イバ