クラブ史上初のJ2降格(2015年)

 Jリーグの各クラブは、毎年メンバーを変えながらシーズンを戦っている。5年前と比べると、ほとんどのチームでメンバーの大半が入れ替わっていることがわかる。今回、フットボールチャンネルでは、清水エスパルスの過去5年間の主要メンバーや基本システムをシーズンごとに紹介していく。

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【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:17位(1st:18位/2nd:17位)
ヤマザキナビスコカップ:グループリーグ敗退
天皇杯:4回戦敗退

 大榎克己監督体制の2年目。近年の不振から脱却したい清水エスパルスは、オフ期間にFWピーター・ウタカ、FWミッチェル・デュークらを新戦力として加えた。また、MF白崎凌兵、MF枝村匠馬らがレンタルから復帰、FW北川航也がユースから昇格、DF松原后が浜松開成館高校から加入したのもこの年のことであった。

 開幕戦の鹿島アントラーズ戦を3-1で制すなど、スタートは上々…かと思いきや、チームはそこから大崩れ。第3節から第7節まで5連敗を喫して一気に下位に沈むと、以降もなかなか勝ち点を奪えない。結局、1stステージではわずか3勝しか挙げることができず、最下位フィニッシュ。クラブ史上最低の成績を記録してしまった。

 巻き返しを図った2ndステージでも、4戦未勝利スタートとなるなど低迷。そして「降格」が現実的となってきた2ndステージ第5節終了後に、クラブは大榎監督を成績不振で解任。ヘッドコーチを務めていた田坂和昭氏を新監督とし、残留を目指した。

 8月にはFW鄭大世、DF角田誠を加えるなど戦力補強も行った。しかし、チームの調子はなかなか上向かない。得点数が伸びず、失点数が増えるなど暗いトンネルから抜け出す術を見つけ出すことができなかった。

 そして、2ndステージ第14節のベガルタ仙台戦を0-1で落とし、クラブ史上初のJ2降格が確定。結果的に2ndステージで挙げた白星はわずか「2回」に終わるなど、地獄のシーズンとなってしまった。

 一年通してチームの形が定まらず。大榎監督、田坂監督ともに様々なフォーメーションを試したが最後まで最適解は見出せず、メンバーも頻繁に入れ替わった。その証拠に、チーム内でリーグ戦30試合以上に出場したのはFW大前元紀のみだった。

 攻撃時は個人頼みのものが目立ち、守備時には軽率なミスが散見されるなど良い所を何一つ生み出せなかったのも問題。クラブ史上初のJ2降格は、必然と言えたのかもしれない。

▽GK
杉山力裕

▽DF
平岡康裕
角田誠
六平光成
鎌田翔雅

▽MF
本田拓也
枝村匠馬
大前元紀
ミッチェル・デューク

▽FW
鄭大世
ピーター・ウタカ

一年でのJ1復帰(2016年)

【シーズン成績】
明治安田生命J2リーグ:2位(25勝9分8敗)
天皇杯:4回戦敗退

 クラブ史上初のJ2降格を喫した清水エスパルス。田坂和昭監督は2015シーズン終了をもって辞任し、クラブは新指揮官に「昇格請負人」の小林伸二氏を迎えている。

 一年でのJ1昇格を目標に掲げた清水であったが、リーグ序盤は不慣れなJ2の舞台に苦戦。開幕4試合でわずか1勝とスタートダッシュに失敗すると、以降も安定して勝ち点を奪うことができない。第11節から第14節まで4試合連続未勝利も味わうなどし、第19節終了時点でプレーオフ出場圏外の8位につけるなど、なかなかギアが上がらなかった。

 しかし、チームは夏場以降に猛烈な追い上げを見せる。第28節のV・ファーレン長崎戦を2-0で制すと、その後も安定した戦いぶりで白星を挙げ続け勝ち点を積み上げる。第34節のセレッソ大阪戦から最終節の徳島ヴォルティス戦まで怒涛の9連勝を記録するなど強さを見せつけた清水は、最終的に自動昇格圏となる2位でリーグ戦をフィニッシュ。見事一年でのJ1復帰を果たすことになった。

 得点数は全42試合で「85」、失点数は同42試合で「37」となっているなど、攻守両面での安定感が光った。序盤はJ2という不慣れな舞台に苦戦したが、第25節以降の18試合で年間勝ち点の半分となる46ポイントを稼ぐなど、リーグ中盤戦以降の強さは圧巻とも言えた。

 また、この年はDF松原后、MF白崎凌兵、FW金子翔太などの若手選手が台頭。このあたりも大きな収穫となった。

▽GK
植草裕樹

▽DF
犬飼智也
角田誠
三浦弦太
松原后

▽MF
河井陽介
竹内涼
枝村匠馬
白崎凌兵

▽FW
大前元紀
鄭大世

負傷者続出も意地の残留(2017年)

【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:14位(8勝10分16敗)
YBCルヴァンカップ:グループリーグ敗退
天皇杯:4回戦敗退

 チームをJ1復帰に導いた小林伸二監督がこの年も指揮を執ることになった。名門が目指すは、もちろん残留だ。

 ただ、戦力面での不安は山積みであった。FW大前元紀、DF三浦弦太、MF本田拓也らクラブを支えた選手が揃って退団。即戦力級の補強はGK六反勇治のみで、DFカヌ、DFフレイレに関してはどこまで高い強度を誇れるか未知数であった。このあたりのダメージがどこまで響くのかは、このシーズンのポイントとも言えただろう。

 そして、その不安は虚しくも的中してしまうことになる。2016シーズンにJ2で「85得点」を挙げた攻撃陣の威力は影を潜め、リーグ前半戦から勝ち切れない試合が続く。第7節から第15節までの9試合で連続未勝利に終わり、さらにDF角田誠、DF犬飼智也が負傷離脱を強いられるなど守備面でも安定感を欠いた。前半戦は13位で終えている。

 後半戦はもっと苦しかった。チームの精神的な支柱でもあったFW鄭大世、攻守両面で高い貢献度を誇っていたMF六平光成が負傷離脱。チームのバランスは崩れ、第26節から第33節まで8試合連続未勝利も味わい、順位は15位にまで落ちた。最終節で敗れれば降格の可能性もあるという、厳しい状況に追い込まれたのだ。

 それでも、名門は意地を見せた。最終節のヴィッセル神戸戦で3-1と勝利し、見事残留を手繰り寄せたのである。

 残留を決めることができたのは大きかった。ただ、シーズン全体を振り返るとやはり満足はできない。負傷者が相次いだことはもちろん影響しているが、フレイレ、カヌ、MF野津田岳人ら新加入選手がことごとく不発に終わり、予想以上の苦戦を強いられた。シーズン途中の加入となったFWチアゴ・アウベスも加入当初はインパクトを残したが、一貫性を欠いた。

 この年は得点数「36」に留まり、失点数は「54」にも積み上がっている。J2では攻守両面で強みを生かした清水であったが、この年は改めてJ1というトップカテゴリーの厳しさを痛感させられることになった。

▽GK
六反勇治

▽DF
犬飼智也
角田誠
鎌田翔雅
松原后

▽MF
六平光成
竹内涼
枝村匠馬
白崎凌兵

▽FW
金子翔太
鄭大世

飛躍の年に(2018年)

【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:8位(14勝7分13敗)
YBCルヴァンカップ:グループリーグ敗退
天皇杯:3回戦敗退

 清水エスパルスは、2016シーズンより指揮を執った小林伸二監督を2017シーズン終了後に成績不振を理由に解任。この年より、スウェーデン人のヤン・ヨンソン氏が新たな指揮官に就任することとなった。

 第1節から第4節までに2勝2分という成績を収めるなどスタートダッシュに成功した清水。しかし、その後は6試合連続未勝利に陥るなど安定感を欠き、一時13位にまで順位を落としている。以降も2連勝のあとに2連敗を喫するなど、継続してポイントを稼げない時期が続いていた。

 後半戦も4連勝のあとに6試合連続未勝利に終わるなど安定性を欠いた清水。それでも、最後は7試合連続無敗でリーグ戦を駆け抜け、8位でフィニッシュ。開幕前は降格候補にも挙げられていたチームからすれば、飛躍を果たしたと言えるのではないか。

 8位躍進の原動力となったのは攻撃陣の奮起だろう。全34試合で「56得点」という数字はこの年優勝を果たした川崎フロンターレに次いで2位タイとなっている。その中で特筆すべきはFW北川航也とFWドウグラスの2トップだ。前者は13得点を叩き出すなどブレイクを果たし、後者も途中加入ながら11得点を叩き出すなどストライカーとしての仕事を全うした。彼らの抜群の連係、そして得点力は他の17クラブにとって脅威となっていたのは明らかだ。

 北川以外にもMF金子翔太が10得点7アシストを記録、DF立田悠悟が定位置を確保するなどこの年は若手の台頭も目立った。GK六反勇治、FW鄭大世、DFファン・ソッコら経験豊富な選手たちも相変わらず高い貢献度を誇っており、ヨンソン監督の采配も光る。この年の清水はチームとして非常に魅力的であったと言えるだろう。

 近年低迷が続いていた清水にわずかな希望の光が射し込んだ。2018シーズンはそんな1年になったと言えるのではないか。

▽GK
六反勇治

▽DF
ファン・ソッコ
フレイレ
立田悠悟
松原后

▽MF
河井陽介
竹内涼
金子翔太
白崎凌兵

▽FW
ドウグラス
北川航也

守備崩壊。ドウグラスがいなければ…(2019年)

【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:12位(11勝6分17敗)
YBCルヴァンカップ:グループリーグ敗退
天皇杯:ベスト4

 ヤン・ヨンソン監督体制の2年目。前年のリーグ戦で8位と躍進を果たした清水エスパルスには、そこからの更なる上積みが期待されていた。しかし、蓋を開けてみるとそこに待っていたのは苦悩の日々であった。

 開幕から怪我人が続出した影響で、清水は6試合連続未勝利スタートを切るなどいきなり躓く。第7節と第8節では連勝を記録したものの、その後3連敗を喫して自動降格圏となる17位に低迷した。

 この状況を危惧した清水はヨンソン監督の解任を決断。コーチを務めていた篠田善之氏を新監督に迎え、巻き返しを図った。

 その後、チームは5試合連続無敗を記録するなど一時は立て直した。篠田監督は途中からシステムを4-2-3-1に固定。決して上位を狙えるチームではなかったが、一時最下位に沈んだチームを第27節終了時点で10位にまで引き上げることに成功していた。

 ただ、リーグ戦も終盤に差し掛かったところで悪夢の6試合連続未勝利を喫した清水。最終節のサガン鳥栖戦に勝利したことで降格は免れたが、非常にギリギリでの残留であった。失点数「69」と得失点「−24」はいずれもJ1全18クラブ中最低の数字。順位こそ12位となったが、課題が多く残されたシーズンとなった。

 FW北川航也がシーズン途中に欧州移籍を決断する中、FWドウグラスは14得点を叩き出すなど奮闘。最終節でもチームを救ったのはこのブラジル人ストライカーであった。ただ、彼への依存度が高すぎたせいでチームとしてのストロングポイントはあまり発揮できなかった。「ドウグラスがいなければ」最悪の結末が待っていたかもしれない。

 なかなか長く暗いトンネルから抜け出せない清水エスパルス。2020シーズンに王国復権は果たせるのだろうか。

▽GK
大久保択生

▽DF
ファン・ソッコ
二見宏志
エウシーニョ
松原后

▽MF
ヘナト・アウグスト
竹内涼
金子翔太
西澤健太
河井陽介

▽FW
ドウグラス