ネルシーニョ招聘も…(2015年)

 Jリーグの各クラブは、毎年メンバーを変えながらシーズンを戦っている。5年前と比べると、ほとんどのチームでメンバーの大半が入れ替わっていることがわかる。今回、フットボールチャンネルでは、ヴィッセル神戸の過去5年間の主要メンバーや基本システムをシーズンごとに紹介していく。

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【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:12位(1st:13位/2nd:13位)
ヤマザキナビスコカップ:ベスト4
天皇杯:ベスト8

 創設20周年という節目の年を迎えたヴィッセル神戸は、このシーズンより柏レイソルをJリーグ王者、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)・ベスト4に導いた名将ネルシーニョを新指揮官に迎えている。オフ期間にはDF高橋祥平、FW渡邉千真、DF安田理大、“和製C・ロナウド”の異名を持つMF増山朝陽らが新戦力として加入。目指すは上位への進出であった。

 開幕3試合を1分2敗の成績で終えるなどスタートダッシュにこそ失敗した神戸であったが、第4節から第7節の4試合では無敗を記録するなどうまく立て直した。しかし、その後は10番を背負っていたMF森岡亮太、FWペドロ・ジュニオールと主力に故障者が相次ぎ、攻撃面で迫力失い勝ち星を取り損ねるゲームが増加。結局、第7節の鹿島アントラーズ戦以降勝利を収められたのはわずか1試合となり、1stステージは13位と低迷してしまった。

 この状況を打開しようと、神戸は2ndステージ開幕前にFWレアンドロを獲得。2008年以来7年ぶりに復帰を果たしたブラジル人FWに上位進出への期待を託した。

 迎えた2ndステージ開幕節の清水エスパルス戦は、レアンドロの活躍もあり5-0と大勝。好スタートを切った。ところが、第3節から第5節まで3連敗を喫するなど調子を崩すと、その後にも5連敗を喫してしまうなど上位進出へのキッカケを最後まで掴むことができず。結局、2ndステージは13位、年間12位でこのシーズンを締めることになった。

 実力者が揃っていたのは事実だが、主力にけが人が相次いでしまったのは最大の誤算であった。選手層はそこまで厚いとも言えないため、このあたりのマネジメントも非常に難しかったと言えるだろう。また、シーズン中にネルシーニョ監督も苦言を呈したように、本拠ノエビアスタジアム神戸のピッチコンディションが非常に悪い時期もあった。この点もチームの成績に影響を与えたのかもしれない。

 ヤマザキナビスコカップではベスト4、天皇杯ではベスト8に進出するなどまずまずの成績は収めた神戸であったが、リーグ戦のパフォーマンスはあまり評価できない。ネルシーニョ体制1年目は課題の残るシーズンとなった。

▽GK
山本海人

▽DF
北本久仁衛
岩波拓也
高橋祥平

▽MF
三原雅俊
チョン・ウヨン
高橋峻希
安田理大
石津大介
森岡亮太

▽FW
渡邉千真

過去最高順位を記録(2016年)

【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:7位(1st:12位/2nd:2位)
YBCルヴァンカップ:ベスト8
天皇杯:4回戦敗退

 ネルシーニョ体制の2年目。ヴィッセル神戸はオフ期間にGKキム・スンギュ、MF藤田直之、DF伊野波雅彦などを獲得している。前年のリーグ戦では年間12位と不完全燃焼に終わってしまった神戸だったが、上位進出を果たすことができるかに注目が集まった。

 スタートはまずまずだった。神戸は第1節のヴァンフォーレ甲府戦こそ落としたものの、その後は調子を取り戻し勝ち点を積み上げる。第11節の名古屋グランパス戦終了時点で5位につけるなど、決して悪い成績ではなかった。しかし、第12節の川崎フロンターレ戦で1-3と完敗を喫すると、チームは大崩れ。結局6試合連続未勝利のままステージ最終節を終えてしまい、12位で2ndステージへ向かうことになった。

 1stステージではチームの核を見出すことができず、組織作りがなかなか進まなかった。特にネルシーニョ監督のサッカーの肝となるダブルボランチでは、藤田の相方を固定することができず。このあたりが少し曖昧となった。FWペドロ・ジュニオールの復調、FWレアンドロの破壊力と攻撃陣は奮闘していただけに、12位という成績は少し勿体なかった。

 ただ、2ndステージでチームは見事なパフォーマンスを披露する。プラスに働いたのは夏場の補強だろう。神戸は浦和レッズからDF橋本和、ブラジルのインテルナシオナルからMFニウトンを獲得したのだ。

 すると神戸は、2ndステージ開幕から好調を維持。ニウトンの加入で中盤に安定感が生まれ、P・ジュニオールとレアンドロの破壊力は抜群、そこにFW渡邉千真や橋本らが絡むなど攻撃に厚みが生まれるようになり、次々と白星を重ねていった。神戸は最終的に2ndステージでは一度も連敗を記録することなく、2位という成績で終えることになった。

 年間順位は7位。J1におけるクラブ史上最高順位を記録することになった。また、レアンドロは年間19得点を挙げ得点王を獲得、大卒ルーキーのMF小林成豪、MF松下圭貴らの若手も奮闘するなど、個人のパフォーマンスも光っていた。

 2ndステージでの躍進を考えるとなおさら1stステージの成績が勿体なく思えるのも事実だが、この年の神戸は大きな収穫を手にしたと言えるだろう。2017シーズンへ向けての期待を抱かせたのは明らかだ。

▽GK
キム・スンギュ

▽DF
岩波拓也
伊野波雅彦
高橋峻希
橋本和

▽MF
ニウトン
藤田直之
三原雅俊
渡邉千真

▽FW
ペドロ・ジュニオール
レアンドロ

ポドルスキ加入もチームは…(2017年)

【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:9位(13勝5分16敗)
YBCルヴァンカップ:ベスト8
天皇杯:ベスト4

 ネルシーニョ体制の3年目。前年のリーグ戦でJ1におけるクラブ史上最高順位を記録したヴィッセル神戸への期待値は、当然ながら高かった。オフ期間にはDF渡部博文、MF高橋秀人、MF大森晃太郎など即戦力級の選手も多く補強。初の栄冠も視野に入れていたと言えるだろう。

 しかし、神戸は開幕から4連勝とスタートダッシュには成功したものの、第7節の柏レイソル戦を1-2で落とすとそこから4戦連続未勝利。チームの勢いは早々に失われた。

 最大の誤算は開幕戦で負傷したFWレアンドロが長期離脱を強いられたことか。2016シーズン得点王に輝いた同選手を欠いた神戸は攻撃面での迫力を失った。さらにFW渡邉千真やFW田中順也といった面々の序盤から不調にあえぎ、なかなか浮上のキッカケを掴めなかった。最終的に前半戦を11位で終えている。

 夏には3月に獲得を発表していたFWルーカス・ポドルスキが合流。ドイツ代表として世界一に輝き、アーセナルやケルンで活躍したレフティーには大きな期待が寄せられた。さらに神戸は元日本代表FWのハーフナー・マイク獲得も発表。後半戦の巻き返しを狙うべく、積極的な補強を行った。

 しかし、チームの調子は上向かず、8月にはネルシーニョ監督を解任。後任にヘッドコーチを務めていた吉田孝行氏を迎えた。

 新指揮官はまず守備の安定感を求めた。確かに渡部、DF岩波拓也、GKキム・スンギュらを中心として守備陣はシーズン中盤から奮闘していたと言えるだろう。しかし、攻撃陣はことごとく不発に終わった。レアンドロという絶対的存在を欠く中、ポドルスキやハーフナーといった新戦力は起爆剤にならず。ストロングポイントは見当たらなかった。この年のチーム最多得点者は渡邉で「8得点」。上位を狙うチームにしては少なすぎる数字だ。

 結局、神戸は3連敗フィニッシュでリーグ戦9位という成績に終わった。初の栄冠を目指し積極補強も行ったが、それが結果に表れることはなかった。ポドルスキ加入などの話題性はあったが、監督交代を行うなど厳しいシーズンになったと言えるだろう。

▽GK
キム・スンギュ

▽DF
岩波拓也
渡部博文
高橋峻希
橋本和

▽MF
ニウトン
藤田直之
小川慶治朗
大森晃太郎

▽FW
渡邉千真
ルーカス・ポドルスキ

イニエスタ加入&リージョ招聘(2018年)

【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:10位(12勝9分13敗)
YBCルヴァンカップ:プレーオフステージ敗退
天皇杯:4回戦敗退

 バルセロナを目指して吉田孝行監督体制2年目を迎えたヴィッセル神戸は、開幕から躓いた。第1節のサガン鳥栖戦を1-1で終えると、第3節のベガルタ仙台戦まで勝ちなし。その後は勝ち負けを繰り返すことになるのだが、第10節から第13節の4試合で連続未勝利に終わるなどなかなか上位への道を切り拓くことができなかった。

 そんな中、神戸はスペイン代表MFのアンドレス・イニエスタを完全移籍で獲得したことを発表。サッカーファンなら誰もが知る名手の来日は、日本国内だけでなく世界中で大きな話題となった。

 ロシアワールドカップ後にJリーグデビューを果たしたイニエスタは、日本の地でも圧巻のプレーを披露。チーム全体の勢いを加速させ、日本中の視線を集めた。さらにこちらも新加入のMF三田啓貴、若武者のMF郷家友太といった選手も奮闘してチームを牽引。彼らの活躍もあり、神戸は第23節終了時点で5位につけるなどAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権獲得を射程圏内に捉えていた。

 しかし、9月に入って3連敗を喫した神戸は吉田監督を解任。後任にはジョゼップ・グアルディオラ監督の師匠とも言われるファン・マヌエル・リージョを迎えた。これによりチームのスタイルもガラリと変わった。

 リージョ監督の初陣は第29節のV・ファーレン長崎戦。以降、スペイン人指揮官は5試合で指揮を執ったが、2勝2分1敗とまずまずの成績を収め、チームに残留をもたらした。

 12勝9分13敗の10位という成績は決して評価できるものではない。ただ、「バルセロナを目指す」ためにイニエスタを獲得、リージョ監督の招聘などクラブのビジョンは明確であった。終盤にはGK前川黛也を抜擢、DF伊野波雅彦の中盤起用など新指揮官の色も出ている。2019シーズンを見据えた新スタイルへの転換を図った点は決して悪くなかった。

 夏に加わったFW古橋亨梧、DF大崎玲央は主力に定着し、残留に貢献した。この点も収穫と言えるだろう。

「勝負は2019シーズン」。そんな思いが伝わるような2018シーズンとなった。

▽GK
キム・スンギュ

▽DF
大崎玲央
渡部博文
三原雅俊
ティーラトン

▽MF
藤田直之
伊野波雅彦
三田啓貴
ルーカス・ポドルスキ
アンドレス・イニエスタ

▽FW
古橋亨梧

バルサ化を加速させるも…(2019年)

【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:8位(14勝5分15敗)
YBCルヴァンカップ:グループリーグ敗退
天皇杯:優勝

 ファン・マヌエル・リージョ監督体制2年目となった2019シーズン。この年のヴィッセル神戸を表すならば、「激動」という言葉で十分なのかもしれない。

 オフ期間から神戸の動きは活発だった。同クラブはDF西大伍、MF山口蛍、FWダビド・ビジャら多くの実力者を獲得。さらにシーズン開幕直後には元バルセロナ所属のMFセルジ・サンペール、DFダンクレーを新戦力に加えるなど、“バルサ化”をさらに加速させた。ここにMFアンドレス・イニエスタ、FW古橋亨梧などの既存戦力もおり、Jリーグ屈指の陣容を揃えることに成功していた。

 開幕から5試合で3勝1分1敗とまずまずの成績を収めていた神戸。しかし、クラブに激震が走ったのは4月のこと。第6節と第7節で連敗を喫したその直後に、クラブはリージョ監督の意向で契約を解除したことを発表。さらにFWルーカス・ポドルスキが主将の辞任を表明するなど、日本中に衝撃を与えたのだ。

 揺れに揺れる神戸。新監督には再び吉田孝行氏が就いたが、チームの成績は安定せず、第6節から第12節まで泥沼の7連敗を記録している。順位は一気に下がり、残留争いを強いられることになった。

 転機となったのは6月。神戸は吉田監督が退任し、新指揮官にドイツ人のトルステン・フィンク氏を迎えることを発表したのだ。

 さらに神戸は夏場にベルギー代表DFのトーマス・フェルマーレン、DF酒井高徳、FW藤本憲明、GK飯倉大樹を獲得するなど積極補強を敢行。戦力アップを図り、巻き返しを狙ったのである。

 フィンク監督は就任後、システムを3バックに固定。より守備の安定性を求め、前線のスピードを生かした速攻も随所に組み込むなど攻守両面に新たな調味料を加えた。

 するとチームの調子は上向きに。フェルマーレン、酒井と新加入選手も見事にフィットし、後半戦は白星を重ねる機会も増えた。最後は3連勝でシーズンを締め、一時15位にまで沈んだ順位も7位にまで回復することに成功している。

 そして、今年1月には鹿島アントラーズとの一戦を制してクラブ史上初となる天皇杯優勝を飾った。同時にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権も獲得しており、クラブにとって大きな財産となったのは確かだ。

 バルサ化を目指しながらリージョ監督が辞任。クラブにとって難しいシーズンであったことは確かだが、天皇杯優勝をもたらすなどフィンク監督の手腕も光った。結果的にはだが、収穫を得ることができたと言えるだろう。

 この5年間で神戸の姿は大きく変わった。基本スタメンの中で「最古参がイニエスタ」という事実がそれを物語っている。

▽GK
飯倉大樹

▽DF
大崎玲央
ダンクレー
トーマス・フェルマーレン

▽MF
セルジ・サンペール
西大伍
酒井高徳
山口蛍
アンドレス・イニエスタ

▽FW
古橋亨梧
ダビド・ビジャ