10位:ラツィオの司令塔

 リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドを筆頭に、世界には数々のスター選手が存在する。しかし、それらの選手のどこが優れてどこが劣っているのかを知る者はあまり多くはないはずだ。今回フットボールチャンネル編集部では、世界屈指の実力者たちの各能力を様々なデータを参照して数値化し、平均値を算出。それをもとにしたランキングを紹介する(ポジションは主に所属クラブのもの、市場価格は『transfermarkt』を参考)。

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MF:ルイス・アルベルト(スペイン代表/ラツィオ)
生年月日:1992年9月28日(27歳)
市場価格:5500万ユーロ(約66億円)
今季リーグ戦成績:25試合出場/4得点13アシスト ※5月5日時点

 今季のセリエAで絶対王者・ユベントスと激しい首位争いを繰り広げているラツィオ。そんな同チームにおいてエースとなっているのはチーロ・インモービレであるが、司令塔として活躍しているのが、このスペイン代表MFである。背番号10を身に付ける27歳は、今季ここまでリーグ戦25試合の出場で4得点13アシストという成績を収めており、チームの攻撃陣を大きく牽引。13アシストはリーグ断トツの数字であり、2017/18シーズンに記録した11得点13アシストを越えるかのような勢いで、仕事を果たし続けている。

 ルイス・アルベルトは非常に「テクニック」が優れている選手だ。ボールを足下に正確に収める技術はもちろん、細かいタッチを駆使して相手を引き付け「パス」を散らしたり、ボールを晒して敵に足を出させて逆方向への突破を図るなど、様々なパターンで寄せに来たDFを無力化することができる。頻度こそ多くはないが、隙を見つけて仕掛ける「ドリブル」の威力も十分だ。「テクニック」は「88」、「ドリブル」は「85」とともに高評価となった。

 そして「パス」の正確性も兼備。ラツィオではセットプレーのキッカーも務めているなど、左右両足から放たれるボールは抜群の精度を誇る。インモービレが得点を量産できるのはもちろん個の力もあるが、アルベルトの存在も一因と言えるだろう。味方の動き出しに対しピンポイントでボールを送り届けることができるのは、この男の大きな武器であると同時にラツィオにとっても武器となっている。「パス」も「88」と高評価になった。

 身長182cmながら「フィジカル」や「空中戦」は凡庸。基本的に足下でボールを受けたがる選手であるため、このあたりで強みを発揮する機会は少ないと言える。ただ、上記した通りトップ下としての技術面の高さは世界でもトップクラスだ。今後、得点力がさらに向上すれば、AMFランキングのトップ5入りも不可能ではない。

9位:アヤックスで成長中の若手

MF:ドニー・ファン・デ・ベーク(オランダ代表/アヤックス)
生年月日:1997年4月18日(23歳)
市場価格:5500万ユーロ(約66億円)
今季リーグ戦成績:23試合出場/8得点6アシスト

 名門アヤックスでメキメキと成長を果たしているオランダ代表の未来。昨季はマタイス・デリフトやフレンキー・デヨングらとともにクラブの中心選手としてチャンピオンズリーグ(CL)・ベスト4進出に貢献するなど、世界にその力を見事に証明した。そして今季も絶対的存在としてアヤックスに君臨した同選手は、リーグ戦23試合で8得点6アシストを記録するなど活躍。レアル・マドリードやユベントスといったクラブが熱視線を注いでいるなど、今大注目の若手と言える。

 23歳と今後の成長にも期待ができるオランダ代表MFは「テクニック」が持ち味。派手なフェイントは使わずとも、冷静なボールコントロールを武器に相手を外し、そこから「ドリブル」を仕掛けたり「パス」で味方を活かしたりと多彩な攻撃パターンでチームを活性化させる。また、ゴール前でのポジショニングの良さとボックス内に飛び込む動き出しの質も兼備。「IQ」も非常に高い選手と言えるだろう。オフェンスセンスの良さは、23歳にしてすでに際立っている。

 そしてドニー・ファン・デ・ベークは守備面での貢献度も非常に高い。豊富な運動量を活かしてボールを追い続け、身体を投げ出す泥臭いディフェンスも随所で発揮する。身長183cm・体重74kgの体躯を活かした「フィジカル」の強さも特筆すべきポイントで、簡単に競り負けないタフさが光る選手だ。「守備力」は「72」という数値。他の並み居る攻撃的MFの中でも極めて高い数字となった。

 攻守両面で存在感を発揮するファン・デ・ベークは能力全体でバランスの良い数値を記録しており、23歳ながらAMFランキングのトップ10入りを見事に果たした。近い将来のビッグクラブ入りが確実視されている同選手だが、果たして今後、どこまで能力値を伸ばすことができるのか。注目だ。

8位:クラブの歴史を変えた小さな巨人

MF:アレハンドロ・ゴメス(元アルゼンチン代表/アタランタ)
生年月日:1988年2月15日(32歳)
市場価格:1600万ユーロ(約19.2億円)
今季リーグ戦成績:24試合出場/6得点10アシスト ※5月5日時点

 近年の成長ぶりが著しいアタランタで主将、そしてエースとして活躍する元アルゼンチン代表MF。昨季はクラブ史上初となるチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得に大きく貢献し、今季はこちらもクラブ史上初となるCL・ベスト8入りに尽力するなど、チームの歴史を動かす立役者となった。32歳と年齢的にはベテランの域に達している同選手だが、クラブの躍進とともに、自身への評価も大きく高めていると言えるだろう。

 身長167cm、体重68kgと小柄なアレハンドロ・ゴメスは、「空中戦」で大きく数値を落としている。しかし、「ドリブル」の威力は世界トップクラスのものがあると見ていいだろう。細かなタッチを駆使することはもちろんのこと、緩急を巧みに取り入れた揺さぶりは常に相手DFにとって脅威となっており、敵をかわした後の加速力も魅力的なポイントだ。随所でダブルタッチや股抜きといった技も披露するなど「テクニック」の高さも見逃せない。

 そして、右足から放たれるシュートの威力も抜群。味方の能力を引き出す「パス」の質に「IQ」の高さも併せ持つなど、ゴール前で果たす役割の幅広さはワールドクラスのものがある。アタランタの自慢は爆発的な「攻撃力」にあるが、この男がいなければそうした強みを発揮することはできなかっただろう。やはりクラブにとって唯一無二の存在であると言える。

 世界を驚かせ続けるアタランタ。主将でありエースでもあるA・ゴメスという「小さな巨人」とともに、どこまで成長を続けるのだろうか。

7位:スペインの魔術師

MF:ダビド・シルバ(元スペイン代表/マンチェスター・シティ)
生年月日:1986年1月8日(34歳)
市場価格:2000万ユーロ(約24億円)
今季リーグ戦成績:19試合出場/3得点7アシスト ※5月5日時点

 スペイン代表としてワールドカップ制覇、2度のEURO(欧州選手権)優勝を経験するなど、世界のトップを走ってきたベテランレフティー。今季で在籍10年目を迎えたマンチェスター・シティではジョゼップ・グアルディオラ監督から確かな信頼を掴み取っており、実力者が多く揃うチームの中でも絶対的支柱として君臨している。若手選手も多く所属するシティだが、そんな彼らにとってダビド・シルバはまさに「お手本」のような存在であると言えるだろう。

「スペインの魔術師」と称されるD・シルバの武器は数多くある。その中でも特筆すべきは「IQ」の高さ。戦術理解度が極めて高く、視野の広さを活かした状況判断の早さ、ポジショニングの良さ、パスを呼び込む動き出しに常に味方のサポートに回る動きと全てがワールドクラスだ。ゴール前での創造性も非常に豊かで、わずか1本の「パス」で局面を打開することも可能としている。「IQ」は「92」と飛び抜けた数値となった。

 もちろん、ターンや足裏を使ったボールコントロールに長けるなど「テクニック」、相手にとって危険なスペースに飛び込むことができる「ドリブル」、味方の動き出しを見逃さず、ピンポイントでボールを送ることができる「パス」の上手さも見逃せないポイントだ。攻撃的MFとしての能力の高さは確かで、まさにアジリティーとインテリジェンスを兼ね備える円熟のファンタジスタである。

 年齢を重ねるとともに「スピード」が低下、「空中戦」でも数値を落とすD・シルバだが、それでも能力全体の平均値は申し分ない。今季でシティ退団を表明している同選手だが、まだまだトップレベルでプレーできるのは明らかだ。

6位:ガラスのエース

MF:マルコ・ロイス(ドイツ代表/ボルシア・ドルトムント)
生年月日:1989年5月31日(30歳)
市場価格:4000万ユーロ(約48億円)
今季リーグ戦成績:19試合出場/11得点9アシスト ※5月5日時点

 攻撃的MF能力値ランキングの6位にランクインしたのはドイツ代表のマルコ・ロイスだ。ご存知の通り今季で在籍8年目を迎えたボルシア・ドルトムントでは、主将&エースとして奮闘しており、リーグ戦ではここまで19試合の出場で11得点9アシストをマーク中と期待に応える活躍を見せている。怪我の多さがマイナスポイントとなる同選手だが、コンディションさえ整っていれば常に質の高いプレーを提供し続けてくれる存在だ。

 そんな「ガラスのエース」であるロイスの武器は「スピード」を活かしたまま発揮される「ドリブル」の鋭さ。派手なフェイントなどを使わずとも、驚異的な加速力でDFを置き去りにすることを可能としており、その中でも細かいタッチを駆使するなど足元の柔らかさも兼備する。トップ下だけでなく、サイドハーフやトップとしても十分に力を発揮できる選手だ。

 また、ドルトムントではエースであるロイスにボールを集めそこから攻撃のリズムを作り出す「ロイス・システム」なるものが存在するなど、背番号11に前線で与えられているタスクの幅が非常に広い。それでもその任務を90分間質の高いプレーを継続して敢行できるのが、ロイスの能力の高さを示している。「パス」や「テクニック」、「攻撃力」などが高評価となった理由は、まさにここにある。「IQ」なども含め、攻撃センスは抜群と言える。

 しかし、先述した通り怪我の多さはマイナスポイント。好調を維持している状態でも長期離脱を強いられてしまうのは、なんとももったいない。ここが改善できれば、さらに怖い存在になるのだが…。