Jリーグは11日、全国56クラブの代表者との第5回合同実行委員会終了後にオンライン会議システムを用いてメディアブリーフィングを実施した。

 その中で、村井満チェアマンは何度も「再開日程について具体的な議論はしていない」と繰り返した。新型コロナウィルスの感染拡大にともなう全国的な緊急事態宣言が解除されない中で、多くのクラブでチームトレーニングの再開のめども立っておらず、公式戦再開までのプロセス作りを進めなければならない状況だ。

 世界を見渡すと、隣国・韓国では5月8日にKリーグが開幕し、ドイツでも5月16日からブンデスリーガ1部と2部のリーグ戦が再開される見通しになっている。スペインやポルトガルなどでも各クラブが部分的ながら練習を再開している。

 しかし、日本とこれらの国では前提となる条件が全く異なる。ドイツや韓国では公式戦開催に向けて全選手および関係者に新型コロナウィルスの感染有無を調べる検査を実施している。一方で日本では同様の検査、例えばPCR検査の大規模な実施体制が整備されておらず、現状でも感染の疑いがある人のみが検査対象になっている。

 ただ、やはりJリーグの公式戦開催を実現するにはピッチ上でプレーする選手たちの安心・安全を確保したうえで、社会的な賛同を得ることが不可欠。無観客試合での開催にしても、選手やスタッフ、その家族の健康を確認したうえで心理的な不安を取り除くことが最低条件になるだろう。

 村井チェアマンも、11日のNPBとJリーグの新型コロナウィルス対策連絡会議の中で専門家から「コンタクトスポーツなので、本来であればPCR検査を済ませた状態で試合や練習に臨むことがいい」という指摘を受けて、「検査体制を整えていくことの必要性は関係者の間では認識されたと思う」と語った。

 その一方で「まだ国民に検査が十分に行き渡っていない状況で、国民の理解が得られる状況を待たねばならないということも認識している。(チームの)移動や宿泊は我々の中で準備できるが、検査体制は我々だけで全ての段取りを整えることができないので、関係各所と連係しながら準備をしていくしかない」と、サッカー界だけが関係者全員のPCR検査を優先的に実施できる状況ではないことも十分に理解している。ドイツや韓国の例をそのまま日本に持ち込むことは現実的に不可能なのだ。

 では、どうすべきか。村井チェアマンはPCR検査ではない、別の検査方法を活用していく道を模索していく考えも示した。民間で進められている新たな検査手法の確立などの動向も注視しながら、「Jリーグにできるのは選手の健康管理などの努力をしっかりやって、検査体制が整うのを待つということ」という認識のようだ。

 そして、Jリーグの公式戦開催時期を検討するうえで1つの鍵になるのが、21日に行われる予定の政府の専門家会議だという。それを踏まえて政府から出される見解によっては、一部地域での緊急事態宣言の解除や緩和がなされる可能性もある。

 もちろん現状で5月31日までとされている緊急事態宣言のさらなる延長も考えられるが、政府見解を受けて22日に開催予定のNPBとJリーグの新型コロナウィルス対策連絡会議や、各クラブ代表者とのJリーグ実行委員会を通して、今後のJリーグ公式戦再開に向けた見通しを立てていくことになりそうだ。

 そのうえで各クラブに公式戦再開までのトレーニング期間をどれくらい与えるか、どのような形で試合を開催していくかのガイドラインを策定していくことになる。現在も各クラブがトレーニングを再開するにあたっての基準作りが進められているが、今後もJリーグと全国のクラブが連係しながら様々な分野で慎重に公式戦の開催に向けた検討を積み重ねていく。