4連勝中のユナイテッド

プレミアリーグ第35節、マンチェスター・ユナイテッド対サウサンプトンが現地時間13日に行われ、2-2で引き分けた。リーグ戦4試合連続で3得点以上をマークしていたユナイテッドの攻撃陣はこの日も2つのゴールを挙げた一方で、リードを守り抜くことができなかった。ユナイテッドにとってはUEFAチャンピオンズリーグ出場権を確保するために必要な要素が見えた試合となった。(文:加藤健一)
——————————————-

 ポール・ポグバが復帰し、冬に加入したブルーノ・フェルナンデスも好調を維持。18歳のメイソン・グリーンウッドがゴールを量産するマンチェスター・ユナイテッドは絶好調だ。3点差以上をつけての4連勝はプレミア記録で、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権が与えられる4位以内も現実的な位置まで来ている。

 今節はレスターとチェルシーがともに敗れ、ユナイテッドは勝てば3位浮上のチャンスだった。ただ、相手はリーグ戦再開後3勝1分1敗と好調のサウサンプトンで、降格圏にいた前半戦とは対照的に12位まで順位を上げている。そう簡単な試合にならないことは、試合前から予想することができた。

 コンパクトな4-4-2の陣形で高い位置からプレッシャーをかけるサウサンプトンが立ち上がりから主導権を握った。ダニー・イングスが最前線から動いてライン間でボールを受け、空いたスペースに味方が走りこんでいく。ユナイテッドがボールを保持すると、4バックに数的同数でプレッシャーをかける。序盤はサウサンプトンのペースで試合が進んだ。

 なんとかペースを掴みたいユナイテッドはGKダビド・デヘアを使ってビルドアップしようとするが、結果的にはこれが裏目に出た。デヘアからパスを受けたポグバがイングスにボールを奪われ、ネイサン・レドモンドのクロスを受けたスチュアート・アームストロングが右足を振り抜いて先制に成功した。

 ユナイテッドは直近4試合で14ゴールを挙げているが、ビルドアップのプロセスで苦しむ場面は少なくない。サウサンプトンのように同じ枚数をはめ込まれてしまうと、とたんに前に運ばなくなってしまう。そのほころびが失点につながってしまった。

 ビルドアップの問題は人というよりも配置とルールによるものが多いということは、今季のアーセナルが教えてくれた。ミケル・アルテタ監督は短期間でその問題を解決している。ユナイテッドも解決できない問題ではないはずだ。

鮮やかな逆転

 ただ、このまま黙っていないのが今のユナイテッドが好調たる所以。16分のマーカス・ラッシュフォードのシュートは惜しくもオフサイドとなったが、20分に再びチャンスが訪れる。ポグバのクロスをアントニー・マルシャルが収めると、体勢を崩しながら左にパスを送る。これをラッシュフォードが決めてユナイテッドは同点に追いついた。

 さらにその3分後、ポグバからパスを受けたフェルナンデスが左に流れたマルシャルにパスを送る。カットインしながら右足を振り抜くと、ミドルシュートはゴールネットに突き刺さる。ユナイテッドは瞬く間に逆転に成功した。

 2得点はいずれも自陣から繋いで奪ったものだったが、ビルドアップが改善されたというわけでもなかった。先制したサウサンプトンが前からはめていくプレスをやめ、プレスの開始位置を下げたことが大きかった。ポグバやネマニャ・マティッチが前を向いてプレーできるようになったので、前線の4人と絡んで攻撃に厚みが生まれた。

 後半に入ると、5試合続けて同じメンバーで戦うユナイテッドに疲労が見え始めた。オーレ・グンナー・スールシャール監督は63分にポグバを下げてフレッジ、75分には足首を捻ったルーク・ショーを下げてブランドン・ウィリアムスを投入して相手の攻撃を凌ぐ。しかし、試合終盤にアクシデントがユナイテッドを襲った。

 89分にウィリアムスがカイル・ウォーカー=ピータースとハイボールを競り合った際に、両者の頭が激突。ウォーカー=ピータースはプレーに戻ることができたが、しばらく起き上がることができなかったウィリアムスはピッチを後にしている。

 ユナイテッドの交代枠は1つ余っていたが、すでに3回の交代回数を消費していたため、交代することができなかった。指揮官はマティッチを左センターバック、フレッジを左WBに入れた5-3-1へ布陣を変更して逃げ切りを図った。

 サウサンプトンは1人少ない相手を押し込んだ。レドモンドのクロスが相手に当たってCKを獲得。インスイングで放たれたボールをニアでヤン・ベドナレクが逸らすと、マイケル・オバフェミが身体を寄せるヴィクトル・リンデロフを抑えてゴールに押し込んだ。

「勝ち点3に値しない」

 ユナイテッドは勝ち点1を得て、4位のレスターと勝ち点で並び、3位のチェルシーとは1ポイント差に詰め寄っている。ここまでの4連勝はすべて3点差と余裕があったが、この試合では1点差を守り切れず。接戦での試合運びという面では課題を持ち帰ることとなった。

「2-1になってからはパスでリズムをつかむことができなかった」とスールシャール監督が言うように、サウサンプトンのペースになる時間が長かった。ユナイテッドはカウンターからいくつかチャンスを作ったが、サウサンプトンには後半だけで7本のシュートを許して同点に追いつかれた。「おそらく、今日の我々は勝ち点3に値しなかった」と指揮官も評価する内容だった。

 今の攻撃陣はかつてクリスティアーノ・ロナウドやカルロス・テベスが躍動した時代を彷彿とさせる。一方で、この試合のように相手に渡った流れを引き寄せられないというのは、ユナイテッドのトップ4入りを阻む不安要素になるだろう。

(文:加藤健一)

【了】