バルセロナ

レアル・マドリードが保有する久保建英は今季、マジョルカでリーグ戦35試合に出場して4得点4アシストという結果を残した。EU圏外選手枠の関係もあり、20/21シーズンも他クラブに期限付き移籍する可能性が高いが、どのクラブでプレーすることになるのだろうか。今回は、20/21シーズンのラ・リーガ20クラブの今シーズンを考察するとともに、久保のライバルになるであろう選手や、加入の可能性を考える。(成績は19/20シーズン、監督は20/21シーズンのもの)
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リーグ戦:2位(勝ち点82、25勝6敗7分)
スペイン国王杯:準々決勝敗退
監督:キケ・セティエン(2年目)
同ポジションの選手:リオネル・メッシ

 バルセロナは1月のスーペル・コパ準決勝敗退という結果を受け、リーガ連覇に導いたエルネスト・バルベルデを解任した。キケ・セティエンに引き継がれたチームは、リーグ戦中断まで首位に立っていたが、再開後は7勝1敗3分と失速。レアル・マドリードに逆転され、3連覇は果たせなかった。

 監督交代後は“メッシ依存”がより顕著になった。アントワーヌ・グリーズマンは移籍1年目でフィットに苦しみ、ルイス・スアレスは1月に右膝を手術して長期離脱。ウスマン・デンベレは度重なる負傷で公式戦の出場はわずか9試合に留まっている。

 前線は苦しい台所事情だったが、久保建英がバルセロナに来ることはない。レアルがバルセロナに選手を貸し出すメリットがなければ、2億5000万ユーロ(約300億円)とも言われる契約解除金をバルセロナが支払えるはずがない。今冬には有望株だったカルレス・ペレスをローマに放出し、最近ではユベントスとミラレム・ピャニッチとアルトゥールのトレードを成立させ、1200万ユーロ(約14億円)の差額を得ている。バルセロナは潤沢な原資を持っているわけではない。

 未来に絶対は存在しないが、バルセロナに久保が来る可能性は限りなく0%に近いだろう。

レアル・ソシエダ

リーグ戦:6位(勝ち点56、16勝14敗8分)
スペイン国王杯:決勝進出
※決勝は無期限延期が決定
監督:イマノル・アルグアシル(3年目)
同ポジションの選手:ポルトゥ、マルティン・ウーデゴー

 レアル・ソシエダは今季のラ・リーガを最もにぎわせたクラブの1つだった。リーグ戦を6位でフィニッシュしたが、一時はUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場圏内の4位につけていた。リーグ再開後に失速したが、UEFAヨーロッパリーグ(EL)出場権を確保している。

 躍進の象徴は若い選手の躍動だった。10得点11アシストのミケル・オジャルサバルを筆頭に、20歳のアレクサンダー・イサクは公式戦16得点をマーク。レアル・マドリードから貸し出されたマルティン・ウーデゴーは攻撃陣を牽引する活躍を見せた。

 ソシエダは久保の獲得に興味を示しているようだが、チームメイトがそれを阻むことになりそうだ。ウーデゴーは来季もソシエダでプレーすることが濃厚。久保を右サイドに置いて共存することもできるが、トップ下でウーデゴーと久保が出場機会を食い合う可能性もある。それはレアルが望まないだろう。

 レアルは今季から、貸し出した選手がレアル戦に出場することを認めている。保有する2人がソシエダで共演し、レアルに戦いを挑む。そのシチュエーションをレアルが認めるだろうか。実現する可能性が高いとは言えないだろう。

オサスナ

リーグ戦:10位(勝ち点52、13勝12敗13分)
スペイン国王杯:ラウンド16敗退
監督:ジャゴバ・アラサテ(3年目)
同ポジションの選手:ロベルト・トーレス

 昨シーズンの2部王者オサスナは、10位でシーズンを終えた。就任2年目のジャコバ・アラサテ監督の下、しぶとい戦いで勝ち点を重ねていった。後半戦はチームトップの9得点を挙げていたエセキエル・アビラを左足前十字靭帯断裂の大怪我で欠いたが、残留というミッションを果たしている。

 右サイドハーフのロベルト・トーレスは、アビラとともに攻撃の中心だった。生え抜きの31歳は7得点8アシストの活躍を見せ、37節のバルセロナ戦では途中出場から決勝点を決めて勝利の立役者となった。久保にとっては強力なライバルになるが、トーレスは2列目であれば左右問わずにプレーできるので、共存することも可能だろう。

 財政規模でラ・リーガの中で下位のオサスナは、期限付き移籍での補強を狙っている。久保もその中の1人で、アラサテ監督も乗り気だという。

 さらに、今季、ワトフォードからマジョルカに期限付き移籍していたクチョ・エルナンデスにも興味を示しているという。クチョは前半戦の大半を負傷で欠場したが、後半戦は久保とともに主力としてプレーし、5得点を挙げる活躍を見せた。100周年を迎えるオサスナでクチョと久保のコンビが再結成されるかもしれない。

エイバル

リーグ戦:14位(勝ち点42、11勝18敗9分)
スペイン国王杯:3回戦敗退
監督:ホセ・ルイス・メンディリバル(6年目)
同ポジションの選手:ファビアン・オレジャーナ

 ホセ・ルイス・メンディリバル監督が長期政権を敷くエイバルは、14位で6季連続となる残留を決めた。毎年のように主力選手が抜けるスモールクラブとしては高く評価すべき結果と言えるだろう。

 4-4-2(もしくは4-2-3-1)の布陣で最終ラインを高く設定し、前線から激しくプレッシャーをかける。ボールを持てば手数をかけず、前線とサイドの選手で攻め切る。メンディリバルのぶれない戦い方は玉砕されることもあるが、今季もセビージャやアトレティコ・マドリードといった格上から白星を掴んでいる。

 サイドハーフは相手のサイドバックから自由を奪い、ボールを持てばドリブルで運んでクロスを上げる。逆サイドで攻撃が始まれば、フィニッシャーとしてゴール前に飛び込んでいく。求められるタスクは明確で、2シーズンぶりに復帰した乾貴士は左サイドでその役割を担っている。

 バスクらしい質実剛健なサッカーに、久保建英がフィットするだろうか。ドリブルは得意だが、エイバルに求められるのは手数をかけずに攻め切るためのドリブルで、久保の得意なものとは質が異なる。

 久保の獲得に興味を示しているクラブは、スペイン国内外で30もあると言われている。ラ・リーガのほとんどのクラブが欲しい存在と言われる中で、エイバルが関心を示しているとの情報はいまのところほぼない。エイバルで日本人選手が共闘する可能性は低いだろう。

ウエスカ

リーグ戦:2部優勝(勝ち点70、21勝14敗7分)
スペイン国王杯:2回戦敗退
監督:ミチェル(2年目)
同ポジションの選手:ダビド・フェレイロ

 SDウエスカはフランスと隣接するアラゴン州北部で、州都サラゴサを除いて最も人口の多いウエスカ県に本拠地を構える。今季は2部で優勝を決め、1シーズンで1部の舞台に返り咲いている。

 今シーズンは順風満帆なスタートではなかった。開幕から9試合で4失点と堅守を見せたが、なかなかゴールを奪えなかった。5勝のうち4勝は1-0で、4敗はすべて0-1というスコアだった。

 深刻な得点力不足に悩むクラブを救ったのは岡崎慎司だった。昨年7月に移籍が発表されたマラガは財政的な問題を抱えていたため、9月に契約を解除。開幕後にウエスカに拾われた岡崎は、チームトップの12得点で2部優勝の原動力となった。

 今季のマジョルカと同じように、ウエスカも上位クラブから期限付き移籍で選手を補強する可能性は高い。実際、ウエスカが久保の獲得に興味を示していると報じられている。実現する可能性はわからないが、ウエスカが久保のようなアタッカーを欲しているのは間違いないだろう。

【了】