GK

 ユベントスの9連覇で幕を閉じた2019/20シーズンのセリエA。今季も最後まで熱い戦いが繰り広げられたが、その中で思ったような活躍を見せることができず、期待を裏切ってしまったのは誰なのか。今回はフットボールチャンネル編集部が選んだ2019/20シーズンのセリエAワーストイレブンを紹介する。(市場価格は『transfermarkt』を参照)

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パウ・ロペス(スペイン代表/ローマ)
生年月日:1994年12月13日(25歳)
市場価格:1900万ユーロ(約22億8000万円)
今季リーグ戦成績:32試合出場/45失点

 スペイン代表GKは、プレミアリーグ勢などからのオファーを断って昨夏ローマに加入。アリソンの抜けた穴を埋めきれなかったロビン・オルセンに代わる新たな正守護神として、大きな期待を背負った。

 しかし、結果的には非常に残念なシーズンになってしまったと言えるだろう。とくに、後半戦はパフォーマンスがまったく安定せず、危険な飛び出し等が見受けられるなど迷いのあるプレーに終始している。負傷離脱を強いられた影響も少なからずあるが、アントニオ・ミランテやダニエウ・フザートにポジションを譲ってしまったのは、第1GKとしていただけない結果と言える。

 自身が出場した試合でクリーンシートを果たせたのはわずか5回。データサイト『FBref.com』によるセーブ率は69.9%となっており、20試合以上に出場した選手の中では12位の成績であった。また、チームとしての総失点数「51」は上位10チーム中ワースト2位タイとなっている。もちろん、すべての責任がこの男にあるわけではないが、やはり物足りなさは残ってしまった。

DF

コスタス・マノラス(ギリシャ代表/ナポリ)
生年月日:1991年6月14日(29歳)
市場価格:3200万ユーロ(約38億4000万円)
今季リーグ戦成績:26試合出場/4得点0アシスト

 ローマでの活躍があり、「セリエA屈指のDF」と称されたギリシャ代表戦士は、「ユベントスの支配の魔法を終わらせる」ために昨夏ナポリへ加入。移籍金3600万ユーロ(約44億円)はDFだとクラブ史上最高額となっており、当然ながら期待値も高かった。

 ナポリには世界屈指のDFであるカリドゥ・クリバリもいる。そのため、コスタス・マノラスとのコンビは鉄壁だと考える人も少なくなかった。しかし、結果は少し残念なものに。怪我の影響もあったが、マノラスはクリバリの相方には定着できず、リーグ戦出場は26試合。むしろ評価を高めたのは、二コラ・マクシモビッチだったと言えるだろう。

 対人戦の強さはピカイチだったが、動きすぎてスペースを空けてしまうことも少なくなかった。また、ビルドアップでの貢献度がそこまで高いとは言えず、その点に関してはマクシモビッチの方が優れていたと言えるだろう。加入1年目で適応にかなり苦しんだのは明らかで、高額な移籍金に見合わぬパフォーマンスとなってしまった。

ファン・ジェズス(ブラジル/ローマ)
生年月日:1991年6月10日(29歳)
市場価格:400万ユーロ(約4億8000万円)
今季リーグ戦成績:4試合出場/0得点0アシスト

 ブラジル代表として出場したロンドン五輪で銀メダル獲得に貢献した男が迎えたローマ在籍4年目は、非常に残酷なものとなった。これまでリーグ戦では毎年20試合以上に出場してきたが、今季はわずか4試合の出場に留まっている。

 プレシーズンマッチでまずまずのパフォーマンスを披露したことにより、第1節のジェノア戦でスタメンに名を連ねた。しかし、集中力を欠いてしまう悪癖は治っておらず、いきなり相手にPKを献上するなど批判の的に。それ以降はパウロ・フォンセカ監督からの信頼を完全に失い、まったく起用してもらえず。クリス・スモーリングやジャンルカ・マンチーニのバックアッパーとしても全然役に立たなかった。

 最高時は1400万ユーロとなっていた市場価格も、現在は400万ユーロまで低下。ローマとの契約は2021年までとなっているものの、クラブ側は当然契約延長する考えを持っていないようで、フェネルバフチェやカリアリ、ボローニャといったクラブへの売却を“熱望”しているようだ。

ダビデ・カラブリア(イタリア/ミラン)
生年月日:1996年12月5日(23歳)
市場価格:950万ユーロ(約11億4000万円)
今季リーグ戦成績:25試合出場/1得点1アシスト

 ミラン生え抜きの右サイドバックは大胆な攻撃参加を最大の武器としている選手。しかし、これまでにも度々指摘されてきた守備対応の脆さが改善されることは、今季もなかった。

 開幕からスタメンに名を連ね続けていたが、第3節エラス・ヴェローナ戦でいきなり一発退場。さらに第7節のジェノア戦ではイエローカードを2枚受けまたも退場と、守備面でチームの足を引っ張り続け、冬場にはベンチスタートを余儀なくされることも多かった。終盤はアンドレア・コンティの負傷離脱もあって再び出番を増やしたものの、ファーストチョイスに指名できるレベルにないことは確かである。

 クラブ側もそのパフォーマンスには満足していないようで、ボローニャに所属する冨安健洋とのトレード案も浮上している。選手本人は「ロッソネーロのシャツは唯一無二」と語るなどミラン愛を強調しているが、こうしたプレーが続くようであれば、同クラブでの未来はないだろう。

クワドォー・アサモア(ガーナ代表/インテル)
生年月日:1988年12月9日(31歳)
市場価格:650万ユーロ(約7億8000万円)
今季リーグ戦成績:8試合出場/0得点1アシスト

 昨季はリーグ戦32試合に出場し、チャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得に貢献。今季は指揮官がアントニオ・コンテに代わったが、ユベントス時代に同監督のスタイルを経験しているため、引き続きインテルにとって重要なピースになると思われた。

 しかし、厳しいシーズンとなった。開幕7試合中6試合でフル出場を果たしたものの、11月に膝に問題を抱え離脱。それ以降はアシュリー・ヤングなどの加入もあってまったくと言っていいほど起用されず。第34節から最終節までに関してはベンチ入りすらも果たせていない。最終的には8試合の出場で、合計プレータイムは639分のみとなった。

 一部報道によれば、マティアス・ベシーノが負傷したことでヨーロッパリーグ(EL)の帯同メンバーには入る可能性があるという。しかし、来季のコンテ監督の構想に入っているかは微妙なところで、青黒のユニフォームを着るのは今シーズン限りということになるかもしれない。

MF

ミラン・バデリ(クロアチア代表/フィオレンティーナ)
生年月日:1989年2月25日(31歳)
市場価格:240万ユーロ(約2億8800万円)
今季リーグ戦成績:22試合出場/1得点0アシスト

 昨季はラツィオに所属していたものの適応できず、わずか1年でフィオレンティーナに戻ってきた。古巣復帰のために減棒も受け入れたようで、この2019/20シーズンに懸ける思いはかなり強かったと言えるはずだ。

 ただ、現実は厳しかった。序盤戦は何試合かでゲームキャプテンも担うなど出場機会こそあったものの、パフォーマンスレベルはほとんど上がらず。中盤底という重要なポジションを担いながらもパス精度が低く、守備の強度も満足いくものではなかった。そして、ジュゼッペ・イアキーニ監督就任後はベンチに降格。年明け以降はわずか6回しかピッチに立つことができなかったなど、輝きを完全に失っていた。

 フィオレンティーナは買い取りオプションを行使しない考えであり、高い確率で来季はラツィオに戻るという。ただ、レンタル元でも居場所はないとみるのが妥当なので、クロアチア人MFからするとここからが正念場と言えるだろう。

アーロン・ラムジー(ウェールズ代表/ユベントス)
生年月日:1990年12月26日(29歳)
市場価格:2800万ユーロ(約33億6000万円)
今季リーグ戦成績:24試合出場/3得点1アシスト

 11シーズン過ごしたアーセナルを去り、「チャンピオンズリーグで優勝したい」という目標を抱いてフリーでユベントスにやって来た。しかし、確かな実力の持ち主であり期待値は高かったが、イタリア1年目で爪痕を残すことはできなかった。

 怪我の影響でスタートダッシュに失敗し、チームにフィットするのにかなり時間がかかった。シーズンが進むにつれ徐々に出場機会こそ増やしてはいったものの、マウリツィオ・サッリ監督の信頼をガッチリ掴むまでには至らず。先にアドリアン・ラビオがレギュラーに定着したこともあり、過密日程の中でも先発出場のチャンスはほとんど巡ってこなかった。

 戦術的な約束事の多い4-3-3というシステムの中で、持ち味はあまり発揮できず。最終的には24試合の出場で3得点1アシストという成績に終わった。ユベントスはクリスティアーノ・ロナウドに次ぐ高額な年棒をカットしたい考えを持っているようで、わずか1年で売却に踏み切る可能性も出てきている。

ルーカス・パケタ(ブラジル代表/ミラン)
生年月日:1997年8月27日(22歳)
市場価格:2250万ユーロ(約27億円)
今季リーグ戦成績:24試合出場/0得点1アシスト

 昨季途中にミランへ加入したレフティーはすぐに主力に定着。チームを立て直す原動力となり、瞬く間にミラニスタのアイドルにもなった。しかし、ミラン在籍2年目となった今季は、ジェットコースターのごとくプレー精度が急降下してしまった。

 なかなか最適ポジションを見つけられなかったと言える。インサイドハーフでは守備強度が十分とは言えず、サイドで起用されてもノーインパクトのまま終わることが多かった。ズラタン・イブラヒモビッチ加入後は4-2-3-1のシステムが定着したが、トップ下は好調ハカン・チャルハノールの壁が厚かったため、居場所を完全に失ってしまった。

 ドリブルやテクニックの上手さは目立ったが、ラストパスの質やゴール前でのアイデアは不十分だったと言える。結局、今季は24試合の出場、1099分間のプレーに留まり、0得点1アシストとほとんど決定的な仕事を果たすことができなかった。合計シュート数もわずか25本となっている。チーム内での立場はかなり厳しいと言わざるを得ないだろう。

FW

ヤン・カラモー(フランス/パルマ)
生年月日:1998年7月8日(22歳)
市場価格:900万ユーロ(約10億8000万円)
今季リーグ戦成績:14試合出場/1得点1アシスト

 カーンでの活躍が評価された若きアタッカーは、2017年に19歳でインテルに引き抜かれ、セリエAで16試合に出場。その後ボルドーへのレンタル移籍を経験し、昨夏にパルマに加入している。背番号はかつて元日本代表の中田英寿も身に着けた「7番」となった。

 ハマればジェルビーニョと強力な両翼にもなり得ると期待された。しかし、結果的にこの補強が成功したとは言い難い。ヤン・カラモーはシーズン途中に長期離脱を強いられるなど、わずか14試合しか出場することができなかった。得点とアシストは第9節のインテル戦で記録した1回のみ。自身が出場した試合で勝利を収めたのも、たったの一度だけだった。

 また、ボルドー在籍時にはコーチ陣と揉めて謹慎を食らうなど、問題児としても知られるカラモーだが、パルマでも精神的な未熟さを露呈。クラブ公式サイトによると、同選手は度々練習に遅刻していたといい、時にはトレーニングに姿を見せないこともあったという。チームに貢献できないどころか迷惑をかけるカラモーを、ワーストイレブンに選出しない理由はないだろう。

イルビング・ロサーノ(メキシコ代表/ナポリ)
生年月日:1995年7月30日(25歳)
市場価格:2800万ユーロ(約33億6000万円)
今季リーグ戦成績:26試合出場/4得点1アシスト

 ロシアワールドカップやPSVでの活躍もあって、数多くのビッグクラブがこの男に興味を示した。その中で、メキシコ代表アタッカーのハートを射抜いたのはナポリ。3800万ユーロ(約45億円)という高額な移籍金でチームに加えたのである。

 しかし、イタリアの地からインパクトを与えることはできなかった。左右のウイング、トップと様々な場所で起用されたが、パッとしないプレーに終始。とくに、ジェンナーロ・ガットゥーゾ監督の下では満足いくプレー時間を与えてもらえなかった。足元で勝負する傾向の強いチームの中で自慢のスピード等が活きる場面が少なく、スタイルに馴染むことができなかったと言える。

 結果的に26試合の出場でわずか4得点1アシスト。高額な移籍金に見合うパフォーマンスを披露したとは言い難く、サポーターの期待を裏切ってしまった。クラブとしても当然この結果には満足しておらず、1年で売却する可能性もあるという。来季はヴィクター・オシメーンがナポリにやって来るが、果たしてイルビング・ロサーノは生き残ることができるだろうか。

マリオ・バロテッリ(イタリア代表/ブレシア)
生年月日:1990年8月12日(29歳)
市場価格:550万ユーロ(約6億6000万円)
今季リーグ戦成績:19試合出場/5得点0アシスト

 マンチェスター・シティやインテルといった数多くのビッグクラブでプレーしてきた「悪童」は、昨年夏に故郷のクラブへ加入。「母親が泣きはじめちゃってさ」とコメントするなど、選手本人もこの移籍に歓喜していた。8年ぶりにセリエA復帰を果たしていたブレシアにとっても、目玉補強だった。

 しかし、マッシモ・チェッリーノ会長の言葉を借りれば「この契約は間違いだった」。スーペルマリオは新型コロナウイルスによる中断明け以降、練習の無断欠席を繰り返していたといい、チェッリーノ会長の怒りを買うなどクラブとの関係が悪化。ついにはブレシア側から契約解除を求められることになった。ディエゴ・ロペス監督も「彼は別の道に進んだ」と発言している。

 当然、リーグ再開後にベンチ入りすることは一度もなかった。チームは19位でシーズンを終え、1年でのセリエB降格が決まっている。マリオ・バロテッリは救世主になるどころか、足を引っ張ってしまったと言えるだろう。なお、未だに正式な退団発表は行われていないものの、「セリエBに降格すれば彼との契約は自動的に解消される」(チェッリーノ会長)ので、今夏でブレシアを去ることはほぼ確実となった。

フォーメーション

GK
パウ・ロペス(ローマ)

DF
コスタス・マノラス(ナポリ)
ファン・ジェズス(ローマ)
ダビデ・カラブリア(ミラン)
クワドォー・アサモア(インテル)

MF
ミラン・バデリ(フィオレンティーナ)
ルーカス・パケタ(ミラン)
アーロン・ラムジー(ユベントス)

FW
ヤン・カラモー(パルマ)
イルビング・ロサーノ(ナポリ)
マリオ・バロテッリ(ブレシア)