アトレティコ・マドリード

レアル・マドリードが保有する久保建英は今季、マジョルカでリーグ戦35試合に出場して4得点4アシストという結果を残した。EU圏外選手枠の関係もあり、20/21シーズンも他クラブに期限付き移籍する可能性が高いが、どのクラブでプレーすることになるのだろうか。今回は、20/21シーズンのラ・リーガ20クラブの今シーズンを考察するとともに、久保のライバルになるであろう選手や、加入の可能性を考える。(成績は19/20シーズン、監督は20/21シーズンのもの)
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リーグ戦:3位(勝ち点70、18勝4敗16分)
スペイン国王杯:3回戦敗退
監督:ディエゴ・シメオネ(10年目)
同ポジションの選手:アンヘル・コレア

 昨夏はディエゴ・ゴディン、フィリペ・ルイス、ファンフランといった功労者、ロドリ、リュカ・エルナンデスといった若手、そしてエースのアントワーヌ・グリーズマンが抜けた。就任9年目を迎えたディエゴ・シメオネ監督は試行錯誤を繰り返しながら、レアル・マドリード、バルセロナに次ぐ3位の座を確保している。

 久保建英はシーズン終盤のアトレティコ戦で躍動している。右サイドハーフで先発した久保は、ダブルチームで対応する相手をドリブルで何度か抜き去った。マッチアップした同い年のマヌ・サンチェスは手玉に取られ、62分にベンチに下がっている。

 久保にとっては、欧州屈指の堅守を誇るアトレティコを相手に力を証明した試合となった。アトレティコは久保の獲得に興味を示しているようだが、もし実現したとしても層は厚い。アンヘル・コレアやキャプテンのコケといった実力者たちとポジションを争わなければならない。

 優勝を争うクラブに久保を貸し出すメリットはないに等しい。マルコス・ジョレンテやテオ・エルナンデスなど、マドリードの両クラブ間で完全移籍するケースはあっても、期限付き移籍という前例はほぼない。アトレティコ移籍が実現する可能性は極めて低いと言えるだろう。

グラナダ

リーグ戦:7位(勝ち点56、16勝14敗8分)
スペイン国王杯:準決勝敗退
監督:ディエゴ・マルティネス(3年目)
同ポジションの選手:アントニオ・プエルタス

 開幕戦でビジャレアルと4-4という打ち合いを演じた昇格組のグラナダは、序盤戦の台風の目となった。第5節ではバルセロナを破り、10試合を終えて首位に浮上。冬は負けが込んだが、終盤は盛り返して7位でシーズンを終えている。

 レアル・マドリードは欧州の大会に出場するクラブへの貸し出しを希望していると言われている。グラナダは7位に終わったが、コパ・デル・レイ(スペイン国王杯)の決勝が延期になったことで7位のクラブにUEFAヨーロッパリーグ(EL)出場権が与えられた。グラナダはその要件を満たしている。

 右サイドはアントニオ・プエルタスがレギュラーだが、ELと国内の試合を並行して戦うには選手層を厚くしておきたいところ。ウイングでは後半戦は怪我に苦しんだアルバロ・バディージョのセルタへの移籍が決まった。セビージャから期限付き移籍で加入し11ゴールを挙げたセンターフォーワードのカルロス・フェルナンデスは保有元に復帰する可能性がある。状況次第では、グラナダが久保の獲得を目指すことになるかもしれない。

アスレティック・ビルバオ

リーグ戦:11位(勝ち点51、13勝13敗12分)
スペイン国王杯:決勝進出
※決勝は無期限延期
監督:ガイスカ・ガリターノ(3年目)
同ポジションの選手:イニャキ・ウィリアムス

 ガイスカ・ガリターノ監督就任2年目の今季、アスレティック・ビルバオは11位でシーズンを終えている。EL出場権が与えられるコパ・デル・レイでは決勝に残っているものの、レアル・ソシエダとの決勝が無期限の延期が決まったため、EL出場権はリーグ7位のクラブに与えられている。

 シーズン終了を待たずにアリツ・アドゥリスが現役を退き、中盤の底でプレーするベニャ・エチェバリアとミケル・サン・ホセの両ベテランも退団し、チームは若返りを図ることになる。しかし、ビルバオはバスク地方出身者のみで構成されるチームであり、久保の獲得に動くことはないだろう。

レアル・ベティス

リーグ戦:15位(勝ち点41、10勝17敗11分)
スペイン国王杯:3回戦敗退
監督:マヌエル・ペジェグリーニ(1年目)
同ポジションの選手:ホアキン・サンチェス

 昨季はELに出場したが、リーグ戦は10位で終えた。ルビ監督が就任した今季はジオバニ・ロチェルソが移籍したが、ナビル・フェキル、ボルハ・イグレシアスを獲得。上位を狙ったシーズンだったが、最終盤まで残留を争う展開になってしまった。

 今季はホアキン・サンチェス、セルヒオ・カナレス、フェキルが2列目で起用されることが多かった。ホアキンはフィールドプレーヤーで歴代最多となるラ・リーガ1部通算552試合出場を達成したが、先月には39歳となり、バックアッパーの必要性は否めない。ここに久保が加われば、層に厚みが出ることは確かだろう。

 ベティスは久保の獲得に興味を示していると報じられたが、スポーツディレクター(SD)に就任したアントニオ・コルドン氏はこれを否定している。来季はマヌエル・ペジェグリーニ監督の就任が決まっているベティスで久保がプレーする可能性が高いとは言えない。

カディス

リーグ戦:2部2位(勝ち点69、19勝11敗12分)
スペイン国王杯:2回戦敗退
監督:アルバロ・セルベラ(6年目)
同ポジションの選手:サルビ・サンチェス、アレックス・フェルナンデス

 今季の2部で首位を走り続けたカディスは、優勝こそウエスカに奪われたものの、2位で昇格を決めている。2005/06シーズンを19位で終えて降格して以来、一時はセグンダB(3部)までカテゴリを落としたシーズンもあったが、15シーズンぶりに1部を舞台に戦う権利を掴んだ。

 来季に向けて、カディスはすでに積極的な動きを見せている。中でも注目を集めたのは、アルバロ・ネグレドの獲得。セビージャやバレンシアで活躍した元スペイン代表FWで、トルコのベシクタシュを経て、昨季からはUAEのアル・ナスリでプレーしていた。来月には35歳になるが、UAEでは2シーズンで25得点をマークしている。

 昇格を果たしたカディスの攻撃の中心は、トップ下でプレーするアレックス・フェルナンデス。レアル・マドリードのカンテラ(下部組織)出身で、トップチームでも出場したフェルナンデスは、1部でのプレー経験も豊富で、今季はチームトップの13ゴールをマークしている。

 7アシストをマークしたサルビ・サンチェスと5得点2アシストのアルベロ・ペレアが両翼でプレーしたが、両者ともに1部での実績はほぼない。残留を目指すためには、久保のような1部での経験がある選手が必要になるかもしれない。

 久保の移籍先を巡っては、年俸の高さがネックになっているクラブも多いという。ネグレドに加えて、アトレティコ・マドリードなどでプレーした経験を持つアウグスト・フェルナンデスやホセ・マヌエル・フラドなど、ベテラン選手も多いカディスは、現時点で獲得の動きを見せてはいないようだ。

【了】