マンチェスター・ユナイテッドの予想先発メンバー

 いよいよ再開を迎えるUEFAヨーロッパリーグ(EL)。まずはラウンド16の2ndレグから、今季最後のタイトルに向けた戦いが始まる。マンチェスター・ユナイテッドが本拠地にオーストリアのLASKリンツを迎える一戦はどんな試合になるだろうか。両クラブの現状や、先発出場メンバーを占う。

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システム:4-2-3-1

▽GK
セルヒオ・ロメロ

▽DF
アーロン・ワン=ビサカ
ハリー・マグワイア
エリック・バイリー
ブランドン・ウィリアムス

▽MF
スコット・マクトミネイ
フレッジ
フアン・マタ
ジェシー・リンガード
ダニエル・ジェームズ

▽FW
オディオン・イガロ

 7月26日にプレミアリーグ最終節のレスター戦を終えていたマンチェスター・ユナイテッドは、つかの間のオフを取って8月1日にキャリントンの練習場に再集合した。地元紙『マンチェスター・イブニングニュース』によれば、ビクトル・リンデレフ、フレッジ、スコット・マクトミネイ、オディオン・イガロ、ネマニャ・マティッチといった数人の選手たちはイギリス国外で休暇を楽しんだという。

 リンデレフは南フランス旅行へ、フレッジはトルコでのバカンスに出かけていたことは、本人たちのインスタグラムで確認できた。他の選手たちも十分にリフレッシュして過酷な連戦の疲れを癒し、万全の状態でチーム練習に戻ってこられているはずだ。LASK戦を欠場するのは負傷を抱えるルーク・ショー、アクセル・トゥアンゼベ、フィル・ジョーンズの3選手くらいだろう。

 すでに1stレグで5-0と大量リードを奪っており、ユナイテッドが見据えるのはあくまでドイツに入ってからの準々決勝以降の戦いになる。

 オーレ・グンナー・スールシャール監督は4日の記者会見で「3月の1stレグの時のメンバーから大きくは変えない」と述べ、主力を温存する考えを示した。そして、「ジェシー(・リンガード)が先発することになると思う」と、今季なかなかパフォーマンスの上がらなかった生え抜きの起用も示唆している。

 リンガードにとどまらず、前回対戦でゴールを挙げているイガロやダニエル・ジェームズ、フアン・マタ、フレッジらを引き続き先発起用して選手層の厚さを示せれば、タイトル獲得に向けてチームの自信はさらに深まるはずだ。

LASKリンツの予想先発メンバー

システム:3-4-3

▽GK
アレクサンダー・シュラーガー

▽DF
フィリップ・ヴィージンガー
ペタル・フィリポヴィッチ
ヘルノト・トラウナー

▽MF
ラインホルト・ランフル
ペーター・ミコール
ジェームズ・ホランド
レネー・レナー

▽FW
トーマス・ザビツァー
マルコ・ラグーツ
フセイン・バリッチ

 LASKリンツのドミニク・タールハマー新監督は7月11日に就任したばかりだ。2011年から最近までオーストリア女子代表の監督を務めており、2017年には同代表を女子欧州選手権出場に導いたことで知られる。また、オーストリアスポーツ連盟から年間最優秀監督賞を受け取った経験も持つ。

 オーストリアリーグが7月上旬に閉幕していたため、LASKはすでにオフを挟んでプレシーズントレーニングに入っている。先月29日にはスロバキアのセニカと新シーズンに向けた最初の練習試合を行なって0-2で敗れた。しかし、失点したのはメンバーを全員入れ替えた後半だけ。前半に出場していた11人が現状のベストであり、ユナイテッド戦の先発出場に近い存在と言えるだろう。

 タールハマー監督はオーストリア女子代表時代に3バックと4バックを対戦相手によって使い分けていたが、LASKでは今のところ前体制を踏襲した3-4-3を採用している。なお、セニカ戦の後半には2020/21シーズンに向けた新戦力も出場したが、彼らはELのユナイテッド戦に起用できない。

 ユナイテッド戦の1stレグに右ウィングとして先発出場していたサミュエル・テッテーとセンターFWだったクラウスは、すでにそれぞれレンタル元のレッドブル・ザルツブルクとホッフェンハイムに戻っており、右ウィングには19歳のトーマス・ザビツァーが、最前線にはマルコ・ラグーツが入ることになりそうだ。

マッチプレビュー

 LASKにとっては、ユナイテッド戦をすでに新シーズンに向けた1試合と位置づけているかもしれない。現地5日に再開するELでの勝ち上がりは、あまりにも難しいミッションだ。

 なぜなら新型コロナウイルス感染拡大にともなう中断の直前、3月12日に行われたELラウンド16の1stレグでユナイテッドにホームで0-5という大敗を喫しているからだ。主力のほとんどを遠征に帯同させなかった相手にあっさり希望を打ち砕かれた。

 あれから約5ヶ月経ってユナイテッドは完全な姿を取り戻し、LASKも監督交代があるなど、互いに当時とは全く姿の異なるチームになった。それでも大きな点差に変わりはなく、ほぼ逆転の芽はないと言っていい。

 LASKは1stレグ当時から大きく様変わりしている。3月の時点でオーストリア・ブンデスリーガの首位に立っていたにもかかわらず、リーグ戦が終わってみれば4位まで転落していた。

 中断期間中にオーストリアサッカー連盟が定めた感染症予防規約に違反し、解禁日前にグループトレーニングを実施したことが判明して勝ち点剥奪と罰金処分を受けた。さらに中断期間明けに始まった上位6クラブによるチャンピオンシップラウンドでは絶不調に陥り、最後は3連敗でレッドブル・ザルツブルクに優勝トロフィーを明け渡してしまった。

 その結果、国内リーグの2019/20シーズン終了をもってヴァレリアン・イスマエル監督は解任されている。つまりユナイテッドの本拠地オールド・トラフォードに乗り込んで5点差からの逆転を目指すELラウンド16の2ndレグは、タールハマー新監督にとっての初めての公式戦となる。

 ユナイテッドは充実一途だ。中断明けから怒涛の追い上げを見せて14試合負けなし、プレミアリーグでは3位まで上り詰め、来季のチャンピオンズリーグ(CL)出場権を確保した。ポール・ポグバやマーカス・ラッシュフォードら負傷者が中断期間中に復帰し、調子を上げてくるにつれてチームは盤石になっていった。

 基本的にはリーグ戦重視の姿勢を明確に打ち出し、ラウンド16までは若手中心のメンバー構成でELを戦っていたが、欧州カップ戦が変則的な集中開催になったことでプレミアリーグの上位争いを気にする必要がなくなった。これもユナイテッドにとっては朗報で、EL優勝に向けて本気のメンバーを惜しみなく送り出すことができる。

 スールシャール監督はプレミアリーグ最終節のレスター戦直前に行われた記者会見でELのLASK戦について言及し「すでに5-0とリードしているので、いつものように2点、3点と追いかけるようにして試合に入らなくてもいい」と楽観的な見方を示していた。

 あくまで見据えるのはドイツでの集中開催となる準々決勝以降ということだろう。組み合わせ発表後にユナイテッドを率いるノルウェー人指揮官は「ミニトーナメントのようなものになる。私自身、(ノルウェー代表として)EUROやワールドカップに出場した経験があるが、それらと同じように海外のクラブと共同生活のようになるはずだ。このチームにはそういった経験のあるスタッフも多いし、準備はしっかりできる。1試合とは言わず、もっと戦いたい」と、一発勝負を勝ち抜いてのタイトル獲得に意欲的だ。

 オールド・トラフォードでの今季最後の“調整試合”を無事に終えられれば、ユナイテッドは準々決勝でトルコのイスタンブール・バシャクシェヒルかデンマークのコペンハーゲンと刃を交えることになる。

 そこを抜ければ準決勝ではセビージャ、ローマ、オリンピアコス、ウォルバーハンプトンのどれかとの対戦に。どこも現状のユナイテッドの好調ぶりからすれば決して難しくない相手と言える。

 ユナイテッドにとってLASK戦はオフ明けの体を起こすウォーミングアップであり、新監督を迎えたLASKにとってのユナイテッド戦はプレシーズンマッチ的なテストの機会と捉えるべきか。5点差はあまりにも大きく、本来あるべき真剣勝負の意味合いすらも変えてしまった。