資金難の保育園を救った「一口園長」という支援の形

資金難の保育園を救った「一口園長」という支援の形

「写真の園児たちがイキイキとしている。子どもたちがこんな表情をしているのだから、素晴らしい保育をしているに違いない」。

東京で保育士として働く荒砥悦子は、仙台「朝市センター保育園」の存続プロジェクトに掲載された写真を見て、そう確信した。保育園を増やすことは社会として喫緊の課題だ。同業界だけに、同園の保育レベルの高さがよくわかった。

朝市センター保育園の開園は1987年。30年近く、地域で働く人たちを支え続けてきた。ところが、市の助成金打ち切りが決定。無認可だった同園は認可保育園への移行を余儀なくされる。認可保育園の運営には保有金が必要だ。同園のケースでは2400万円。自己資金と寄付で7割を集めたが、まだ足りない。

保護者と理事会、職員で会議を重ねる中、保護者の早坂愛から「クラウドファンディングを使おう」と提案が出る。園長の安達喜美子はITに疎かったが、「誰かがリードしてくれるなら」とゴーサインを出し、Readyforで資金を募った。早坂を中心に、プロジェクトサイトを毎日更新した。

支援者となった荒砥は5万円を出資。それまでもReadyforを通して3〜4のプロジェクトを支援した経験があった。いつもは数千円だが、このプロジェクトは5万円を支援した。

支援を決めたのは、「園がなくなれば子どもたちが困る」という使命感からだけではない。荒砥は仙台出身で、リターンの一つだった同園の写真集を、高校時代の恩師が撮影していた。不思議な縁を感じて、思わず額を増やした。

目標額710万円を超える支援が集まり、プロジェクトが成立。2017年4月、朝市センター保育園は認可保育園として無事に再スタートできた。この成功に触発され、資金難に悩む他の保育園も同様のプロジェクトを始めている。Readyfor代表の米良はるかは「一つのプロジェクトを超えて、多くの人が求めるものを解決するソリューションを提示できた。これがクラウドファンディングの力」と胸を張る。

荒砥が楽しみにしているリターンがある。保育園の体験入園だ。保安上の問題があり、同業でも他の保育園を一日じっくり見られる機会は少ない。「質の高い保育をしていることはわかるので、この機会を利用して勉強したい」。向上心の高い荒砥にとって最高のプレゼントになりそうだ。

Forbes JAPAN 編集部

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