カンヌで最高賞に輝いた韓国映画「パラサイト 半地下の家族」。先行上映会で見た際に冒頭、ポン・ジュノ監督からメッセージが流れた。「どんでん返しだけを狙った映画ではないが、決してネタバレをしないように」とお願い。続いてキャストからも別撮りで「これから見る人に内容を言わないで」と念押し。えらい大げさなと思ったが……いやあ、想定外の展開に途中で三度ぶっ飛んだ。

 キム・ギテク(ソン・ガンホ)一家4人は全員が失業中で、家賃が安い半地下状の借家に住んでいる。携帯電話は、近所の店から飛んでくる電波を“Wi−Fi泥棒”。窓から外を覗くと、夜は酔客の醜態が間近に迫り、やるせない日々だ。

 そんな貧乏家族に薄日が差す。ある日、長男ギウ(チェ・ウシク)がIT企業の社長夫人に気に入られ、豪邸で娘の家庭教師に。続いて、妹のギジョン(パク・ソダム)も、同じ豪邸で職にありつく。果たして、彼らの企みは…。

 両家族の貧富の差が悲喜劇で描かれる一方で、事態は途中から思わぬ奈落へと急展開。格差社会を投影した社会派エンターテインメントと、ひとことでは片付けられないジェットコースターのような技ありのサスペンスだ。「殺人の追憶」「グエムル 漢江の怪物」「スノーピアサー」のポン監督と4度目のタッグを組んだソン。彼の気配やニオイとともに、韓国が、いや世界が置かれた状況が映像を突き抜けて漂ってくるようだ。(中本裕己)