★絶品必食編 

 なんと偉大なCMだろう。「おいしいシウマイ〜♪」という歌い出しを思い浮かべると「き・ようけ〜ん〜♪」と自然と屋号が想起される。

 定番はひと目でそれとわかる赤い包装紙の「昔ながらのシウマイ」だろう。

 もっともおなじみすぎるほどおなじみのシウマイにも一般には知られていない秘密が山ほどある。

 例えば、崎陽軒ではシウマイを売り始めた1928(昭和3)年からレシピを変えていないこと。

 そして使う材料は国産豚肉、玉ねぎ、オホーツク産帆立の干し貝柱、グリーンピース、砂糖、塩、胡椒、でんぷん、小麦粉という9種類の材料と調味料のみだということ。

 旨味が濃厚なことから、「旨味調味料入り?」と訝る人がいるが、あの旨味は帆立の干し貝柱のもどし汁をふんだんに入れているため。裏書きにもある通り、崎陽軒のシウマイには旨味調味料も保存料も使われていない。

 濃厚で後を引くのに、いくらでも食べられてしまう。冷めてもおいしい味の秘密は91年間、変わらぬこのレシピにあるのだ。

 他にも、崎陽軒には特別なシウマイがある。えびシウマイにかにシウマイ、黒豚シウマイなどなど…。

 なかでも別格なのが「特製シウマイ」だ。素材自体は「昔ながらの〜」と同じだが、同じ6個入りのお値段は「昔ながらの〜」300円に対して2倍以上もする740円! 確かになかなかのお値段だが「高い!」と思われた方は少々お待ちいただきたい。

 特製シウマイはモノが違う。まず、シウマイ一個あたりのサイズは1・5倍以上。見た目にも明らかに大きく、豚肉はあら挽き、貝柱も大きくほぐされていて、食感が実に肉肉しい。

 一口目は弾力豊かな食感が楽しく、噛み込んでいくと、後から味がグイグイと伸びる。食べていて貝柱の繊維さえも感じるほどに、贅沢な餡がぎゅうぎゅうに詰まっているのである。

 味、食感ともに「特製」の名にふさわしい。 手土産によし、景気づけによし。崎陽軒の「特製シウマイ」は新年のスタートにふさわしい逸品である。

 ■松浦達也(まつうら・たつや) 編集者/ライター。レシピから外食まで肉事情に詳しく、専門誌での執筆やテレビなどで活躍。「東京最高のレストラン」(ぴあ刊)審査員。