福徳をもたらす神として信仰されている「七福神」。恵比寿、大黒天、毘沙門天、弁財天、福禄寿、寿老人、布袋尊を祀る社寺を参拝して、その福徳を受けるのが七福神めぐりだ。江戸時代に盛んになったと言われ、今も全国各地で行われている。

 山歩きの気分が楽しめる七福神めぐりとして近年注目を浴びているのが、埼玉県越生(おごせ)町の「武蔵越生七福神めぐり」。同町は2016年に「ハイキングのまち」宣言をしており、1年を通じてハイキングが楽しめるよう、低山ハイキングから里山歩きまで、さまざまなルートを紹介している。武蔵越生七福神めぐりもそのなかのひとつ。法恩寺(恵比寿)、正法寺(大黒天)、弘法山(弁財天)、最勝寺(福禄寿)、円通寺(寿老人)、龍穏寺(毘沙門天)、全洞院(布袋尊)。町内にある7つの寺をめぐる、約13キロのハイキングコースが設定されているのだ。

 年末年始でだいぶたるんだ体と心をなんとかしようと思い立ち、このコースを歩いた。越生駅に下り立ち、観光案内所でハイキングマップを入手。帰りのバスは本数が少ないから…と、バスの時刻表もいただけた。ありがたい。

 駅からすぐの法恩寺からスタート。お参りし、七福神の絵が描かれた色紙をいただく。地図を手にてくてく歩いて次のお寺をめざす。「七福神めぐり」ののぼりやコースを示す看板があちこちに立てられているので分かりやすい。子供の頃にしたオリエンテーリングみたいだ。

 お寺に着いて、参拝して、社務所で声をかけ、色紙に御朱印をいただく。今日は寒いですね、どちらからいらっしゃいましたか、道中お気をつけて。ちょっとしたお話をしながら、その場で書いていただけるのもなんだか嬉しい。流れるような字、豪快な字、書く方によってさまざまなのも素敵だ。

 コースの始めは街なかを歩く感じだが、だんだん里山歩きの雰囲気に。周りに低い山々が連なる中を歩いていく。弘法山を過ぎたあたりから梅の木々があちこちで見られるようになる。このあたりが越生梅林。さすがにまだ全く咲いていなかったが、つぼみはだいぶふくらんでいる。ここが満開になったら素敵だろうな…。最勝寺は境内に梅の木があった。「鐘突き堂の前の木、少しだけ咲いていますよ」と言われて見てみたら、3輪ほど紅梅が咲いていて、御利益をいただいた気持ちに。

 円通寺を過ぎると山深い雰囲気に。舗装道路ではあるが、だいぶ急な登り下りがあり、ゆるみきった体にはなかなかきつい。ゆっくり深呼吸をしながら歩くうちに、森の空気に触れて心が穏やかになっていく。ああ、この七福神めぐりは、お寺をめぐって得られる御利益とともに、里山や森を歩くことによる気持ち良さという御利益もあるのだな。

 全洞院まで歩いて、七福神めぐりは無事終了。なかなか心地よい「初歩き」となった。次回は梅が満開の時期に歩きたいな。来年といわず、今年でもいいんじゃないか。よい場所は何度歩いてもいいのだから。

 ■武蔵越生七福神めぐりルート 越生駅→法恩寺→正法寺→弘法山→最勝寺→円通寺→龍穏寺→全洞院→黒山バス停 歩行時間・約3時間30分/難易度★(最高難易度★★★★★)

 ■コースガイド 東武越生線・JR八高線越生駅が起点。越生駅からスタートしても、黒山バス停からスタートしてもよいが、バスの便が少ないので事前にダイヤを確認しておきたい。梅まつり期間中は分かりにくい分岐に「七福神めぐり」ののぼりが立っていて目印になる。ルートの大半は舗装道路なので、ソールが硬めの登山靴よりウオーキングシューズのほうが歩きやすいだろう。

 ■七福神めぐりガイド 歩き始める前に必ず駅前の観光案内所でハイキングマップとお寺の情報を得ていくこと。道標が少ないところもあり、ハイキングマップは必須だ。御朱印の押印は各寺300円。七福神めぐりの色紙は1000円、法恩寺で求めることができる。1月中の土日は御朱印をいただくのに時間がかかることもある。

 ■問い合わせ 越生町観光案内所049・292・6783

 ■おすすめシーズン 無人の寺もあるが、七福神めぐり自体は1年を通じてできる(前後の寺で御朱印が頂ける)。越生梅林の開花時期は2月中旬〜3月下旬で、今年の梅まつりは2月15日〜3月22日の開催。

 ■西野淑子(にしの・としこ) オールラウンドに山を楽しむライター。日本山岳ガイド協会認定登山ガイド。著書に「東京近郊ゆる登山」(実業之日本社)、「山歩きスタートブック」(技術評論社)など。NHK文化センター「東京近郊ゆる登山講座」講師。