中国発の新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)で、日本国内で初めて神奈川県在住の80代女性が亡くなったことを受け、政府には新型肺炎対策の強化・加速化が求められる。政府は14日、2019年度予算の予備費から103億円を支出することを閣議決定し、総額153億円の緊急対策の第1弾に着手する。このほか、横浜港に停泊するクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」を、診察や治療機能を持つ「病院船」に転用する案も浮上している。

 「すでに国内にウイルスが入り込み、街の中で散発的な流行が起きていてもおかしくない」

 日本感染症学会などは、このような見解をまとめている。

 厚労省によると、死亡した80代女性は1月22日に倦怠(けんたい)感を認め、28日に医療機関を受診した。2月1日に肺炎と診断されて入院し、13日に死亡した。この女性の義理の息子である都内の70代タクシー運転手や、和歌山県の50代男性外科医の感染も明らかになった。3人とも渡航歴はなかった。

 日本での感染確認は13日夜時点で、死亡した女性を含め251人(=クルーズ船の218人を含む)となった。国内にウイルス感染が広がっている可能性がある以上、高齢者など重症化するリスクの高い人への感染を避ける対策が必要だ。

 政府の緊急対策第1弾では、メーカーがマスクの供給能力を拡大するための補助金の創設や、病原体を迅速に検査する態勢を整備。検査キットやワクチンの開発を促進するほか、検疫官の応援を手配する。相談を受けるコールセンターも設置し、適切な情報提供を図る。

 入国規制の強化も求められそうだ。

 政府は現在、水際対策として、中国湖北省と浙江省に滞在歴のある外国人の入国を拒否しているが、米国を筆頭に主要国の多くは、より厳しい「中国全土からの入国拒否」に転じている。東京五輪・パラリンピックの安全な開催を見据えて、より厳格な入国規制が必要なのは間違いない。

 こうしたなか、国内で感染者が急増する事態に備えるため、「病院船」の活用が検討されている。全国で感染症病床は約1800床しかないためだ。

 病院船とは、大規模災害が発生したときなどに船内で医療行為を行う専用船で、医務室や手術室、多数の病床を完備する。米国には1000床の病院船も存在する。日本には厳密な「病院船」はないため、横浜港で検疫中のクルーズ船に医療設備を持ち込んで転用する案が浮上している。同船は英国船籍のため、実現には交渉が必要だ。

 政府は、クルーズ船の乗客らの体調悪化への懸念から、全員待機の方針を転換した。乗客乗員約3400人のうち、陰性が確認された80歳以上の希望者の下船を14日から始める。

 ともかく、安倍晋三政権には、決断力と実行力が求められている。