政府、五輪組織委員会などが23日になって、東京五輪の通常開催を半ば諦め一斉に「延期」へと傾いたことに、蚊帳の外に置かれた競技団体は動揺を隠せない。

 メダル獲得候補が多い競技団体の幹部は「競技によって対応、意見は割れるでしょうね。水泳、陸上などのタイム競技は選考基準が明確だけど、それ以外の種目はどういう経緯で代表選出をしたのか、合理かつ透明性を保ってやらないといけないから難しい」と話す。

 選考途中で有力選手が候補から外れた際、一部関係者が強烈なクレームを団体側に入れるケースも。

 「どんな選び方をしてもそうしたことは一定数ある。だからこそ、余計に慎重に選んでいる」。そうした苦労が水の泡となりそうなのだ。

 最終的な決着は今後の4週間で見えてきそうだが、「ここ(最終選考)までに費やした時間は3年以上。逆算して、本番で最もピークを迎える選手を選んでいる。もし1年でも延期となれば選考はやり直しになりかねない。2年延期なら、スタッフを含めた人選もやり直しの対象になる」というのが厳しい現実だ。

 時間は誰にとっても平等な分、残酷でもある。「若い子なら経験を積める時間が増えるので朗報だろうけど、ベテランは瞬発力などが落ちる。それを経験でどこまでカバーできるか。最後はやっぱりメンタル面。誰も経験のない事態が起こる中、モチベーション維持は最大の課題になる」

 世界各国のさまざまな立場から、新型コロナウイルスの世界的流行中の五輪に慎重論が噴出している。選手を預かる側としては、「是が非でも通常開催してほしい」というのも本音だ。「ケガをしても手術を見送り、4カ月後の本番まで踏ん張っている選手もいる」と苦労を思いやる。

 ただ、「今はとても、そんなことを主張できる空気じゃない。世間から袋だたきにされるでしょう」とも。蚊帳の外に置かれたまま、事態の推移を見守るポーズを取らざるを得ない。(山戸英州)