長澤まさみが初の一人芝居。幸せから転落する「私」に

2018年にロンドンで初演され、たちまち話題となった一人芝居が早くも日本に上陸だ。平凡な「私」のありふれた人生を通して、現代社会のさまざまな歪みを浮き彫りにしてゆく異色作。

ニューヨークでも上演されるなど世界中の演劇人が注目する作品、さらに“一人芝居”という難関に挑むのは、32歳となった現在、ますます活躍の場を広げている長澤まさみだ。演出は、繊細さと骨太さを併せもつ戯曲や演出手腕で高い評価を得ている蓬莱竜太(ほうらい・りゅうた)。長澤との強力タッグで日本初演の舞台を創り上げる。

主人公は、人生を見つめ直すため、目的地を定めずに旅に出た「私」。ナポリの空港で偶然出会った男性と激しい恋に落ちて結婚した「私」は、子供をもうけながらも仕事を続け、充実した日々を送っていた。だが幸福な生活に小さな“ひび割れ”が現れたことで、「私」の人生は予期せぬ方向へと向かってゆく……。

本作を書いたのは、ウエストエンドとブロードウェイで数々の演劇賞に輝くイギリスの劇作家デニス・ケリー。新国立劇場演劇部門の芸術監督・小川絵梨子は、ロンドンでの観劇時に「今の時代を映した秀逸な女性の一人芝居」として深い感銘を受け、今回の上演を決めたという。

さて、長澤まさみといえばテレビドラマや映画など、映像作品での華やかな活躍を目にする機会が多いだろう。確かに舞台出演は、それほど多くない。

だがその一つひとつをひもとけば、エキセントリックなケータイ小説家を驚くほどの振り切りぶりで演じた初舞台『クレイジーハニー』をはじめ、三谷幸喜作・演出の二人芝居で、あの斉藤由貴と堂々渡り合ってみせた『紫式部ダイアリー』、抜群のプロポーションと低く迫力ある歌声で新たなサリー像を示した松尾スズキ版『キャバレー』など、どれも強く印象に残るもの。身ひとつで乗り込み、作品をまるごとねじ伏せるような胆力が、凡百の女優とは一線を画す点なのだ。

本作も、「観客の皆さんに面白がってもらえるよう、この機会を恐れずにまずは試してみようかな」と出演を決めたとか。舞台人・長澤まさみをたっぷり味わえるこの機会。ぜひ劇場へ足を運びたい。

ガールズ&ボーイズ
-Girls & Boys-

5月12〜31日/東京・新国立劇場 小劇場
作/デニス・ケリー 芸術監督/小川絵梨子
演出/蓬莱竜太
出演/長澤まさみ
TEL 03・5352・9999(新国立劇場ボックスオフィス)

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『ウーマンリブvol.14 もうがまんできない』

愚かしくもシンパシーあふれるクドカン新作

NHK大河ドラマ『いだてん』のオンエアが終わったばかりの劇作家・演出家、宮藤官九郎が、さっそく書き下ろした新作だ。

「ウーマンリブ」とは、松尾スズキが主宰する大人計画のなかで、宮藤が作・演出を手がけるユニットのこと。1996年の第1弾から、宮藤が“本当にやりたいこと”を舞台に乗せてきた、いわばホームのような場所だ。

今回も『いだてん』をともに走った盟友・阿部サダヲを筆頭に、大人計画出身の人気者たち、さらに昨年からシアターコクーンの芸術監督となった松尾までが揃って出演。

解散寸前のお笑いコンビやデリヘル嬢、人妻と間男など一筋縄ではいかない人々が、愚かしくもシンパシーあふれるクドカン流ドラマを繰り広げる。

ウーマンリブvol.14
もうがまんできない

4月2日〜5月3日/東京・本多劇場
作・演出/宮藤官九郎
出演/阿部サダヲ、柄本佑、宮崎吐夢、荒川良々、平岩紙、
少路勇介、中井千聖、宮藤官九郎、要潤、松尾スズキ
TEL 03・3327・4312(大人計画) ※大阪公演あり

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『ART』

小さな出来事をきっかけに

マルクとセルジュ、イヴァンは親友同士。だがセルジュがやっと手に入れた現代アートの絵にマルクが不思議な顔をしたことから、すれ違いが生まれてしまう。一方、結婚を控えたイヴァンにとってはどちらも大切な友人。3人は関係を修復しようと試みるが、奮闘すればするほど事態はおかしな方向へ……。

『正しいオトナたち』『人生の3つのヴァージョン』など、日本でも上演が相次ぐフランスの劇作家ヤスミナ・レザの傑作コメディ。小さな出来事をきっかけに、隠されていた人間関係が浮き彫りになるレザの戯曲は、リアルだが思わずクスッと笑ってしまうような登場人物が魅力。

イッセー尾形と小日向文世という手練の役者に、勢いに乗る大泉洋がどう対峙するのか見ものだ。

ART

4月9〜26日/東京・世田谷パブリックシアター
作/ヤスミナ・レザ 演出/小川絵梨子
出演/イッセー尾形、小日向文世、大泉洋
TEL 03・6265・3201(Mitt)
※東京公演の前に、埼玉、大阪公演あり