2人の巨匠がたどり着いた「楽園」は

印象派の巨匠クロード・モネ(1840-1926)と、20世紀絵画の巨人アンリ・マティス(1869-1954)。約30歳の年齢差があり、芸術のスタイルも違っていたが、2人はそれぞれの理想の「楽園」で独自の芸術を追究した。本展「モネとマティス もうひとつの楽園」は、彼らが探し当てた「楽園」をキーワードに、制作の秘密をひもとく。

モネのユートピアは、彼が後半生を過ごしたパリ近郊の小村ジヴェルニーである。43歳の時に家族とともにジヴェルニーに移ったモネは、50歳の時にそれまで住んでいた家と土地を正式に購入。隣接する土地に「水の庭」を作り、200点以上にのぼる「睡蓮」の連作を描き続けた。彼が育てあげた、季節の花々が咲き乱れるジヴェルニーの庭、その周辺にひろがる豊かな自然は、まさに絶えざるインスピレーションを与えてくれる楽園であった。1884年作の《ジヴェルニーの積みわら》は、モネがジヴェルニーに移った翌年に描いた、初期の頃の作品だ。

一方、マティスがたどり着いた楽園は、南仏ニースである。1917年、初めてニースを訪れたマティスは、「毎朝この光が見られるのだとわかったとき、自分の幸福が信じられなかった」と言っている。彼は、この南仏の光に満たされた室内を、お気に入りのテキスタイルのコレクションで飾り、自らの作品にも取り入れた。室内で楽器を奏でる若い女性を描いた《リュート》も、壁や絨毯、モデルの着ているドレスなど、画面全体にテキスタイルのデザインがあふれた、装飾的な作品である。

国内のコレクションが少ないことから、マティスの作品をまとめて観る機会は極めて稀だ。名だたるモネの名品とともに、約10年ぶりに日本でマティスをいちどきに観ることができる本展は、それだけでも貴重な展覧会なのである。

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モネとマティス もうひとつの楽園 〜11月3日 ポーラ美術館 ☎0460・84・2111   新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡散防止のため、ポーラ美術館は休館しています。今後の開催情報は、美術館サイトでご確認ください

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ミイラがずらりと並ぶ!

オランダのライデン国立古代博物館は、世界で最も古い国立博物館のひとつ。古代エジプト、ギリシャ、ローマなどの約20万点ものコレクションを誇る博物館だが、なかでも約2万5000点にものぼる古代エジプト・コレクションは、質量ともに世界トップ5に入る充実ぶりだ。その中から約250点が来日する本展「特別展 ライデン国立古代博物館所蔵古代エジプト展」では、完全に布で包まれた人間や動物のミイラをCTスキャンして、その成果を世界で初めて公開する。一体あの布の中身はどんなことになっていて、何がわかったのか? 極めて興味深い。

また、ミイラの棺は寝かせた状態で展示されることが普通だが、本展ではライデンの常設展示をイメージし、12点の棺をすべて立てた状態で展示する。長さ202㎝もの《ホルの外棺》を筆頭に、立った棺がズラリと並ぶ立体展示は、幻想的な空間を生み出すはず。時空を超えて死者と対話をしているような、不思議な気分を味わえるかもしれない。


《ホルの外棺》後期王朝時代 ライデン国立古代博物館 ImagecRijksmuseum van Oudheden(Leiden, the Netherlands)

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特別展 ライデン国立 古代博物館所蔵古代エジプト展 〜6月21日 九州国立博物館 ☎050・5542・8600(ハローダイヤル) ※以降、北海道、愛知、静岡、東京、宮城、山口、兵庫に巡回 新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡散防止のため、九州国立博物館は休館しています。今後の開催情報は、公式サイトでご確認ください

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世界に誇る日本の美!見ればお腹が空いてくる

2013年、ユネスコ無形文化遺産に登録されたことにより、ますます国際的に高い評価を受けている和食。「すし」「天ぷら」「そば」など世界に誇る日本の食文化が、江戸時代にはどのように楽しまれていたのかを、北斎や国芳らが描いた浮世絵とともに紹介する。《春の虹蜺(こうげい)》は、虹を背景にかば焼きにかぶりつこうとする女性を描いた作品だが、当時はこんなふうに鰻を食していたのかと新鮮。そのほか、当時のレシピ本や老舗料理店のガイドブックなども展示。料理の再現写真を通じて、江戸の台所を追体験する。


歌川国芳《春の虹蜺》個人蔵

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おいしい浮世絵展 〜北斎 広重 国芳たちが描いた江戸の味わい〜 〜6月7日 森アーツセンターギャラリー ☎03・5777・8600(ハローダイヤル) 会期中、展示替えあり 新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡散防止のため、森アーツセンターギャラリーは休館しています。今後の開催情報は、美術館サイトでご確認ください

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