フィギュアスケート男子の魅力を伝える、『婦人公論』の人気連載「氷上に舞う」。2019−20シーズン開始から、注目スケーターたちの素顔を、カメラマン・田中宣明さんの写真と文とともに紹介してきました。現在発売中の『婦人公論』5月12日号で最終回(最終回は羽生結弦選手)を迎えた本連載を、特別にウェブで公開! GWの間、毎日配信します。8日目は「高橋大輔選手(高ははしごだか)」です。(撮影・文=田中宣明) ※本記事は、『婦人公論』2020年2月25日号に掲載されたものです

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高い技術と類い稀なる表現力で新たな道へ

僕のカメラマンとしてのスタンスを変えてくれた人、それが高橋大輔というスケーターだ。初めて撮影したのは2001〜02年シーズン。一瞬で彼の生み出す世界に引き込まれた。

彼の氷上での演技力を目の前にすると、つい夢中でシャッターを切ってしまう。いや、「撮らされてしまう」という表現が正しいかもしれない。撮影後はいつも、「次はあの瞬間を狙ってみよう」と新たな課題が浮かんでくる。そしてまた次の試合の撮影に挑む――その繰り返しだ。撮る努力をさせてくれるスケーターに出会えたことは、カメラマンとしてとても嬉しかった。

彼のプログラムは、強く記憶に残っている。「ロクサーヌのタンゴ」「白鳥の湖ヒップホップバージョン」「道」「道化師」……。数え上げたらキリがない。新シーズンを迎えるたび、「今季はどんなプログラムだろう」と胸をワクワクさせていた。今でも、彼が使用した曲を耳にすると、豊かな表情やキレのあるステップが鮮明に思い出される。

19年の全日本選手権でシングルスケーターの自分に別れを告げ、アイスダンスの道を歩み始めた大輔。今後、日本で多くの人がアイスダンスにも関心をもつだろう。高い技術と類い稀なる表現力がどのように生かされるのか、目が離せない。そして大輔の未来がスケートとともにあること、それは僕にとって何よりの朗報である。


「氷上に舞う! Special フィギュアスケート日本男子ベストフォトブック2019-2020」田中宣明さん撮影の写真満載のフォトブック