1月に閉店した福井県福井市内の書店の本棚が、図書館や他の書店、地域住民らに引き取られ第二の活躍の場を与えられている。大切に扱われてきた専門店の棚は、頑丈で味があり、使い勝手も良いと新天地で好評。書店の代表は「一つの店をやめてしまった悲しさはあるが、みんなに使ってもらえてうれしい」と話している。

 福井市の書店「じっぷじっぷ」(清水祥三社長)の種池店(同市種池2丁目)は1月31日に閉店し、35年の歴史に幕を下ろした。

 閉店を控えた1月上旬、清水社長は福井市立図書館で本棚が不足し、バックヤードでは手作りの棚を使っていることを知り、提供を申し出た。その後、同市みどり図書館や他の書店、本好きの個人などに話が広がり、次々と棚の譲り先が決まっていった。

 種池店には約50台の棚があった。文京店の棚と入れ替えて不要になったものを含め、約20台が図書館や他の書店に提供された。

 市立図書館は、本棚やブックトラックなど約10点を譲り受けた。幅約180センチ、高さ約150センチの茶色い本棚と、幅約90センチ、高さ約150センチの白い本棚それぞれ1台ずつが一般書コーナーで使用されている。茶色い棚には日本の小説の文庫本が並ぶ。白い棚には中高生向けの新書サイズの本が収納され、平台部分を利用したおすすめの本を紹介するコーナーも設けた。

 これまで文庫本を納めていた棚は垂直で、低い部分が見にくかったが、茶色い本棚は低い部分も見やすいように角度が付いている。

 近年は文庫で出版される書籍が多く、適した本棚が不足していたという。じっぷじっぷの本棚は、一般家庭向けとは異なり、長年の使用に耐えてきた強度があり、提供は願ってもない話だった。

 市立図書館の本棚に気付き、清水社長の妻、直子さんに教えてくれたお客さんがいたという。直子さんは「てっきり書庫の中で余生を過ごすものだと思っていたから、表に出ていたと聞いてちょっとうれしかった」と喜んでいた。

 清水社長は「さみしがることなく、役に立つんだという気持ち」と心境を話し、愛着ある本棚が重宝されていることに感慨深げ。図書館の河合啓子主幹は「図書館も書店も本の楽しさを伝えたいという思いは同じ。大切にされてきた本棚を使わせてもらうことで、思いを受け止められたら」と話していた。