苦しい選考レースを福井県出身の伴侶が支えた。東京五輪男子マラソンの代表に決まった大迫傑(すぐる)選手(28)=ナイキ=の妻あゆみさん(31)は「役に立ちたい」一心で、栄養や睡眠の専門知識を学んだ。「メダルを目指す夫を信じている」。小さな娘2人と、世界に挑むパパを後押しする。

 3月1日の東京マラソン。2時間5分29秒の日本新記録でゴールに飛び込んだ大迫選手を娘と迎えた。「よかったね」とあゆみさん。「うん」と夫。血のにじむような特訓が実を結んだ。海外合宿などで父に3カ月も会えなかった娘たちもよく耐えた。思いがこみ上げ「本当にうれしかった」。

 高校卒業まで福井県内で育った。中京大を経て2011年にアシックス入社。営業部門で働き、12年に結婚した。現在は一家で米オレゴン州・ポートランドで暮らす。早稲田大、ナイキと進み、長距離種目で数々の記録を打ち立ててきた夫に寄り添う。

 米大リーグの田中将大投手(ヤンキース)の妻・里田まいさんを参考に、スポーツ選手をサポートするための食事に関する知識を身に付ける民間資格「アスリートフードマイスター」を取得した。

 食事は「ごく普通の家庭料理」が基本。ただし栄養面は妥協しない。食材と量は練習の強度で調整するが本人には尋ねないという。「プレッシャーをかけたくない。家での過ごし方や持って行く荷物で予測する」と、専門家の顔がのぞく。パフォーマンス向上につながればと睡眠指導士の民間資格も取った。

 家族の絆は固い。2019年9月の代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」で3位に終わり、ケニア合宿を志願した際も「強くなるため新しい環境に飛び込むのは初めてではない。心配は一切なかった」。内定の知らせを一家そろって聞き、喜び合った。

 大迫選手は福井に3、4回来たことがあり「水がきれいで山菜やお酒、海鮮がおいしいね」と気に入っているという。今夏、札幌での決戦に臨む夫へ「これまでと同じように応援します」とエールを送った。