ヤクルトなどで通算21年間プレーした野口寿浩氏が解説

■中日 2-1 楽天(オープン戦・6日・バンテリンドーム)

 楽天に8年ぶりに復帰した田中将大投手は6日、中日とのオープン戦(バンテリンドーム)に4回から登板し、4イニング3安打6奪三振1四球2失点。開幕2戦目の27日・日本ハム戦(楽天生命パーク)に向け、着実にステップを踏んだ。かつてヤクルト、日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)で通算21年間捕手として活躍した野口寿浩氏が、太田光捕手とのコンビネーションを含めて分析。気になる点を指摘した。

「開幕へ向けての調整としては、非常に順調。ただ、現時点ではまだまだ、細かい制球などの面で“田中将大のピッチング”になりきっていないのも確か。本人としては、狙った所に投げられた確率は決して高くなかったのではないか」と野口氏は見る。実際、3イニング目の6回には、2死からビシエドに初球の146キロ速球が真ん中高めに浮いたところを左中間に運ばれ二塁打に。3連打で2点を失うきっかけとなった。

 野口氏が元捕手として気になったのは、捕手の太田とのやり取りだった。「最初のイニングの4回2死で、左打者の滝野に初球を投げる際、田中将は太田のサインに何度も首を横に振った。何を投げたがっているのかと注目していたら、外から真ん中へ曲げてくるスライダーで見送りストライクを取った」。この後、左打者に対する初球は、判で押したようにスライダーが続いた。

 野口氏は「バッテリーの間で『左打者に対してスライダーでストライクを取ること』をテーマと決めて臨んでいたのであれば、全く問題はない」とした上で「そうではなく、最初に首を振られたことで、太田が気を遣ってスライダーのサインを出し続けていたのであれば、決していいことではない」と警鐘を鳴らした。

 太田は昨季チーム最多の67試合でマスクをかぶった正捕手の筆頭候補。まだプロ3年目の24歳だが、相手が7年間メジャーで活躍してきた“レジェンド”であっても、野口氏は「捕手は常にサインを通じて投手に『自分はこう考えますが、どうですか?』と問いかけるような強い気持ちが必要。気を遣うだけではリードにならない」と強調する。

2盗塁許すも「データが頭に入れば、もっと走りにくい投手になる」

 盗塁阻止も、バッテリーの共同作業だ。田中将はこの日、2盗塁を許した。6回には、1点を献上してなお2死一塁の場面で、一塁走者の代走・三好に走られ、いったん「アウト」の判定が下ったものの、リプレー検証の結果覆った。7回には先頭の三ツ俣を四球で歩かせ、次打者・根尾の2球目に走られると、太田は送球することもできなかった。

「田中将のクイックは決して悪いものではなかった。6回は、タイミングはアウトだったが、太田の送球が三塁方向に逸れた分、セーフになった」と野口氏は見る。太田は昨季リーグトップの盗塁阻止率.333を誇った強肩捕手だが、投手同様、捕手の送球にも開幕前の調整は必要なのかもしれない。

「田中将はもっと速いクイックもできるし、誰が走ってきて誰が走ってこないのか、日本の選手のデータが頭に入れば、セットポジションで球を持つ時間を変えたりして、走者にとってもっと“走りにくい投手”になるはず」とも。

 今回を含め、田中将の3度の実戦登板は捕手はいずれも太田。石井一久新監督が正捕手として太田に期待していることは、起用法から見て明らかだ。田中将自身は試合ごとに日本のボール、マウンドに適応しつつある。今後、田中─太田の”爆問バッテリー”のコンビネーションをどこまで成熟させていくか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)