なぜホークスは新会社「AcroBats」を作ったか? 選手の引退後をサポートする意義と狙い

なぜホークスは新会社「AcroBats」を作ったか? 選手の引退後をサポートする意義と狙い

「アスリートはユニホームを脱いだ後でも“資産”」

 9月18日、ソフトバンクホークス株式会社は、アスリートのセカンドキャリアサポートを行う新会社「AcroBats(アクロバッツ)株式会社」の設立を発表した。同日行われた記者会見では、代表取締役社長の安積研二氏と、事業・戦略・企画担当の江尻慎太郎氏に加え、同社とマネジメント契約を行った元福岡ソフトバンクホークス攝津正氏が登壇した。

 会見の冒頭、「アスリートはユニホームを脱いだ後でも“資産”」だと述べた安積社長。

「“引退選手のセカンドキャリア支援”を語るときに、就業支援をすることだけがアスリートや社会にとって必ずしも最適なものとは言えないという考えがあり、昨年末にプロジェクトチームを発足して議論をしてきました。その中でアスリートの価値やプロスポーツの価値、アスリートは感動させるのだということを、より永続的なものに変えていこうという結論に至りました」

 AcroBatsの社員は安積社長と江尻氏の2名、所属OBは江尻氏、攝津氏の2名というミニマム体制での船出となる。今後正式契約となったアスリートOBは、順次公表される模様だ。ホークスOBとして自身もメディアへの露出が多い江尻氏は、事業・戦略・企画担当として「メディアやスポンサーと、アスリートOB間の橋渡しをしていきたい」とその役割を語る。

 具体的には、イベントや講演会、スポーツ教室へのOBの斡旋・キャスティング、企業とのアドバイザリー契約などが事業の柱となる。球団の一事業ではなく子会社とした理由として、「ゆくゆくはホークスだけでなく、他の球団やJリーグ、Bリーグなど異なるフィールドの人も巻き込んで成長していきたいから」と安積社長。ホークスにこだわらない形にした結果の新会社設立だった。

背景には、若手選手のセカンドキャリアの不安視

 球団が選手のセカンドキャリアに向き合う背景には、若手選手のセカンドキャリアに対して不安に思っているという現実がある。NPBの12球団所属で、2018年のみやざきフェニックス・リーグに参加した若手選手を対象とした、『2018年 現役若手プロ野球選手への「セカンドキャリアに関するアンケート」結果』によると、引退後の生活に不安を感じている選手は61.9%と、入団1〜3年目の若手選手の実に6割以上が、収入面(73.7%)、進路(67.9%)に不安を抱いているという結果が出た。

 ソフトバンクは、かつてより引退選手の就職支援を、ソフトバンクグループという母体の下で他球団に先駆けて乗り出しているが、多くの育成選手を抱えている同球団だからこその手厚いサポートとも言える。「AcroBats」では、これらの一般企業への就職とは異なり、イベントや講演会、メディアへの露出を目的としており、「企業がOBの出演依頼をしたくてもこれまで窓口がなかった」と安積社長が話すように、個人のコネクションやマネジメント会社に頼らざるを得なかった球団OBへのコンタクトが現実的なものになる。

 さらに、ドラフトを控えるアマチュア選手の心象も違ってくることが考えられる。セカンドキャリアを見据えたバックアップが球団側で用意されているということに、特に選手の家族からの球団評価は高まるだろう。「AcroBats」という社名には、「現役時代以上に輝き、アクロバティックなセカンドキャリアを過ごしてほしい」という思いが込められている。アスリートならではの経験を、企業やメディアを通してより多くの人に広げる活動に結びつくことに期待したい。(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)


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