巨人坂本は新型コロナ余波で史上最年少2000安打は厳しくなった

 2020年のプロ野球は早くとも4月10日以降の開幕となった。日本野球機構は例年通り143試合を消化したいとしているが、予断を許さない状況だ。

 巨人・坂本勇人内野手は2007年のデビュー以来2019年までに1884安打を記録している。あと116安打で史上53人目の2000本安打達成となる。1988年12月14日生まれの坂本は、今年、史上最年少で2000本安打を達成する可能性があった。

2000本安打達成年少5傑 日付は達成日

1.榎本喜八(東京/1968.7.21)31歳7か月
2.張本勲(東映/1972.8.19)32歳2か月
3.土井正博(クラウン/1977.7.5)33歳6か月
4.立浪和義(中日/2003.7.5)33歳10か月
5.王貞治(巨人/1974.8.4)34歳2か月

 榎本喜八は1955年、早実から毎日オリオンズに入団。1年目から正一塁手として139試合に出場、146安打を放って新人王に輝いた。以後も安打を量産し、4回最多安打を記録。キャリア14年目の1968年7月21日に、それまでの最年少記録だった山内一弘(阪神)の35歳5か月を大幅に更新する31歳7か月で2000本安打を達成した。

 榎本の記録は、厳密に言うと31歳7か月と16日だった。坂本勇人がこの記録を破るためには、今年7月29日までに2000本安打を記録する必要があった。昨年、坂本が116安打目を放ったのは、7月30日、チーム92試合目だった。この時点での打率は.314、昨年とほぼ同じペースで安打を打てば可能なはずだった。

 しかし今年は東京五輪が予定されているため、ペナントレースは7月19日から中断する予定。このため、坂本が榎本喜八の記録を更新するには7月18日、ZOZOマリンスタジアムで予定されていたDeNA-巨人戦までに達成する必要があった。

 ただし、今年は東京五輪の影響で開幕が前年より9日早い3月20日に予定されていた。今季のNPB各球団は中断する7月18日の時点で99試合前後を消化する予定が組まれていた。坂本が昨年と同じペースで安打を打てば、榎本喜八の記録を抜くことは十分に可能だと考えられていた。坂本が7月13日までに2000本をクリアすれば、31歳6か月での達成となり、月単位でも榎本の記録を抜く。これも不可能ではない目標だった。

右打者の史上最年少記録は33歳6か月の土井正博

 こうした目算は、急速に深刻化する新型コロナウイルス肺炎の感染拡大によって崩れつつある。NPBは3月20日の開幕を断念。遅くとも4月中に開幕したいとしているが、この間の20、30試合が延期となる。仮に4月10日に開幕したとしても7月18日時点では80試合程度の消化となり、116安打を打つのはかなり厳しいと考えられる。

 東京五輪の延期も取りざたされている。仮に7月19、20日のオールスター後にペナントレースが組まれる可能性はあるにしても、現状では坂本の「史上最年少2000本安打」には黄信号が点灯したといえそうだ。

 しかし、最年少記録を更新できなかったとしても坂本の実績が色あせるわけではない。今年中に2000本をクリアすれば、33歳6か月の土井正博を抜いて右打者としての最年少記録となる。また、この記録の上位選手は外野手か、一塁手だ。守備の負担がはるかに大きいい遊撃手として若年記録に迫る活躍をしていることは、称賛に値する。

 昨年、坂本は最多安打に輝いた12年に並んで自身のキャリアで2番目に多い173安打を記録した。2017年7月9日に史上2番目に若い28歳6か月で1500本安打を記録したが、30歳を過ぎても衰える気配は全くない。2000本安打も通過点だといえよう。

 坂本がペースを落とすことなく安打を量産すると、歴代で7人が記録している2500本、そしてNPBでは張本勲以外誰も達成していない3000本安打も不可能ではない。たとえ2000本安打のテープを最年少で切ることができなくても、当代屈指の好打者であることは変わらない。今後の活躍に注目したい。(広尾晃 / Koh Hiroo)