宮崎キャンプで瀬戸山氏は王会長とプロ野球界の未来を語る

 新型コロナウイルスの感染拡大で、当初3月20日に予定されていたプロ野球の公式戦開幕が延期となっている。苦しいのはファンだけでなく、球団側も経営に大きなダメージを受ける。Full-Countでは過去に球団首脳としてチーム運営に携わった経営陣に球団が考えるべきこと、ファンや周囲の人間が何ができるかを問う連載【球界と共に】で一緒に考えていきたい。第5回はダイエー球団代表、ロッテ球団社長、オリックス球団本部長などを歴任した瀬戸山隆三氏に聞いた。(後編)

 前編では球界再編から復活を遂げたパ・リーグの逆襲劇、そして新型コロナの影響で直面する球団について瀬戸山氏が語ってくれた。今回はソフトバンク・王会長も提言する「16球団構想」についてだ。

 これまで何度も議題に上がってきたエクスパンション(球団拡張)。球団数を増やしファン拡大、野球人気を復活させるため必要なものは何なのか。

「今、このような状況の中、球界は改めて考える時期にきていると思っています。王会長とは何度か連絡を取り合っていますが、今年の宮崎キャンプでも『他のスポーツは改革を進めているが、野球界は昔のまま変わっていない。ずっと12球団のままだ』と仰っていました。王会長の16球団構想が話題になりましたが、プロ野球が次のステージを目指すにはこのような考えは必要だと感じています」

 すでに一極集中の時代は終わったといえる。16球団になればこれまで以上にプロ野球を身近に感じる人は確実に増えてくる。セ・パ6球団中3球団が争うポストシーズン、そしてクライマックスシリーズも今まで以上に盛り上がることは間違いないだろう。

16球団が3軍を持ち計48チーム、各都道府県に球団を

 ただ、課題もあるのも事実だ。球団経営が成り立つのか、観客動員数の大幅な差、チーム戦力の格差など上げればキリがない。それでも将来のプロ野球界を考えると課題を消化し実現する必要もあると考える。

「楽天、日本ハム、ダイエー(現ソフトバンク)が地方で成功を収めている。いい選手を争奪するのではなく全球団が育成に力を注ぐ。独立リーグなども巻き込んで仮に16球団ができ、全てのチームが3軍を持つと計48チームができる。各チームの2、3軍が同じ場所にフランチャイズを持たなければ各都道府県に球団を持つことができます。もう1回、野球界がチャレンジできる時期だと、このピンチをチャンスと捉えることが必要ではないでしょうか」

 エクスパンションを実現させるには影響力のある人物が率先して動き、周りを巻き込んでいくことが必要不可欠だ。

「王会長は“巨人の王”から殻を破り、“ホークスの王”になってくれた。ホークスを強くして3軍も作り球界のトレンドを作っている。この改革は選手会、NPB全てを巻き込まないと実現は厳しい。王会長が16球団構想を口にするとやはりインパクトが違う。これを私が言っても全員が?になるでしょう。球界を変えることができる人物は限られているのです」

 瀬戸山隆三(せとやま・りゅうぞう) 1953年9月18日、神戸市生まれ。大阪市大を経て1977年ダイエー入社。ダイエー(現ソフトバンク)、ロッテ、オリックスのフロント職を務める。現在は中部衛生検査センター相談役、千葉商大客員教授。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)