米メディア「ジ・アスレチック」は17年オフの大谷獲得争奪戦を振り返った

 新型コロナウイルスの影響で延期となっていた大リーグは7月23日か24日(日本時間24、25日)に開幕を迎える。エンゼルス・大谷翔平投手は開幕から二刀流復活が期待されている。米メディア「ジ・アスレチック」は17年オフに全30球団のうち27球団が参戦した大谷獲得争奪戦を述懐。ヤンキース職員時代から追っていたエンゼルスのビリー・エプラーGMのエピソードなど米球界側から争奪戦を振り返っている。

 エプラーGMは04年オフからヤンキースのスカウト、GM補佐を歴任。例年8月は日本や韓国の若手を発掘するためにアジアへ調査していたという。今は大谷の二刀流起用法の鍵を握るエプラー氏。日本人選手の調査は実に独特だったようだ。

「エプラーはたびたびタクシーの運転手に色々な選手についての意見を求めた」。

 熱烈な日本の野球文化もうまく利用する手法も取り入れていたという。

 ダルビッシュや田中将大らメジャーで活躍が期待できそうな選手たちを熱心に追う日々。13年。エプラー氏は当時18歳だった日本ハム・大谷翔平投手を初めて視察した。その才能にすぐ惚れ込み、当時ヤンキースの国際スカウティングディレクターを務めていたドニー・ローランド氏に電話をかけたという。

「この若者はホンモノだ」

大谷のスプリットはヤンキース田中よりも「より破壊力がある」

 大谷が投手タイトル3冠に輝いた15年。エプラー氏は大谷が12三振を奪って完封勝利した8月18日のロッテ戦(当時QVCマリン)を視察。スプリットのスピードガンは93マイル(約150キロ)を計測したという。何人かの球団幹部が「打つことは不可能」と呼んだ大谷の勝負球をエプラー氏は、ヤンキース田中将大の球と比較して、こう評している。

「他にもっといい言葉があるかもしれないけど、何というかオオタニのスプリットは、より破壊力があるものだった」

「打者に打つチャンスは無かった。全力でウィッフルボールを投げる時と同じくらいのキレ、そして(変化し始めるタイミングの)遅さだった。けれど、投げていたのは野球のボール。『誰も打てない』と私は自分に語りかけた」

 15年10月にエンゼルスGMに就任したエプラー氏は、17年オフの大谷争奪戦に参戦した。ジャイアンツ・ポージーやドジャース・カーショー、ターナーら現役スター選手が面談に参加。大谷の代理人を務めるネズ・バレロ氏が「ほぼ球界全土が獲得するチャンスを欲しがった」と振り返るほどの盛り上がりを見せた争奪戦は、当初劣勢とみられていたエンゼルスが大谷のハートを射止めた。エプラー氏が大谷の代理人を務めるネズ・バレロ氏から入団の電話がかかってきた時に、「床に倒れるまで」喜んだのは有名な話だ。

 プロ5年目でのメジャー挑戦で、契約金は低額。しかもマイナー契約しか締結できないルールで、「ジ・アスレチック」は「前例のないほどの熱を帯びた争奪戦」と振り返った。タクシー運転手から日本球界の情報を仕入れてまで獲得にこぎつけたエプラーGM。今後も語り継がれるものとなるに違いない。(Full-Count編集部)