3月に米レッズから契約解除、4月に帰国後は国内で自主トレーニング

 前レッズ傘下マイナーの田澤純一投手が13日、埼玉・熊谷市内で行われたルートインBCリーグの埼玉武蔵ヒートベアーズの入団会見に出席した。スーツに身を包んだ右腕は12年ぶりの日本復帰について「監督からいつも声を掛けていただいていたこともあり、このチームでプレーすることにさせてもらった」と語り、新たなチャレンジに意欲を燃やした。背番号は「36」に決まった。

 田澤が新たに選んだ道は、日本の独立リーグだった。34歳右腕の元には複数オファーが届いたというが、中でも一番熱心に声を掛けてくれたのがBC埼玉だった。

「監督からいつも声を掛けていただいていたこともあり、このチームでプレーすることにさせてもらった。できる限りこのチームに貢献できるように頑張ります。また、日本の皆さんに応援してもらえるように頑張ります。素直にうれしかった。コロナの中で、アメリカのマイナーがなかったりするので、やれる場所がない中でオファーをもらったことは率直にうれしかった」

 渡米12年目を迎える今年はレッズ傘下マイナー選手として、米アリゾナ州でスプリングトレーニングに励んでいたが、3月7日に契約解除。その後は新天地を求めてアリゾナ州内でトレーニングを重ねていた。だが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、米国内で相次ぐロックダウン(都市封鎖)が始まったため、4月上旬に帰国。地元の神奈川県内で自主練習を続けていた。

 米球界の動きは遅く、いまだシーズンは始まっていない。さらに、今月1日にはマイナーリーグの今季開催中止が決定し、米独立リーグに出場機会を求める選手が増大。故障などでメジャー球団が選手補強に乗り出す可能性はあるが、帰国後の取材で田澤は「今の状況を考えると、球団がわざわざ外国人選手と契約しようという流れにはなりにくいと思います」と、冷静に状況を読んでいた。

 新日本石油ENEOS(現ENEOS)に所属した2008年以来となる日本球界の復帰だ。同年の都市対抗野球で5試合に登板し、4勝、36奪三振、防御率1.27という圧倒的な成績でMVPにあたる橋戸賞を獲得。ドラフトでは1位指名が確実視されたが、会見を開いて「メジャーでプレーしたい」と夢を追うことを明かし、レッドソックスと6年のメジャー契約を結んだ。だが、この時に生まれたルールにより、田澤は帰国後、2年間はNPB球団と契約できない状況にある。

 2013年にセットアッパーとして、レッドソックスの世界一に貢献。17年からはマーリンズ、タイガース、エンゼルス、カブス、レッズとチームを渡り歩いたが、「とにかく野球が上手くなりたい」という気持ちは失わず。近年はオフになると筑波大に通い、動作解析を元に体の使い方を一から見直し、「マウンド上で打者ともう一度真剣勝負がしたい」と地道なトレーニングを積み重ねていた。

「求められる場所で投げたい」と話していた右腕だが、日本では“ルール”という壁に直面。そんな状況に突破口を開けたのが、独立リーグの存在だった。チームには今月下旬にも合流し、12年ぶりに国内のマウンドに上がることになりそうだ。

 日本投手歴代3位となるメジャー通算388登板を記録。21勝26敗4セーブ89ホールド、防御率4.12。NPBを経ずしてメジャーを目指し、異国で確固たる地位を切り拓いた男が、今度は日本で新たな道を歩み出す。(佐藤直子 / Naoko Sato)