今年の東京五輪で完全燃焼する予定だった、今後の見通しは?

 昨年まで巨人で8年プレーし、ファンに愛されたスコット・マシソン投手。新型コロナウイルスの感染拡大している米国フロリダ州の自宅で家族と自粛生活中。今年の東京五輪でカナダ代表としてプレーすることを目標に掲げていた。「野球が恋しい」と現状を憂いている。

 パソコンの画面の奥にいるマシソンは元気そうだった。巨人でのプレーを終え、毎日、登板に備える準備はもうしなくてもいい。どこかに寂しさは感じる。それでも、ふと立ち止まると野球のことが頭をよぎる。

「自分としては野球が恋しくてしょうがない。ああやって、打者と対戦する機会がすごく恋しくて、野球がやりたくてしょうがないんだ」

 マシソンは今年開催予定だった東京五輪の野球で、カナダ代表としてプレーすることを最後に、選手生活を全うしようとしていた。しかし、来年に延期になり、心境の変化はあったのだろうか。

「私は日本が第2の故郷と思っています。オリンピックがその日本で行われる。そこに出るという目標は今も変わらない。週5日で筋力トレーニングをしているし、バイクをこいだりもしています」

 投球練習などはしていないが、体のコンディションは良い。「日本で五輪に出れたら、最高」とモチベーションになっている。150キロ半ばくらいの直球が常時、投げられるように、自分の体を保っている。

 新しい発見もあった。マシソンは18年8月に左膝手術を受けるなど、60回近い注射を打ってきた。満身創痍の状態で投げてきたが、帰国後に試した膝の注射との“相性”が良いようで、今は定期的に注射を打たずにトレーニングができているという。

「今年のシーズンは短めだったから、もう1年(現役で)やっておけばよかったなって思ったこともあった(笑)でも、客観的に見たら、いくら膝の状態が良くても、フルシーズンで戦うことは難しい。オリンピックは短期間なので勝負ができるけれども、五輪後に野球を続けることは無いとは思う」

 五輪を最後に野球選手としての仕事を終える決意は変わっていない。

寂しいマイナーリーグの全日程中止「自分にとって友情が結ばれた場所」

 米国でもまだ予断を許さない感染状況で、メジャーリーグも細心の注意を払いながら、シーズンが進められている。マシソンに悲しいニュースとして届いたのは、マイナーリーグの中止だった。

 マシソンもメジャーデビューを果たしたが、マイナーで過ごし時間も長った。巨人に入る前は3Aで地元ファンからの歓声を受けていた。

「リーグの応援ができないファンのことを考えると残念です。私が以前いたマイナーリーグのチームは、お客さんが結構、入っていました。当然、選手も仕事がないということが現状。今年で最後で、来年プレーを続ける機会をもらえない選手もいるかもしれない」

 マイナーリーグに起きる“死活問題”に心を痛めていた。それにこの場所、この時期は一人の選手としても、成長させてくれるのだという。

「僕が選手としてマイナーリーグもすごく楽しかった。そこでいろんなことで友情ができたりとか試練を乗り越えてきた。だからとても悲しい。日本に行くことなど、自分にとってもチャンスが広がった場所だからね」

 少し時間ができた分、考えることも増えた。東京五輪出場という目標を持ちながら、指導者としての道も考え始めている。ファンを愛し、愛されたマシソンが進むその次のステージも、必ず野球界に貢献してくれるだろう。(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)