「8番・投手」のケースでの勝率.552、「9番・投手」は勝利.478

 DeNAのアレックス・ラミレス監督が時折、繰り出し話題になっているのが、投手を8番に置く戦法。20日現在、80試合中37.5%の30試合で行い、勝率.552(16勝13敗1分)。普通に投手を9番に置いたケースの.478(22勝24敗4分)を上回っている。DH制のないセ・リーグで今季、投手を8番に入れることがあるのはDeNAだけ。そこには、どんな意図と根拠があるのだろうか。

 ラミレス監督率いるDeNAは18日から20日まで、首位を独走する巨人と本拠地・横浜スタジアムで3連戦を行い、2勝1敗で勝ち越した。19日の2戦目のみ投手の浜口を8番に入れ、9番は倉本。他の2試合は投手を9番に置いた。

 20日の3戦目の下位打線は、6番・戸柱、7番・倉本、8番・柴田、9番が投手の大貫。ラミレス監督は試合前、大貫を9番に置く理由をこう説明した。

「戸柱、倉本に連打が生まれて一、二塁となった場合、8番が投手であれば送りバントのケースだが、戸柱の走力では三塁でアウトになる可能性が非常に高い。だから8番に野手を置いて、さらに連打を狙っていく」

「僕はデータが8割、ひらめきが2割」と語るラミレス監督

 実際、大貫の前回登板の13日・中日戦でこういう場面があった。4回の攻撃で1死一、二塁から、8番に入っていた大貫が捕手の前に送りバントを試みたが、二塁走者の戸柱が三塁封殺。結局試合に1点差で敗れたことから、ラミレス監督は同じ並びを避けたのだろう。

 投手を8番に置く場合は、試合中の9番から1番への周りを重視し、チーム屈指の強打者で打率.311、14本塁打をマークしている1番・梶谷へ効果的につなげる意図があるとみられるが、相手投手、味方の選手の調子、戸柱を中心に3人を併用しているスタメン捕手の人選などによって、細かく使い分けている。今季これまでに野手で9番を打ったのは、戸柱が11度、自打球を左膝に当てて現在登録抹消中の大和が10度、倉本が5度、乙坂、柴田、中井、神里が1度。

 18日の1戦目では、投手の井納は9番に置かれた。2回無死一、二塁から、6番・中井の送りバントで二、三塁とし、続く7番・倉本の右前2点適時打で先制に成功した。もし井納が8番にいたら、倉本は四球で歩かされる可能性が高く、中井に送らせる作戦は取りにくかったのではないだろうか。

 球界関係者の間には「8番・投手がナンセンスであることは、日本プロ野球の長い歴史の中で既に実証されているよ」といぶかる声もある。「僕はデータが8割、ひらめきが2割」と語るラミレス監督のユニークな采配が、野球ファンと関係者の興味をそそり、議論を盛り上げていることは間違いない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)