中津川市ゆかりの画家・熊谷守一と、山岳画家・熊谷榧の作品を観に出かけて。

雨で仕事が中止になった金曜日、市内にある「熊谷守一つけち記念館」と「熊谷榧つけちギャラリー」に行ってきました。

簡素化された花や虫や動物たち。ポップな色使いとその色を取り囲む赤く太い線。仙人のような風貌で、晩年は20年以上も家の門から外へ出なかったともいわれる巨匠、熊谷守一。ぼくの住む岐阜県中津川市は熊谷守一の出身地。幼少期と母親を亡くしてからの五年間をこの地ですごしたそうです。

記念館はこれまで3度移転していて、現在の記念館が開館したのは2015年。小さな田舎町にしては立派な建物は川に面した場所にありました。入り口の壁には代表作の猫の絵が大きく配され、館内は新しくてとてもきれい。絵画作品はもちろん、土門拳の弟子だった藤森武のモノクロの写真がたくさん展示されていて、その暮らしぶりに興味がそそられます。東京都豊島区に建てられた家の庭にはたくさんの植物が植えられ、まるで山奥の鬱蒼とした森を思わせます。この庭という森に棲む植物や虫たちを、守一は地面にへばりつきながら、97歳で永眠するまで描き続けたのでした。

「熊谷榧つけちギャラリー」は「熊谷守一つけち記念館」から車で5分ほどのところにありました。守一の次女である熊谷榧さんは山岳画家として知られ、三年間に渡って雑誌『岳人』の表紙を描いています。たしか、燕山荘に榧さんの油絵が飾られていた記憶があります。90歳を越えてもなお精力的に活動を続けているそうで、数年前までは燕岳まで絵を描きに上がっていたと聞いたこともあります。

ギャラリーでは、地元の書家の企画展が行なわれており、榧さんの作品は20点弱が展示されていました。山をモチーフにしたのは西穂と麓から甲斐駒を描いたものくらいで、もう少し山の絵が見たかったというのが率直な感想。しかし、中津川の風景を描いた作品を見ることができたし、青やピンクの蛍光色の油絵具で描かれた作品は非常にエキゾチックで刺激的でした。そして、ギャラリーのあちこちに石彫が展示されているのに驚きました。なんと72歳から石彫を始められたのだとか。

「熊谷守一つけち記念館」の観覧チケットがあまりにもかわいかったので、帰宅してから巨匠の絵を描くのもどうかと思いつつも描いてみました。「へたも絵のうち」というのは熊谷守一の著書ですが、この線にたどり着くまでにどれだけかかったのだろうと思わずにはいられません。