フジテレビドラマ復調の兆し〜「民衆の敵〜世の中、おかしくないですか!?〜」

ギャラクシー賞月間賞:
「民衆の敵〜世の中、おかしくないですか!?〜」

10月23日〜12月25日放送
21:00〜21:54
フジテレビジョン


 市議会議員に当選した普通の主婦が、持ち前の正義感と率直さで市政に新しい風を吹き込んでいく。そんな筋立てに加えて主演が篠原涼子ということもあり、スタート前は政治をテーマにしたキャラクタードラマだろうと思っていたが、本作はもっと深く「政治」そのものを描こうとした意欲作だった。

 シングルマザーやシャッター通り商店街など、どの地方都市も抱える問題から、後半では沖縄の基地問題を彷彿とさせるニューポート建設という大ネタを軸に、市議の仕事や派閥同士の駆け引きといった政治の裏側を見せていく手際のよさ。さらに個性豊かな同期の一年生議員たちや家族、友人との関わりを盛り込み、群像劇としての魅力もきちんと出していた。

 本心が読みきれない役をやらせると最高に色気を発揮する高橋一生の使い方も見事。最終回の「最小限の犠牲で最大限の幸福を実現するべきだ」という政治における正論をぶつける高橋に、「私はそうして切り捨てられる側だったから彼らを守りたい」と篠原が返す議論シーンは本作の白眉だった。

 とはいえ、個人的に最も印象的だったのは、石田ゆり子演じるシングルマザーが友人から精子提供を受けて娘を産んだことを告白する場面での、「今までは自分だけが納得できていれば、人にはわかってもらわなくてもいいと思ってました。でも、それじゃダメなんです。みんなにわかってもらえないと」という一言だ。

 波風を立てて面倒な思いをするくらいなら黙っていたほうが賢いという考え方では社会は変わらず、結果的に自分も息苦しいままだということ。これは「一人一人の無関心こそが民衆の敵」という作品の芯であるテーマとも呼応する、なにより政治の本質に迫る台詞だったように思う。しかもそれを政治の現場ではなく、日常のさりげない会話シーンに入れたところが巧い。

 展開が若干急ぎ足だったのは残念だが、作り手の意志が明確で、かつエンターテインメントとしても楽しめる。フジテレビのドラマ復調の兆しを感じる作品だった。(岩根彰子)

★ギャラクシー賞月間賞とは?=NPO放送批評懇談会が、優れた番組を自主的に選び出す制度。月間賞に選ばれた番組は、年間のギャラクシー賞審査に自動的にエントリーされる。


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