ギャラクシー賞月間賞:NNNドキュメント'20
「静かな時限爆弾〜阪神大震災25年 迫るアスベストの脅威〜」

2月16日放送
24:55〜25:24
読売テレビ放送

 垂れ込める濃霧のような粉塵のなか、歩行者や自転車が顔をしかめながら通り過ぎていく。1995年の阪神・淡路大震災後、倒壊した建物の解体現場での光景だ。そのとき、建材に使われた大量のアスベストが宙を舞い、肺に吸入されていたことなど誰が知ろう。それがわかるまでに25〜30年かかり、見つかったときには余命1年というから、まさに時限爆弾だ。

 アスベストが原因の中皮腫の発症経緯にも驚かされたが、何より恐ろしかったのは、震災後の大混乱のなか、行政も解体業者も薄々わかっていながら、水撒きなどの粉塵対策をせずにビルを解体していたことだ。当時の調査映像のなかで、作業員が「(こんな状況で)どないすんの? 法律通りにはムリ」と口にしたのは本音だろう。

 街の再生が急務なとき、アスベスト対策が後回しになったというのは、いかにもありそうな話だ。

 中皮腫で亡くなった明石市の清掃作業員の遺族が起こした労災補償請求とその後の裁判を伝えながら、作業に直接携わった者ばかりか近隣住民にも被害が及んでいる現実を、番組は指摘。全国で推定280万棟にアスベストが残っている可能性があるというが、それらの実態把握がなされぬまま、場当たり主義的に解体・処分が進む。