ギャラクシー賞月間賞:
「イントレランスの時代」

2月2日放送 
26:30〜27:30
RKB毎日放送

 不寛容が争いや憎しみを生み、戦争を引き起こしているという視点で描かれた100年前のサイレント映画『イントレランス(不寛容)』のシーンで番組は始まる。制作したのは自閉症の長男の成長を追ったセルフ・ドキュメンタリー「うちの子 自閉症という障害を持って」で2005年にJNNネットワーク大賞を受賞したRKB毎日放送の神戸金史記者。2016年の津久井やまゆり園事件後、障害者の子を持つ親の気持ちを文章にして1万以上のいいねと3000を超すシェアがあったフェイスブックの投稿でも知られている。

 この番組はその大量殺傷事件の植松聖被告に向き合い、被告の造語である心失者と同じように特定の民族を一括りに要らないものと決めつけるヘイトスピーチにも向き合った。植松被告と接見を重ねるうち、社会の役に立たないと見なされたら、障害者だけでなく老人にまでその刃は向けられたかもしれないとわかって慄然とする。さらに、ヘイトスピーチを取材する沖縄タイムスの阿部岳記者、神奈川新聞の石橋学記者と神戸記者たちは日本第一党の桜井誠党首から胴間声で怒鳴られて、私も胸がふさがる思いがする。

 ただ、このなかで映画の有名なゆりかごの場面を使い「憎悪と不寛容は人間愛と慈愛をさまたげる」と随所で立ち止まって考えさせていて、憎悪を拡散するだけにならないよう、注意深く工夫して構成している。非道さや理不尽さに怒りをぶつけるだけでは彼らの術中にはまるだけなので、フェイスブックという表現手段もとり、番組も一人称で語り通した。