報道番組に喝!【NEWS WATCHING】73 元徴用工問題をめぐる報道 ナショナリズムを煽る報道を慎み 複眼的な姿勢で報道を

韓国駆逐艦によるレーダー照射問題
各局で異なる報道姿勢

 昨年から今年の始めにかけて、日韓関係を悪化させる出来事が頻発し、その都度、ニュースになった。

 その1つが韓国の駆逐艦による火器管制レーダーの照射問題だ。昨年末、日本政府は「不測の事態を招きかねない危険な行為」と問題提起したが、韓国側は年明け早々の1月4日、「非難されるべきは低空で威嚇飛行をした日本側だ」と反論。その裏付けとする動画を公開した。各局の夜のニュースはこの事態を1月7日に(TBSテレビだけは4日にも)報じたが、報道姿勢はそれぞれかなり異なっていた。

 なかでも韓国に最も厳しい姿勢をとったのは「プライムニュースα」(フジテレビ)の萱野稔人だ。彼は「韓国に同情的な対応をしていても、韓国の姿勢が変わらないことを私たちは学ぶべきだ」と発言し、不信感をあらわにした。次に

「報道ステーション」(テレビ朝日)と「news zero」(日本テレビ)は、自民党の山本朋広国防部会長の「韓国はウソにウソを重ねている」発言や、小野寺五典安全保障調査会長の「政府はもっと強く抗議すべき」という声を伝えたうえで本論に入り、前者は「なぜ韓国はここまで強硬な姿勢を崩さないのか」を分析し、後者は「あらゆる言語で日本を非難する韓国の狙いは何か」を取りあげた。

 一方、日韓双方の主張を比較的冷静に伝えたのは、「NEWS23」(TBSテレビ)と「ニュースウオッチ9」(NHK)だ。前者は星浩が「日韓双方とも国内世論向けのアピール合戦を行っていて出口が見えない状況」とまとめ、後者は有馬嘉男が「日韓どちらも協議でコトを収めよう、対話が大事という点で一致している」と韓国非難のトーンを抑えていた。私はこの報道姿勢を評価する。なぜなら軍関係の実務者が言う通り、本来コトは、非のある側が非公開の席でこっそり謝り、目立たぬ形で幕を引くべき問題だ。もちろんここまでこじれては、そうした解決は望めないし、非がどちらにあるかも明らかだが、だからといって大袈裟に責めたてても地域の緊張を高め、東アジアの安定を損ねるだけでプラスはない。だからいま最も慎むべきは、ナショナリズムを煽る報道だ。さらにもう一言付言すれば、今回同じ出来事を扱いながら、ニュースのトーンがまったく違って感じられたのは、キャスターのコメントだけが原因でなく、素材の扱いの相違にもよっている。例えば韓国国防省の崔賢洙報道官の発言のどの部分を切り取って伝えるか。それによって印象は大きく変わる。それだけに、この種のニュースの編集姿勢は、慎重すぎるほど慎重であることが重要だ。


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