ウッズに並んだ!同組プレーから4年 松山英樹が遂げた「61」のすごみ

ウッズに並んだ!同組プレーから4年 松山英樹が遂げた「61」のすごみ

◇世界選手権シリーズ◇WGCブリヂストン招待 最終日(6日)◇ファイヤーストーンCC(オハイオ州)◇7400yd(パー70)

「このパットを決めれば“61”。コースレコードに並びます。2013年にタイガー・ウッズが記録した数字に…」。最終18番のグリーンサイド、PGAツアーのラジオアナウンサーが口元を隠してマイクにささやいた。その直前、17番ホールを終えたときには進藤大典キャディがつぶやいていた。「英樹、タイガーに並んでよ」―――

当時を知る人はみな分かっていた。最終ホールを迎えた時点で松山英樹は1イーグル、6バーディ。最後にひとつ伸ばせば、4年前の第2ラウンドでウッズがマークした「61」が出る。しかし、本人の頭には誰よりも早く、その数字が浮かんでいた。「最後に3つ(バーディを)獲れば、そのスコアになると思っていた」。難関の上がり3ホール。18番で3mを沈めてガッツポーズを作り、その目論見は現実になった。

松山が米ツアー出場100試合目にして5勝目を挙げたのは、かねて「好きなコース。ここで勝ったらカッコいい…」と口にしてきたファイヤーストーンCCだった。毎年、トップ選手約70人が集まる世界選手権シリーズという大会の格だけでなく、ショットの精度、飛距離、多彩さ、そしてショートゲームと、すべての技術が高いレベルで求められる。さらに、ここはウッズが8勝をマークした場所だ。

世界中の同世代の選手たちと同様、松山にとってもウッズは常に特別な存在。少年時代に、宮崎での「ダンロップフェニックス」に出場したウッズの姿を目に焼きつけた。ショットやパットの際に方向を確認するため、白いボールにマジックで入れる黒いライン。「(学生のときに)何色にするかをすごく考えていたときがあるんです。でも結局、黒が一番いい。『タイガーも黒だし』って。理由がしょうもないんですけど…」。憧れの存在はいつも、上達へのモチベーションのひとつだった。

そのウッズと、松山が初めて一緒にプレーしたのがこのコースだった。プロ転向した2013年の8月。日本ツアーでは賞金王、米ツアーでは翌シーズンのシードを目指して遠征を繰り返していた。当時21歳。大会初日の練習グリーンであいさつにおもむき、握手を交わした。「引き締まっていて、硬かった」。その感触がまだ残る翌2日目、ウッズは「61」で回り、目の前の彼を「次元が違い過ぎて。小学生がプロとやっているみたいだった」と驚嘆させた。この日の松山と同じように、2番(パー5)でイーグルを決め、7つのバーディを奪って。

ロングコースとして知られるファイヤーストーンCCは、7400yd(パー70)という数字以上に残酷だ。多くのパー4でフェアウェイがグリーンに向かって段差を作りながら下っている。ティからより遠い傾斜にぶつかれば、ボールが長い時間転がって距離が出るが、キャリーの出ない選手はその洗礼を浴び続け、2打目で長いクラブを持つ展開が続いてしまう。同組の選手の飛距離に50yd近い差が出てしまうこともしばしばある。

松山はいま、そのコースが作り出す飛距離差をものともしない。今年の当地でのドライビングディスタンスは305.2yd(パー3を除く14ホールでの第1打の平均飛距離)。4年前の283ydから進化を遂げた。東北福祉大のユニフォーム姿でプレーした当時からウエアのサイズアップを繰り返し、強靭な肉体とスイングを作り上げてきた成果だ。

「4年前、タイガーと一緒に回ってこのコースで『61』は信じられないと思ったけれど、自分の力が少しずつ付いてきて、きょうそういうゴルフができてうれしい」

今大会と次週のメジャー最終戦「全米プロゴルフ選手権」という夏場のビッグトーナメント2連戦で、現行スケジュールとなった2007年以降、連勝したのはウッズと、その後継者のひとりとして名前が挙がるロリー・マキロイ(2014年)しかいない。

松山英樹にも、その資格はきっとあるはずだ。(オハイオ州アクロン/桂川洋一)

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