記録的な暖冬で岐阜県内の農産物や特産品に影響が出ている。大根、キャベツ、白菜などは生育が進んで出荷量が増え、例年より2、3割安い価格で店頭に並ぶが、この暖かさで鍋需要が振るわない。一方、寒さを利用した恵那市山岡町の特産品「細寒天」の生産業者からは「寒天が凍らない」と嘆きの声が聞こえてくる。

 大根、キャベツ、白菜などの野菜は、例年にない暖かさで生育が早まり、生産者は育ち過ぎを懸念する。岐阜市園芸振興会だいこん部会の高橋正男会長(71)は「大根の市場で好まれるサイズはLだが、今年は2L、3Lと一回り大きくなっている」と話す。加えて、2月下旬に出荷が始まるハウス栽培の春大根も生育が進み、例年より10日ほど出荷が早まる見込みという。しかも、冬大根もまだ市場に出回っている状態で、春大根の価格への影響を懸念する。

 海津市のトマト生産者の近藤康弘さん(37)は、「夜の冷え込みが少なく、ハウスを暖める燃料代が例年より2割ほど抑えられている」と言うが、逆に暖かさで、冬には発生しにくい病害虫の被害も出ていると心配する。

 JAぎふの直売所「おんさい広場鷺山」(岐阜市下土居)には、冬キャベツの小さなサイズで安いものは1玉30円、40円で並ぶ。「産直で生産者が値段を決めるので元々安いが、それでも例年より安値が続いている」と担当者。岐阜市内のあるスーパーは今季、キャベツを2玉100円で売る時もあるが、暖冬で鍋関連の売り上げは伸びず、白菜などの消費も落ち込んでいる。店長は「野菜が育ち過ぎているようで、需要と供給のバランスが崩れている」と話す。

 氷点下の凍てつく寒さが欠かせない山岡町の細寒天作りでは、寒天が凍らず、作業を休む日が今シーズンは何日も出ている。生産量は例年の3〜4割減に落ち込む見込みという。町内の8社が加盟する県寒天水産工業組合の西尾幸久(こうきゅう)理事長(68)は「50年ほどこの仕事をしているが、こんな暖かさは初めて。自然相手なので仕方がないが、今年は諦めざるを得ない」と嘆いた。