国内外で活動するダンサー森下真樹さん(44)=東京都=が19日、岐阜市宇佐の県美術館を舞台に「ベートーヴェン交響曲第5番『運命』を贈る」を実施し、動画投稿サイトのYouTube(ユーチューブ)同館公式チャンネルで映像を公開した。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、同館での20日の公演を中止した代替企画。森下さんは「可児市での経験が元になったプロジェクトなので、岐阜から世界へ発信できる喜びを感じている」と話している。

 森下さんが「運命」を踊るきっかけは2016年、可児市文化創造センター・アーラの市民参加事業「オーケストラで踊ろう!『運命』」で、振り付けや演出を担当したことにさかのぼる。9〜77歳(当時)の市民がひたむきに踊る姿に心を打たれ、自らもソロで踊ることを決意した。

 振り付けは、第1楽章を演出振付家MIKIKOさん、第2楽章を俳優森山未來さん、第3楽章を写真家石川直樹さん、第4楽章を舞踏家笠井叡さんに依頼。17年の初演以来、東京や北海道、北九州など全国各地で公演を重ねてきた。

 今回、同館で開催中の「アートまるケット 岐阜県の滞在制作レビュー」の一環で初の岐阜凱旋(がいせん)公演が計画されたが、中止の報を受けた森下さんがスタッフとアイデアを練り、同館で新たに撮影したダンスを映像配信することを決めた。

 映像は約54分間。実験的なパフォーマンスを繰り広げてきた森下さんが、楽章ごとに衣装や場所、演出を変え、指先から顔の表情筋まで肉体全てを用いて躍動する姿は圧巻だ。森下さんは「この踊りを見た人が、前に進むきっかけになるように」と思いを語った。映像配信は6月14日まで。