21日に岐阜市で桜の開花が発表され、県内はこれから本格的な花見シーズンに入る。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、県内の桜の名所では関連イベントの中止が相次ぎ、宴席の自粛を呼び掛ける動きも広がる。県民からは「自粛は理解できるが、いつものにぎわいがなく寂しい」との声が聞かれ、静かな花見シーズンとなりそうだ。

 大垣市では、墨俣一夜城周辺で25日から開催予定の「すのまた桜まつり」を中止した。犀川沿いの約千本の桜並木が見もので例年多くの人でにぎわうが、今年は桜の電飾、屋台の出店もしない。足立洋三実行委員長は「もしものことがあってはいけない。残念だが中止にせざるを得ない」と肩を落とす。同市の水門川で桜の開花に合わせて行われる「水の都おおがき舟下り」も取りやめる。

 年間23万人の観光客が訪れる本巣市根尾板所の淡墨桜。今年は市が誘客活動を自粛し、ライトアップもしない。淡墨公園で土産物を販売する「うすずみ特産販売所」の責任者伊藤義幸さんは「桜の時期が一番の観光シーズンだけに大打撃。桜に罪はないのに」と言葉少なだ。

 先週に新型コロナウイルスの感染者が確認された岐阜市では、市が花見の宴席自粛を呼び掛けている。管理する岐阜公園(大宮町)や清水緑地(加納清水町)などに自粛を呼び掛ける貼り紙を掲示。岐阜公園では露店の出店自粛も要請した。市担当者は「感染拡大防止のための措置。花見は散策しながら楽しんでほしい」と理解を求める。清水緑地を訪れた同市の男性(68)は「自粛は理解できるが、いつものにぎわいがなく寂しい。屋外なのでもう少し寛容であってもいいのでは」と残念がる。

 一方、花見関連の催事が相次いで中止となる中、公園など屋外での散策を楽しむ人も出てきている。各務原市の新境川堤の桜並木ではイベントを中止したが、近くの市民公園の駐車場は利用が増えており、市民は屋内施設を避けて屋外での行楽を楽しんでいるようだ。桜をライトアップする「苗木さくらまつり」を中止した中津川市苗木の苗木さくら公園も、3連休は公園近くの苗木城跡に大勢の観光客が訪れた。苗木遠山史料館の担当者は「桜の時期になれば、公園も大勢の人が訪れるのではないか」と話し、まつりを中止しても人が多く集まれば感染リスクが高まる恐れがあると心配する。