小説「家康 知命篇(へん)」などを本紙で連載した直木賞作家、安部龍太郎さん(65)=東京都=が28日、岐阜市宇佐の県美術館を訪れ、開催中の企画公募展「清流の国ぎふ芸術祭Art Award IN THE CUBE(アート・アウォード・イン・ザ・キューブ、AAIC)2020」を鑑賞した。

 同展のテーマは「記憶のゆくえ」。安部さんの友人で、静岡県とイタリアを拠点に活動する彫刻家、御宿至(みしく・いたる)さん(71)も入選した。御宿さんは、世界を行き交う物流のパレット(荷台)を積み上げ、隙間に書籍など思い出の品を詰めることで脳内にある「記憶の引き出し」に見立てた。

 安部さんは「脳内の情報量の多さや雑ぱくさが感じられて興味深い」と印象を話した上で、言葉を紡ぐ小説家としての自らの脳内のイメージを説明。「言葉は考えて出てくるものではない。ペンを持てば反射的に出てくる。脳内に言語空間みたいなものがあって、膨大な量の言葉が飛び交っている」と話した。

 企画公募展は県美術館と隣の県図書館で7月5日まで開かれている。