「いるだけで周囲を安心させる人」は一体何が違うのか?

「いるだけで周囲を安心させる人」は一体何が違うのか?


「その人が部屋に入ってくるだけで人が安らぎを覚える」という人がいれば、何かをしたわけではないのに人にいらだちや不安感を覚えさせる人も存在し、心理学者たちはこのような影響力を「Affective Presence(感情的存在)」と呼び研究しています。その人が個人的に悲しみや不安を抱いていたとしても、周囲にはよい影響を与えてチームのパフォーマンスを上げるという「ポジティブな感情的存在」はどのようにして生まれるのか、海外メディアのThe Atlanticで明かされています。

'Affective Presence': How You Make Other People Feel - The Atlantic
https://www.theatlantic.com/family/archive/2019/01/affective-presence-how-you-make-other-people-feel/579643/

「感情的存在」について最初に言及したのは、ノースカロライナ大学キナンフラグラービジネススクールのNoah Eisenkraft氏と、ワシントン大学オーリン・ビジネス・スクールのHillary Anger Elfenbein氏。研究者たちはビジネススクールの生徒たちをグループに分け、1学期にわたって同じクラスでプロジェクトに取り掛からせました。この時、グループのメンバーは、他のメンバーが自分をどのような気持ちにさせるのかを、「ストレス」「退屈」「怒り」「悲しみ」「穏やか」「リラックス」「幸福」「熱中させる」という8つの感情で評価しました。調査の結果、研究者は、グループメンバーの感情の大部分が、他のメンバーの「感情的存在」によって説明できると示しました。

これはどういうことなのかというと、例えば誰か1人が怒りを抱えているとき、その1人は近くにいる誰かに怒りを「感染させる」ということ。しかもこのとき、「ポジティブな感情的存在」は、その人が個人として悲しみや不安を抱いていたとしても周囲にポジティブな影響を与え、逆に「ネガティブな感情的存在」もまたその人個人の感情に関わらず周囲にネガティブな影響を与えることがわかりました。


驚くことではありませんが、周囲の人をよい気分にする人々はソーシャルネットワークの中心に位置することも研究で示されました。クラスメートの多くはこのような人物を友だちだと見なし、また別の研究では恋愛対象にされやすいことも示されています。

ポンティフィカル・カトリカ大学の組織行動学教授であるHector Madrid氏は「感情的存在」であるリーダーが、チームのパフォーマンスにどれほど影響するのかを調査した人物。Madrid氏の研究によると、チームメンバーによい感情を与えるリーダーを持つチームは情報共有の点でパフォーマンスが向上し、イノベーションを起こしやすいとのこと。このようなリーダーの元でチームメンバーはより自分のアイデアを発する傾向にあり、リーダーに考えを伝えるようになるそうです。

「突出したアイデアを言うことは現状維持を破ることになるため、ある意味で危険が伴います。そのような考えを言う必要は必ずしもないわけですから、アイデアを発するためには『安全』を感じる必要があります。この点においてポジティブな感情が重要な役割を果たします」とMadrid氏は述べました。


厳密に人が持つ何が周囲を安心させるのかはまだ研究で明らかになっていませんが、研究者はボディーランゲージや声のトーン、あるいは聞く力などが関係しているとみています。ネガティブ・ポジティブに関わらず感情的存在の力が強い人と弱い人が存在することも、今後の研究によって明かされていくだろうとMadrid氏。Elfenbein氏とMadrid氏は両者ともに、感情的存在の影響力の強さは、自分自身や相手の感情をコントロールする能力が大きく関係していると考えています。

誰しも1日の中で1度はいらだちや動揺、悲しみによって感情が上昇するものですが、これを制御し、他人への対応に影響させないようにすることが、「感情のコントロール」を意味します。感情のコントロールがうまくできる人は悪い状況の中でも人にポジティブな影響を与えることができますが、一方で時に他人の心地よさのために自分の感情を抑圧することも起こります。

Elfenbein氏は、ポジティブな感情的存在は自分にとっても本質的によいものではないという点にも言及しています。サイコパスは他人を操るために感じよく振る舞い、ポジティブな感情的存在を利用します。同様に、ネガティブな感情的存在が必ずしもリーダーにとって悪く作用するわけではないとのこと。これは、フットボールのコーチがハーフタイムに選手を叱責してモチベーションを上げることを想像すればわかります。Elfenbein氏は感情的存在が心の知能指数と密接に関係していると考えており、よい影響を与えるために使うことも、犯罪に利用することも可能だと述べました。
Photo by Min An


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