人によって暑すぎたり寒すぎたりするオフィスの室温をうまく調整するシステムが開発中

人によって暑すぎたり寒すぎたりするオフィスの室温をうまく調整するシステムが開発中


オフィスの室温を適切に調整して従業員にとって快適な環境を構築することは、従業員の生産性向上や健康維持のために重要なことです。しかし、現実には「このエアコン温度じゃ暑すぎる」「いや、寒すぎる」「ちょうどいいからこのまま温度を変えないでくれ」など、従業員全員が納得するオフィスの温度に調節するのは難しいもの。そんなオフィスの室温をうまく調節するため、ミシガン大学の研究チームがさまざまな取り組みを行っています。

Offices are too hot or too cold – is there a better way to control room temperature?
https://theconversation.com/offices-are-too-hot-or-too-cold-is-there-a-better-way-to-control-room-temperature-108982

建物やオフィスの管理者は多くの場合、従業員に対して今の室温が快適なのかどうか、エアコンの温度を上げた方がいいのか下げた方がいいのかを尋ねて室温を調節します。しかし、全ての人が1日中同じ室温を快適だと思うとは限らず、年齢や性別、オフィス内での運動量や着ている服、さらにストレスの量によっても快適な室温は変化するとのこと。

分かりやすい例として、非常に暑い真夏の時期に暑い屋外から冷房が効いてよく冷えた部屋に入った時、私たちは一時的にとても快適に感じます。しかし、冷房の効いた室内の温度になれるにつれ、最初は快適だと感じられた室温に対し「これでは寒すぎる」と感じた経験がある人も多いはず。これは非常に複雑な問題であり、従業員全員が快適だと感じる室温を見いだせない要因となっています。

人々が感じる快適な室温は刻々と変動しているにも関わらず、アメリカ疾病予防管理センターが策定した業界のガイドラインでは推奨される室温が一定の範囲内となっています。ガイドラインでは冬の期間中に華氏68.5度(摂氏約20.3度)〜華氏75度(摂氏約23.9度)の範囲内、夏季は華氏75度(摂氏約23.9度)〜華氏80.5度(摂氏約27度)の間が推奨されています。しかし、この範囲内であっても、人によっては暑すぎると感じたり寒すぎると感じたりすることがあるそうです。


ミシガン大学の研究チームは、従業員が快適に過ごせる室温が一日を通して変化することを考慮に入れた上で、エアコンが自動で室温を管理できるようになれば、人々がより快適に過ごすことができて生産性や健康状態が上向くと考えています。そこで、研究チームは室温に対する人々のフィードバックをエアコンの温度調節に組み込む研究を行ってきました。

以前から同様の研究は行われており、カリフォルニア大学の研究者らは従業員らに「現在の室温が快適かどうか」を投票で尋ねるシステムを提案しています。このシステムでは、スマートフォンのアプリやPCのサイトを使って得られた室温についてのフィードバックをアルゴリズムが分析して「最も多くの人々が納得する温度」を算出するとのこと。

しかし、この方法には限界があるとミシガン大学の研究チームは指摘しています。このシステムがうまく働くためには、常に従業員から一定の投票が得られることが前提となっており、投票者が不必要に着込みすぎていたり上着を羽織っていたりしていないことも必要です。また、たまたまその時いた場所がエアコンに近すぎたせいで投票に影響が出たり、屋外から戻ってきたばかりで投票に影響が出る可能性も考えられます。


そこでミシガン大学の研究チームは、オフィス内に複数の温度センサーを設置し、さらに従業員が装着したリストバンドから収集した皮膚温度や心拍数の情報を、従業員の投票データと組み合わせる手法を開発。従業員の感覚だけでなく、実際に体がどのように反応しているのかといったデータまで含めて分析を行うことで、人々が快適に感じる室温を算出するアルゴリズムがより正確になることを見いだしました。

さらに研究チームは従業員にリストバンドを着けさせたり投票させたりする手間を省くため、人々の皮膚温度をリモートセンサーで感知することで、どの程度の室温なら快適なのかを分析する手法について研究しています。オフィス内のどこに従業員がいるのかを検出して露出した顔の温度を測定するため、研究チームは通常のカメラと温度を検知するサーモグラフィ、そして顔との距離を検出するセンサーを組み合わせているとのこと。

これらのデータを用いることで、研究チームが開発したアルゴリズムはオフィス内にいる従業員の数に関係なく、室内の温度を適切に調節できるそうです。7人の従業員がオフィス内にいる状態で行ったテストでは、それぞれの従業員が室温に対する不満を訴えることはなかったとしています。

従業員による個別のフィードバックが必要なく、オフィス内にいる人数に関係なく動作するこの手法は、人の出入りが激しいオフィスや会議室、劇場など複数人が出入りする場所で有効だとのこと。人々が立っていても座っていても、動き回っていても人々の皮膚温度を検知し、自動で室温を調節してくれるこの手法が実用化されることで従業員の生産性や健康状態の向上が見込めます。研究チームはこの手法に加えて他のアプローチからも、適切なオフィスの室温調整を行う方法を研究するとしています。


Photo by Fox


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