Grado Labs GW100 レビュー:ブルックリンの老舗メーカーは期待を裏切らない

Grado Labs GW100 レビュー:ブルックリンの老舗メーカーは期待を裏切らない

Image: Mario Aguilar/Gizmodo US

初のワイヤレスヘッドフォン。

音質の良いヘッドフォンを低価格から高価格まで幅広い価格帯で提供するアメリカの老舗メーカー、Grado Labs。ブルックリンのこの会社は、1953年から続く歴史ある職人のチームです。

Grado Labsは長年「ワイヤレスヘッドフォンなんて出さないよね」と囁かれていたのですが、ここに来て「GW100」という新製品をリリース。米GizmodoのMario Aguilarがその音質の良さと良心的な価格を称えています。

長年、愛好家のあいだでも可能性はないと思われていた、Grado Labsによるワイヤレス・ヘッドフォンですが、「GW100」がついに世に出されました。Bluetoothのテクノロジー自体はほかの大手ブランドが使っているものと同じですが、私がこれまで使ってきたワイヤレスヘッドフォンのどれとも違った仕上がりとなっています。

老舗ブランドがついに

ブルックリンの老舗であるGrado Labsは一部の音響オタクの間で熱狂的な支持を得ています。65年の歴史を持つ家族経営のこの会社は、そのプロダクトのデザイン、そしてルーツを忘れない哲学、音質への妥協しないコミットメントを通じて多くのフォロワーを獲得してきました。彼らが素晴らしいのは良心的な価格でヘッドフォンを提供しているところです。音質を妥協しない素晴らしいプロダクトを80ドルでも手に入れることができる一方で、数千ドルのプロダクトも開発・提供しています。しかしGradoの開発スタイルは非常にスローです。もしかしたらもう永久にワイヤレスなんて作らないんじゃないかな、と私は思っていたんです。

しかし、18カ月の開発を経て、GW100は登場しました。代表であるJohn Gradoさんがヘッドフォン開発について語るとき、まるで誰でも簡単にデザインできるかのようにシンプルに語ります(「ワイヤーがあって、スピーカーがあって、スピーカーのハウジングがある」といった具合です)。しかしBluetoothがメインストリームになって、5年でようやくGradoからワイヤレスが登場しているということは、シンプルな作りは簡単ではないということでしょう。Gradoはシンプルなヘッドフォンを、適切にチューニングする技術を芸術的なレベルにまで昇華してきました。そんな中でわざわざ音源と人間のあいだにデジタル技術の壁(Bluetooth)を挟んでしまうというのは大きな変化なわけです。

ワイヤレスでも、期待に応える

ワイヤレスのプロダクトを開発するにあたって、Gradoと彼のチームはこのデジタル技術を通して彼らが求める音質を正確に再生させるためのチューニングを何度も行ないました。ベースが強すぎず、Grado Labsが知られている中音域をしっかりと再現するためです。

私がこれまでに使ったことがあるGradoは最安値のジャンルのものです。それを数年間使ってきましたが、音質は驚くほどよいものです。2倍や3倍の値段をするヘッドフォンの多くよりも音質が良いんです。ヘッドフォンを通した音の世界に完全に吸い込まれてしまう感覚なんです。非常にクリアーかつ詳細まで聞こえるサウンドの一因は、イヤーカップの背面がオープンになっていることにあります。イヤーカップを閉じてしまわないことで、ドライバー部分も自由に動きます。

Image: Mario Aguilar/Gizmodo US

一週間GW100を使ってみて、音楽に没入する体験がどんなものかを思い出しました。聞こうと思っていた色々なジャンルの新しいレコードをこのヘッドフォンを使って聞いてみました。WandererにおけるCat Powerのデリケートなボーカルは非常にクリアーかつ人間味がある色合いに、High on Fireの激しいメタルも全くためらいなく完璧に聞かせてくれました。ベースをチェックするときに私がいつも聞く音楽はFlying Lotusの『Auntie’s Lock/ Infinitum』です。この歌が持つドロドロっとしたシンセサイザーの音はどんなオーディオ・プロダクトも泣かせてしまう類です。Gradoはベースを強調するようなトレンドに乗らないことに誇りを持っているようですが、このヘッドフォンはこの歌が持つ低音の世界観を繊細に伝えてくれます。

と、こんな描写を永遠に書き続けることもできますが、とにかくこのヘッドフォンの音質は良いんです! 値段が400ドルを越えないような価格帯のプロダクトの中では、ほかと全く引けを取りません。もちろん、Gradoファンとしては全く驚くことではないのですが。

とてもシンプル(良い意味でも、悪い意味でも)

もちろん短所もあります。ここまで読めば想像がついているかもしれませんが、GW100は極めて必要最低限な機能に絞られたプロダクトで、Bose QuietComfort 35 IIやソニー WH-1000XM3といった、ほかのBluetoothヘッドフォンが持っている便利な機能は付いていません。ノイズリダクション(軽減)機能はないですし、EQモードもなし、アプリもありません。接続できるデバイスも一つだけです。なのでコンピューターから音楽を再生していて、スマートフォンに切り替えたくなれば、コンピューターのほうのBluetoothを切るか、Bluetoothの範囲から離れるかして、スマートフォンとペアリングをする必要があります。

Image: Mario Aguilar/Gizmodo US

Boseやソニーのヘッドフォンは頻繁に移動を繰り返すユーザーを念頭におかれており、そのため便利さや丈夫さが重要視されていますが、GW100はデスクもしくはお気に入りの椅子で音楽を聞くことに向いているようです。Gradoが提供する良心的価格なPrestigeシリーズ・ヘッドフォンとデザインは非常に似ています(Gradoによると、とくにワイヤープロダクトでGW100のベースとなったものはなく、全くゼロからのデザインとのこと)。Gradoらしいデザインなのは良いなと思う一方で、ヘッドフォン自体は軽く、メタルとプラスチックで作られた薄手の構造は、リュックに突っ込むときに若干心配になります。ちなみに、ジムのロッカーで1.5メートルほどの高さから落ちたときもちょっとカスリ傷がついただけで問題ありませんでした。

もう一つ、気になる点は耳に当たる部分のパッドです。安っぽい素材でできており、耳に当たるとちょっとだけガサガサ感があるんですよね。そしてイヤーカップから外れてしまいます。なのでヘッドフォンをカバンの中に投げ入れたときには、後ほど使いたいときにイヤーカップから外れてしまったカバーパッドをカバンの中で探すという作業が必要になります。私は個人的にはガサガサ感は慣れてしまいましたし、軽いので長時間着用しても気になりませんでした。

途切れはほどほど

イヤーカップの背面をオープンにした構造に付き物なのが、ノイズです。周囲の音が聞こえると同時に、自分が聞いている音も外に漏れます(面白いことにGradoさん自身はこれは問題ではなく機能の一つと捉えているようです。「アイスクリームを作ったら、アイスクリームは溶けるだろう」)。このモデルではオープン構造のメリットを損なうことなく音漏れを軽減する賢いエンジニアリングを行なっています。私が使っていた旧型のGradoは同僚たちに嫌がられましたが、GW100の音は聞こえなかったようです。

しかし周囲の音が聞こえてしまう問題は完全には解決されていません。道路の上を大きいトラックが通過するときのゴトンゴトンという音は聞こえましたし、地下鉄の電車が到着する瞬間は音楽がかなり聞こえづらくなります。街中を歩き回りながら音楽を聞くのには問題がありませんでしたが、大きな広場などでは若干の途切れが発生しました。これはBluetoothヘッドフォンにはよく起きる現象です。これが理由で使いたくなくなる、という程ではありません。

Image: Mario Aguilar/Gizmodo US

ゆっくりだけど、これからも

Gradoいわく、今回のヘッドフォンの売れ行き次第で、ワイヤレス・ラインをさらに増やすかどうかを決めるとのことです(「すごくハラハラしている」と言っています)。より高価格帯のワイヤレスヘッドフォンを出すかどうかもこれ次第とのこと。現時点で言えることは、イヤフォンタイプのモデルでノイズリダクション機能がついたものが来年に発売されるそうです。

Gradoの良心的な価格のプロダクトのファンであれば、今回のGW100も気に入るでしょう。音、デザイン、両方において狙いをしっかりとヒットさせています。これはGradoファンがブランドに求めている水準に達しています。その一方で、ほかのGradoプロダクト同様、誰でも大満足するという類のプロダクトではありません。少し便利さに欠け、ちょっとぎこちなく、そして周囲の音を塞いでくれません。ブルックリンの老舗オーディオブランドがついにワイヤレスのプロダクトを出したという点では、私はもう大興奮です。

まとめ

・音質は素晴らしいです。

・周りへの音漏れはほかのGradoプロダクトに比べて格段に改善されています。

・非常に軽量ですが、丈夫でないかもしれません。

・イヤーパッド部分はガサガサ感があり、頻繁に外れます。


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