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万能薬はまだないけれど、着実に研究は進んでいる!

地球温暖化は着実に進行し続け、避暑のために使っていたはずの技術はどんどん事態を悪化させることも分かってきました。では、こうしたジレンマから抜け出す方法はあるのか? 最新のサイエンス誌特別号では、最先端の技術や素材を活用した解決策が模索されていることが紹介されています。一体どんなものなのでしょうか。

既存技術のどこが問題なの?

地球上で最も一般的に使用されている冷却技術の1つは、いわゆる蒸気圧縮冷凍と呼ばれるもので、温度を上げることで冷却効果を生み出そうとします。熱は通常、高温の場所から低温の場所に流れますが、このメソッドでは加熱された冷却液体を使用して、暖かい場所から熱を引き出すのが特徴です。このプロセスのほかのバージョンを利用すれば、家をあたためることもできます。

今回発表された研究によれば、こうした冷却方法は非常に効果的で、20世紀の最も重要な工学的偉業のひとつとさえ考えられている一方で、非常に多くのエネルギーを消費することが説明されています。さらにこの冷却技術はクロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、そして強力な温室効果ガスとなるガスハイドロフルオロカーボン(HFC)など有害なオゾン層破壊化学物質を使用します。

新しく開発された冷却材

もっと気候に優しく、かつ効率的な冷却材はないのか。科学者らは「新しい流体の開発ではハイドロフルオロオレフィン(HFO)として知られるフッ素化オレフィンやHFOを含むブレンドに注目した」といいます。

CFCやHFCとは異なり、新しい冷却材にはオゾン層破壊係数がなく、地球温暖化係数がはるかに低いため、比較的環境に安全だと考えられます。ただ、リスクがゼロというわけではありません。HFOは、分解するとトリフルオロ酢酸と呼ばれる化合物を生成して環境に損傷を与える可能性があるほか、多くのHFOやHFOブレンドは可燃性でもあります。アンモニアやプロパンなどの天然に存在する化学物質も同様で、蒸気圧縮冷凍にも使用されることがあり、こうした天然化学物質は漏洩した場合に有毒になる可能性があります。

その他発見されている方法

もちろん、温暖化が進む世界で涼しさを保つ方法は、蒸気圧縮技術だけではありません。サイエンス誌で紹介されたほかの研究では、熱材料(電気的、磁気的、機械的に操作されると熱を発生する固体など)を家の冷暖房に使用する方法の可能性が示唆されています。

ケンブリッジ大学の物質科学者で論文著者であるXavier Moyaさんは、米Gizmodoの取材に対してメールで次のように綴っています。

ある意味、熱材料は従来のガス冷却材に類似していて、圧力によりガスが液体に移行するのを促し、冷却の温度変化につながります。

ただ従来の冷却とは異なり、このプロセスで使用される材料は汚染ガスに変わることなく常に固体のままとなります。

論文によれば、リアルタイムで温度が変化している画像を捉えるための熱冷却材料と赤外線画像の開発をはじめ、同分野では過去5年間に大きな進歩があったと説明されています。研究者たちはさらに新しい熱材料も発見しています。なかにはネオペネニルグリコールと呼ばれる化合物でできた柔粘性結晶の一種で、一般的には塗料や潤滑剤で使用され、従来の冷却と同じ程度の温度変化が可能なものも初めて確認されたとか。

ただし、こうした新しいテクノロジーが万事解決となるとは限りません。たとえばネオペネニルグリコールの製造・廃棄は環境破壊につながる可能性があったり、熱材料プロセスで一般的に使用されるネオジム磁石は抽出するのに環境に悪影響を与えうる希土類鉱物を使用する必要があったり、財政面での問題もあります。前出のMoyaさんによれば、このプロセスの熱材料は現在「コンポーネントが大量製造されていないため、比較的コストがかかる」とのこと。

また別の研究では、超低温材料と呼ばれる受動的放射冷却材料を使用して熱を宇宙に放射する方法について説明されています。太陽からの赤外線を反射させ空に向けることができる材料として、周囲の空気よりも最大10度低く保つことができるとか。研究では、主に屋上で使用できるよう開発を進めているといいます。さらに、空気中の湿度や空の雲が少ないときに最もよく冷え効果があるとして、すぐに劣化することのない屋根の開発も模索しているようです。

こうしたテクノロジーはいずれも、将来的な建物の温度管理を効率化するポテンシャルを示していて、温暖化対策を講じるうえで間違いなく重要な研究だといえそうです。一方で、一般家庭でも試せるローテクな方法もあります。たとえば木を植えて日陰を作ったり、屋根に煙突を(戦略的に)配置すれば涼しいそよ風を取り込むことができたりもします。画期的なテクノロジーと比べたらちょっとワクワク感は減るかもしれませんが、身近にできることをコツコツ実践することで何か変えることができるのならば、試してみる価値は大いにありそうです。